春のような温かさがいつもある学校に… 全力の拍手が その子に みんなに伝えたもの 〜心の宝物292・293
🌷3学期の始業式で
山に囲まれた小さな学校
新しい年が明けて冬休みも終わり、子どもたちが学校に帰ってきました。凍るように冷たい体育館でしたが、新しい自分への期待を胸に、子どもたちは、目を輝かせて、姿と心で、始業式を作り上げてくれました。
始業式にあたり、次のような話をしました。
明けましておめでとうございます。こうして元気に、皆さん80名と全先生方、チーム高山全員の笑顔がそろったことをうれしく思います。
年の初めに当たり、皆さんにこの言葉を贈ります。(毛筆で大書した文字を示す。以下同)「磨く」です。
ここまで皆さんは力を合わせ、高山小学校を「充実」させてきました。一人一人の、学校全体の「心の宝物」ができました。3学期は次の学年へと飛び立つ力をためる時間です。そのためには、2学期に作った心の宝物を飾っておくだけでなく、磨くことが必要です。
「磨く」とは、心を込めることです。掃除に、挨拶に、一人一人の小さな自慢となっている活動や行動に、心を込めてください。
「心を込める」とは、その活動や行動の値打ちを、自分できちんと理解し、自信を持って一生懸命に行い続けることです。(以下略)
続けて、学級代表の児童が話をしていきます。どの子の話も、新年への、仲間と自分への期待に満ちています。それが、聴く一人一人が胸に同じく抱えているものと共鳴して、目に見えない一体感が体育館に満ちていきました。
🌷全力の拍手が その子に みんなに伝えたもの
一人一人の話が終わるたびに、温かい拍手が起こります。しかし、6学年の学級代表それぞれが順に発表していくので、何度目かになると、やはり拍手にどこか疲れが混ざるようになります。
しかし、5年生の二人はちがいました。
拍手の力強さや、表情が少しも緩みません。寧ろ、会が進めば進むほど、つまり、話す順番が後になればなるほど、力強い拍手を送っているようにさえ感じました。
彼は、明るく朗らかなスポーツマン。とりわけバスケットボールが大好きで、雨で体育館が使用できる日の昼休みは、仲間と共にバスケットボールに興じています。しかし、自分たちが楽しむことだけに終始するのでなく、下級生や他の子がいる場合には、自分たちが遊ぶ範囲を狭め、場所を譲るなどの視野の広さと優しさを発揮していました。
もう一人の彼は、寡黙で穏やかな人でした。多くを語りませんが、内に秘めたファイトは人一倍。体操や、行進の取組を、体育委員として呼びかけるときには、言葉よりも姿で示す人でした。掃除や当番活動で、陰ひなたなく努力する姿は仲間から信頼され、後年、推されて体育委員長になります。
新年。きっと、勢いやその場のノリのような気分もあったことでしょう。しかし、そんな君たちの明るさが、話す子や、体育館にいた全員に、明るく、温かなものを届けたことは確かです。おかげで、お正月らしい、希望に満ちた温かな時間になりました。
少し乱暴な言い方をすれば、君たちは、何も全力で拍手をする必要はなかった。話が続いて、何となく疲れた気分になることは、人として自然なことだし、それで拍手の力が抜けたり、拍手そのものをしなかったりする選択も、残念ではあるけれど、決して責められるべきことではないと私は思う。
しかし、君たちは、そういう自分を選ばなかった。きっと二人で目を見交わし、「やろうぜ」と心で会話し、その前向きな明るさを、全力の拍手で、体育館全体に、そこにいる私たちに、何より、緊張と闘いながら、懸命に話し終えた一人一人の子に届けてくれた。
君たちがしてくれたことは、君たちが考えるよりも、ずっと大きなことだと私は思う。
全員へのお年玉をありがとう。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで
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