「やりがいのある仕事」という幻想に妄想。
「これからの働き方」という依頼で著者が書いたというこの本。あなたの仕事は「やりがい」があるだろうか?
仕事は人生ではない。必ずしも仕事にやりがいを求めなくてもいい。そういう風潮はあるし、声高らかに叫ぶ人達も一定数いる。逆に、何の仕事であれ、やりがいを見つけることはできる!という考えもある。仕事には賃金が伴う。だから「やりがい」なんかより、賃金レベルしか見ていない人もいるし、それこそを「やりがい」とすることもあるだろう。
この本が特別に感じられたところは、「やりがいのある仕事」という幻想のメカニズムを説明しているのはもちろん、ものすごく冷ややかに淡々と論文のように説かれているところ。著者は最後によくある質問に回答していて、それがよく「冷たい人だ」と言われるようだが、よくわかるし、それこそが最高。よく言ってくれた!とすら思ってしまう。自分にも刺さることがあってだが。本書にある言葉だが、大抵の人は論理や意見を求めていない、応援を求めている。それだとずっとその幻想からは抜け出せない。
会社には「早く辞めてもらいたいと思われている状況」が存在する。こんなこと言おうもんなら叩かれるから言わないだけで、性別や年齢、能力により辞めてもらうための賃金設定、評価制度だってある。「やりがい」をいつまでも見出していたら、「やりがいを求めてどこかに行ってもらいたい」とすら思われているかもしれないという現実も知っておいた方が良い。
いつまでも雇用が安定している前提で、ただ時間給をもらっている間中、文句を言い続ける人を、あなたが雇い主だったら雇いたいだろうか?
別に私自身が怒っているのではなく、本を読んでシンプルに考えたことを書いているだけだが。
そしてもう1つ。私が実はずっと思っていたことのズバリが書いてあった。
「将来の夢は?」と子どもに聞くことだ。
今目の前にある職業だけが職業じゃない。まだ世の中には誕生していない仕事をやることで、お金をもらっている人がたくさんいる。だから、今ある職業の中から選ばなくて良い。もちろん最速で生まれた瞬間からこの夢のために生まれてきた!みたいな子は確実に存在する。でもそれはもう先天的に持ってるエンジンが違う。圧倒的に群を抜いて、その才能が溢れてしまうレベルで誰もが気づいてしまうほどの場合だろう。
でもまあ、何かしらやりたいことや、気になる仕事のどんなところが良いと思ったのかを聞いておくことは大事だと思う。仕事の時間は長い。だからどんな時間を過ごしてお金をもらえるならラッキーなのか?を探ってあげる必要はあるし、軽く体験できそうなことはサッサと体験させてあげた方が良い。やってみて全然思ったのと違うこともあるから、アルバイトもどんどんすればいいと思う。
「やりたい仕事」が世の中になさそうで、ある程度それに役に立つ経験の職種についた方が良さそうだと親が一緒に考えることはすごくいいと思う。そんな風に、経験だけ積んで最終的に自分のやりたい仕事にたどり着いて成功する人はたくさんいるし、最近特に多い気がする。どんな場所や人たち、働き方をしたいのか、を親が子どもの発言から拾い集めておくといつか役に立つだろう。
質問にはこんなのがあって。気になる人はぜひこの本を読んでいただきたい。
「やりがい」は誰からか与えられるものではないし、「やりがいのある仕事がしたい」という言葉には違和感しかない。四六時中やりがいに溢れているなんて妄想の域。でも、やりがいのある仕事を与えてもらう環境を旅したらいつかたどり着くかもしれないからそれはやっぱり自由だ。
喜びます、ありがとうございます。