
文学好きを救う本、ありがとうございました。
文学好きというジャンルはどうしても「陰キャ」感がある。
もちろん私自身も、所属している。
つい先日も、「陽キャ」な娘から「ママってさ、陰キャだよね」と言われたばかり。パリピな娘がyoutubeを見ている傍らで、私は本を読み漁っているのが日常である。
そんな日常の中で、「文学ってやっぱりワクワクするよね!」と思わせてくれた本との出会いがありました。
タイム・スリップ芥川賞
「文学」の歴史にワクワクしました。そう、私にもそう見えているんだ!というスポットライト感がとても嬉しかったです。
この本は、1冊も小説を読んだことのない少年が、文学好きな科学者と一緒にタイム・マシンに乗って、歴代芥川賞受賞作家に会いに行くストーリーです。
文学に魅了された人間がつなげてきた歴史
それぞれの時代に生きた人の葛藤や主張、憧れを想像かえて思いの丈をぶつけたり。タイムスリップしながらその時の街並みや人間の興味があったこと、音楽、雰囲気、憧れなど、その時代だから創造された文学作品がまた私の中で輝きだしました。
そして、やっぱり文学は感情だけでなく、思考を使って生きた人間にしか描けないエンターテイメントだな、と思います。その文学作品のバトンが続いて、次の文学作品が生み出され続けることで救われる人々がいます。
文学好きの暗さに光が差し込みました
私は大学生の時に、ドイツ文学作品だけは多数読みました。他の海外文学は知りませんが、この時に「文学とは世界共通で酷く暗いものなんだ」と思い、私は文学好き=暗いタイプの人間なんだな、と自覚したのがこの頃です。
しかしこの本で私は、文学作品が「その時代に生きた人たちの葛藤」であることこそに光を照らし、それに魅了された人々が今日も又、文学作品を楽しみながら生きていることを知ることができました。
この本の文中にある、
「すべての読書好きは、本を読むことで夜を乗り越える」
と書かれている部分に「これに尽きるわ~!!」と声を出して目を閉じました。
自分の中にあるどこに向かって良いかわからない感情、昇華されなかった想いを文学作品を通じて解放し、穏やかさを取り戻しています。
文学作品を通じて自分の気持ちにOKを出せたり、時に折り合いをつけたり、行動に踏み切ることができたりします。
誰かの体験や脳内の妄想が、現実の人間を救うのです。
芥川賞って何?
この本は、芥川賞の歴史を学ぶことができますが、審査員の方々の選考コメントが書かれており、賞をつなげていく本質・積み重ねる意義にかっこよさを感じました。
正直、賞を受賞することで売上が大幅に変わる・成功者と注目されるためのイベントじゃないのかな、と、ボーっとしていた私を殴ってやりたいです。
いつか娘とタイム・スリップしてみたい
私自身の経験上だと、娘が文学に興味を持つ瞬間は、「目の前の世界が退屈で真っ暗になる瞬間」かもしれない、と、思っています。
だから、今、娘(小学校低学年)が文学作品に興味がないことは健全と捉えています。でも、もし本を読み漁りたい衝動の時がきたら、最速で文学の世界を届けたいと、陰キャのお母さんとして思っています。
いつかまた、娘とタイムスリップする感覚で読める日が来るといいなと思いました。この文学の歴史がたくさんの読書好きに伝わり、長く読み続けられますように。
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