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幸せはググれない【人生で一番大切なのに誰も教えてくれない 幸せになる技術/上阪徹】

 知りたいことがあったら簡単に検索できる時代だ。いや、検索ワードを捻り出さずとも、物知りな誰かに話しかけるようにAIに問い掛ければ、たいていのことは解決してしまう。こんなに便利な世の中なのに、たどり着けない答えがある。

それは、「幸せになる方法」

 本書では、3000人を超える有名人・著名人へのインタビューをしてきた著者が、「幸せ」を手にした人の共通点を挙げ、幸せを掴む〝技術〟を伝授する。運やお金などを手にする〝方法〟は巷に溢れても、その定義すらふんわりしている幸せを手にするために必要な〝技術〟とは?



【幸せになる技術/上阪徹】




成功=幸せ、ではない

 誰だって幸せになりたい。じゃあ、どうやったら幸せになれる?そもそも「幸せ」ってなにを指すんだろう?〝成功すること〟を幸せの定義としてしまいがちだが、じゃあ、その成功とは何を指すのか?

  • 安定した暮らし?

  • 十分な収入?

  • 家族の笑顔?

  • 仕事の充実?

  • 健康な身体?


 これらを手にしたとして「嬉しくない」という人はいないはずだ。しかし著者は、〝社会的に成功しているであろう人〟への膨大なインタビューを通して【成功=幸せ】ではないことを知る。同時に、物質的には豊かな水準を保っているはずの日本人が、「世界幸福度ランキング」で上位に表示されることはないという事実も。
 「成功するためには?」という問いを耳にしたことがあるだろう。画一的な価値観の中で自分の立ち位置を図りがちだと言われる日本人。あなたが日本人ならその道筋のテンプレートを、簡単に思い浮かべられるのではないだろうか?(それを是とするかどうかはさておいて)
 
「たくさん勉強して、いい学校に入り、いい会社に入って、給料をたくさんもらう」

 特に一昔前にはよく聞いた。今の世の中の価値観はだいぶ変化したとはいえ、意識の根底には「努力→成功=幸せ」を挙げる人も少なくないのではないだろうか?

 しかし、数多くの成功者にマイクを向けた著者が導き出した答えは、【成功すること=幸せであること】ではなかったのだ。本書には、著者本人の言葉だけではなく、各界の著名人の言葉もふんだんに紹介されている。どれも著者によるインタビューの現場で、本人の口から語られた言葉だ。もちろん、「たくさん勉強して、いい学校に入り、いい会社に入って、給料をたくさん・・・」というようなエピソードは一つもない。

まずは自分の幸せを定義すること

 登場する著名人の〝幸せの定義〟が、誰一人として世の中のテンプレートには当てはまらない。では、社会的に成功することがゴールではないとしたら、私たちは何を目指したらいいのだろうか?

 そこで登場するのが〝幸せになる技術〟だ。漠然と「幸せになりたい」と願うのではなく、そもそも自分にとっての幸せとは何なのか?を定める必要がある。誰かが提示している幸せ論ではなく、自分の頭で考えた〝私が考える幸せ〟を。
 自分の幸せを定義する。まずはそこから。

・何をしているときが心地良いのか
・何を手に入れるとうれしいのか
・どうなっているのが理想なのか
・どんなモノを手に入れたいのか
・どういう人と付き合っていたいのか
・どういう暮らしをしたいのか
・人にどんなふうに見られたいのか

 これらの問いに対する答えを考えた上で、優先順位をつけてみることだ。いくつかチョイスしていくこと。「どうしてもこれだけは譲れない」というものは何かを考えてみる。
 とにかく大切なのは、自分の頭で考えることである。

【第1章 幸せな人が「成功」を目指さない理由】より


消せない不安と向き合う技術

 幸せ論は人の数だけあることはわかった。では、幸せでありたいと願う気持ちと必ずセットになって浮上してくる〝不安な気持ち〟はどうしたらいいのだろうか?さすがは〝技術〟の本。それについての解決策もあった。

 官僚出身でベストセラー作家、政府の要人まで務めた人が「不安は消えない」と断言したのである。芸能界で長くトップスターだった人からもこんな言葉があった。
「『明日全てのレギュラー番組を失ってしまうかもしれない』といつも思っている。不安は常にある。」
 巨額の資産を手にした経営者も同じだった。いつ会社がうまくいかなくなるかわからない。資産があるからといって不安がなくなるわけではまったくない・・・。
 みんな不安なのだ。実は誰しもが悩んでいるのである。

(中略)

 そして不安をもたらしている理由についても教わった。それが「ぼんやりとしているから」である。はっきりしていないから不安や悩みになるのだ。そこから逃げようとすればするほど、不安に襲われる。
 やるべきことは、不安や悩みと真正面から向き合うことだ。

(中略)

 不安をぼんやりとしたものにさせないための有効な方法がある。文字にしてしまうことだ。不安を「見える化」してしまうのだ。

【第4章 幸せな人がいつも機嫌が良い理由】より

・誰かにどうこうしてもらおうなどと考えない。

・力技で、なんとかしようと思わない。

なんと、不安とは真正面から向き合うべきということだった。避けたい。できれば見たくない、考えたくない不安は、その正体を明らかにすることから逃げ続けている限り、いつまでもモヤモヤと居座り続けるのだという。

 解決策を探し求めるのではなく、ただただ、その不安を書き出し明らかにしていく。何に不安を覚えているのか?その輪郭がはっきりしてくることで、悩み続ける価値のあるものなのかどうかがわかる。

幸せになる技術とは


 幸せになる技術、とは、幸せと直結するものを手っ取り早く掴む技術ではなかった。ましてや、Web上の膨大な情報の海に浮かんでいるようなものでもなかった。

・自分なりの哲学を持つこと。


そして

自分と幸せとを遠ざける要因を、一つ一つ明らかにしていくこと。


 〝幸せになる技術〟とは、ひとっ飛びに手に入れられるものではないけれど、そのルールすらも自分の手で創り上げていく醍醐味がある。その方法は非常にシンプルで、たどり着くゴールも一人一人みんな違う。誰かと比べて焦る必要もなければ、「いつになったら自分にもやってくるのか?」などと待ちくたびれて絶望することもない。

 本書には、試す価値のある〝幸せになる技術〟が紹介されている。まずは自分の幸せとは?を定義してみてから、試してみよう。もしかしたら、すでに手に入れている人だっているのかもしれない。



【幸せになる技術】もくじ

第1章 幸せな人が「成功」を目指さない理由
第2章 幸せな人が「やりたいこと」を仕事にしない理由
第3章 幸せな人がお金に興味を示さない理由
第4章 幸せな人がいつも機嫌が良い理由
第5章 幸せな人が「ありがとう」を口癖にする理由

【幸せになる技術/上坂徹】






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