月1のズタボロ
わざわざ苦しみや辛さを訴え、わかってもらおうとしたことはない。「今日あの日なんだよね。」なんでサラッと言えるタイプでもないんだけど、語ることにした。
月に一度、女体から流血する生理現象について。
きっかけは、男性の品格について考えていた時。わたしは男性が「生理じゃね?」と言う現象にとても違和感がある。
とんでもなくイライラしている女性を見た時に「アイツ生理じゃね?」と言う人は、エレガントのかけらもない。それが事実かどうかはどうでもいい。もちろん、その影響であなたに迷惑をかけていたことも許容しろとは言わない。ただ、「生理」ってことばだけで片付けて欲しくない。
女性に対してはもちろん、男性に対しても、メンタルが不安定な状態の例えとして「お前今、生理だろ。」と言う人を見た時にはびっくりしすぎて、ガン見してしまった。目玉が飛び出て、その目玉を拾って戻した。
一方で、ある男性YouTuberが「生理についてもっと早く、ちゃんと知りたかった。誰も、ちゃんとわかるように教えてくれたことがないと、無意識に傷つけてしまう。」と言っているのを見た。その彼は事業家で、専門家に話を聞いていた。誰に聞いても曖昧で、メカニズムを知りたいとのことでほぼチャンネル登録者は男性であろう場所で、話を聞く企画を遂行していた。
その対話を通じて彼が出した結論は、「女性が男性と対等に仕事の成果を競い合うことは、残酷である。それをまずお互い認めた方がいい」だった。これに対して私は、全く嫌な気持ちにならなかった。
どちらかと言うと、私は女性として、男女雇用機会均等法が始まっても変わらない社会、いろんな歪みに納得がいかないと思ったことが何度もあるタイプだ。バリキャリを望んでいたわけではないけれど、いい仕事をしたいと思っていたから、そのためはある程度の権限が必要で、そうなるとポジションを獲得するしかないわけで、そのためには嫌なことを我慢しつつも、能力向上と交渉を続けていた。
でも本当は、わたしも思っていた。
「女体の仕組み上、男性と同じスピードで成果を出すのは、かなり困難。」だと。
妊娠出産の期間ももちろんだけど、その前に、毎月毎月まったく自分のコントロールが効かない期間を持ち合わせているという事実を受け入れた時、ここに気づく。
だから、生理(月経)を伴う女体について再認識することで、女性ももう少し楽な気持ちになったり、その先の男女の円滑なコミュニケーションにもつながるかもな、と思って書くことにした。
改めて。
生理(月経)とは、子宮内膜が血液とともに剥がれ落ちる状態で、およそ1ヵ月間隔で体外へ排出される。そして個人差はあれど、体の至るところに痛みを感じたり、極度の眠気と不安定なメンタルを伴うことがある。
生理期間は約1週間だが、生理前2週間に排卵期・黄体期があり、ホルモンバランスの急激な変動でイライラや不安感がつのり、怒りっぽくなったり、逆にやる気が出ないこともある。また、食欲旺盛になり、体温が上昇して体内に水分を溜め込むため、体重の増加、むくんだりニキビができたり、血行が悪くなることで肌の状態も乱れるから、会いたい人にも会いたくなくなる。
つまり、生理後の調子がいい奇跡的1週間以外は、基本的に体調不良なのだ。ベース体調不良みたいなのが女体で、メンヘラなんてそもそもデフォでいいくらい。
許されるなら何もしたくない、一生寝ていたい、お金だけ振り込んで欲しい、と願う。しかしそんなに世の中は甘くない。生きていくために奮起して、とりあえず体を起こして、鏡を見てため息をつく。ナチュラルメイクなんてとんでもない。カバー力の高い海外製のリキッドファンデーションの優秀さに感謝し、さらにコンシーラーでできる限りトーンを上げて、肌艶を作り上げる。暴飲暴食は我慢して、体重を増やさないように自分に言い聞かせる。
生理期間が始まったら、薬を飲んで自分自身をごまかす。何もない状態であるように自分自身をまず騙すのだ。頭痛だろうと、腹痛だろうと、吐き気や倦怠感だって薬さえ飲めば何もなかったことになる。周囲にバレないように気を遣い、声のトーンを上げて挨拶をする。何もかもどうでもいいと思いながらも、相手に笑顔を向ける。一日に何回薬を飲むのだろう、と罪悪感はあれど手放せず、デスクの一番上の引き出しに大量の薬がないと不安になる。
女性はこの状態で毎日頑張っているんだ!と言いたいわけでは決してない。ただ、女体で生きていくことを卑下することなく、女性はまず否定せずに受け入れる方が自分を大切にすることにつながる。
そして、世の中の男性みんなにわかってもらおうとも全く思わないけれど、「ちゃんと教えてくれればいいのに」と思っていた人には、届けておきたい。
で?
生理現象を持つ女体とどう付き合うか?
今は、PMSの研究が進み、フェムケアも浸透してきた(ググれば情報大量)から、ホルモンバランスの乱れを整える方法や、デリケートゾーンケア、ピル処方やサプリメントを活用して女体が少しでも楽になる方法を探るのもいい。小さな改善の積み重ねは、安心につながる。
それは専門家に任せるとして、
わたしのおすすめは。
時を待つ。
これでしょ。
世の中のあらゆる問題の中に、「時間だけが解決すること」は存在する。まさに、生理現象によるカラダの不調は、時間でしか解決されない。
どんなに一時的に痛みを止めたり、人にイライラをぶつけたり、生理休暇をとったとしても、不調がゼロにはならない。薬膳料理や日々の健康習慣で改善される説も事実だと思うけれど、メンタルの不調だけは最後の最後まで残る。
しかも、生理期間にイライラしただけで思わず言ってしまったことや、放棄した約束、置き去りにしたままのタスクは消えることはない。それでまた落ち込みを増し、自己嫌悪を増し、生理期間を憎んだりする。
それも含めて、やっぱり時間しか解決しようがない。
ただ、人生を少しでも前に進めていきたい気持ちは置いてきぼりにする必要はなくて。この不安定な女体をいつくしみ深く想いながら、前進していきたい。
その方法は、「お、今いけるな。」というタイミングを使うこと。それは1日30分かもしれない。風邪の時でも、ふっと、「今ご飯が食べれそう!今病院に移動できそう!」というチャンスタイムが来るのと同じ。それをうまく活用する。
逆に、それ以外は無になる。なんの意思も持たずに、できることだけをやる。意欲なんか発揮しない、なぜなんのためにを考えない。淡々と作業を進めるだけでいい。そしてまた波が来たら、ジョニーより早く乗る。順番待ちを無視して、これだけはやっておきたいリストを上からやっていく。
これが意外とメンタルを安定させる。何かやりたいことをやれないことがイライラにつながる。やりたいことをやる前に、やるべきことをやらなければならないから、家事育児のイライラが大爆発する。
生理期間ならではの自分を有効活用する方法も持っておくと、なおいい。わたしが思うに、月とつながる感覚は有効だと思う。これを誰かに話したことはないから、共感され度もされなさ度もわからないが、メッセージを受け取る期間にするのだ。
わたしは、生理期間だからこそ感覚的にわかることがあると思う。この時期は人がしゃべる声も、音楽も、文字も、好きじゃないものは全然入ってこなくなる。何も見たくない、聞きたくない、読みたくない状態に陥る。だからこそ、何が好きかわかる。心地いいものしか、肌感覚的に受付けなくなる。
そして余計なインプットができなくなることで、アウトプットが進む。わたしの場合は、ここで1ヶ月分くらいの書きたいテーマが出てくる。noteの下書きに表題と思い出せるメモを書いておく。
生理期間を我慢期間にするのではなく、好きなことだけに集中する期間にすると、宇宙と繋がりやすくなるのかもしれない。そして自分の体を愛おしく思うことで、表情も少しずつゆるみ、やわらかくなっていく。
それにしても、今月はズタボロの最上級だった。一生眠かったし、炭水化物を我慢できず、ずっとおにぎりと唐揚げを食べてたら、口内炎が3個もできて、薬を飲んでも治らない永遠の頭痛に命の危険さえ感じた。朝ベッドを出てから赤ちゃんと同じハイハイ状態でキッチンに移動して、つかまり立ちで立ちあがっていた。
苦しみのようでもあり、月のうつくしさと悲しさを体感するようでもあった。薬に頼って虚勢を張った。糸が切れたら倒れ込むように寝て、とにかく時間を進めた。その研ぎ澄まされた時間に、誰かを愛おしいと思う気持ちも、月が教えてくれた。
それは、あたたかくてやさしい時間なのかもしれない。
女体を愛せよ、乙女。
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