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「友情に乾杯」 それぞれの贈り物
海外に移住をした直後は、日本の友人達が頻繁に連絡を下さったり、一時帰国の際に遊びに来て下さった。
しかし、三年を経て、五年を経て、十年を経て、二十年も経ってしまうと、連絡先さえ分からなくなってしまった友人も多々いる。私も筆マメなほうではなく、フェイスブック、ラインのようなものも利用していない。
そのうえ今回は、ほぼ四年間のブランクもあった、パンデミックに起因するものである。
「日本に住む友人達と会う時間もそれほど無いのに、わざわざ海外に移住した人まで会わなくともいいかな、共通の話題も無くなって来たし」、と友人達に感じられても致し方がない。
しかし、
今回も、「会いたい」、と言って下さった友人達が居た。有難いことである。
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ある週末、友人の一人が訪ねて来てくれることになった。
「明日、銀座に行くのだけど、何か必要なものある?」、と前日、彼女から打診があった。
最初、私は彼女の申し出を辞退しようとした。そもそも銀座という高級そうな土地にて何を購入出来るのかもわからない。
しかし、手ぶらでは人様を訪問しないという日本人の特性としては、「何もいらない」などと言われると却って困惑してしまう。困惑の末、却って高級な贈り物を用意してしまう、という危惧もある。
と、私なりに考察し、「明日は皆で焼肉をしようと思っているので、焼肉のタレを持って来てくれたら助かる」、と伝えた。
当日、彼女を最寄り駅まで迎えに行った。
彼女と再会したのは数年ぶりで会った。そしてその子息とは初めての対面であった。
そして二人とも持っていた、多くの袋を。
私は焼肉のタレを頼んだことを心底後悔した。
「焼肉のタレだけを持って来て欲しい」、と気遣いのつもりで伝えた私の計算違いは、彼女とご子息の運ぶ袋の数をさらに増やすという結果に終わってしまった。銀座の老舗と察せられる店のロゴ入り袋に、さらに焼肉のタレの袋までが増えていた。
さらに、当初、私の脳裏にあったのは、どこかのスーパーマーケットの庶民的なタレであり、銀座の高級タレでもなかった。
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写真は彼女から頂いたものの一部である。彼女だけに限らぬが、贈り物の袋の数は年々エスカレートしているようにも感じられる。
久しぶりに日本に帰国すると、日本は贈り物超大国であることを再認識させられる。
いずれの小さいスーパーマーケットを訪れても、通常の時期でも、レジの近くには菓子箱あるいは調味料の詰め合わせ箱等が並べられている。
夕方に横濱の高島屋の地下街を覗いてみたら、高価なケーキの前に長蛇が出来ている。そして、クッキー等のお菓子は一つ一つ完璧なデザインにて包装されている。
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今回も、高校時代の友人達が私を肴にして集まって下さった。
この再会の最後の締めにはプレゼント交換がある。
誰かが始めた習慣というものでもなく、自然かつ必然的にそうなったのである。
大昔、学校で行われたクリスマス時期のプレゼント交換会においては「上限いくら」という上限が設けられていたが、社会人のプレゼント交換会には上限などない。
今回も私達は、 「一斉の声」で、それぞれ用意したプレゼントを、閉店間際のカクテルバーのテーブルに広げた。
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友人同士のプレゼント交換なので、マウントを取るための高級品プレゼント競争、というようなニュアンスはなく、相手が喜びそうなもの、有用なもの、という視点にて贈り物を選ぶ。
しかし、こちらも毎年エスカレートしている。
私の場合は、スウェーデンあるいは欧州からのお土産をプレゼントとするのが妥当であり、定番となっている。
しかし最近は、
スウェーデン、あるいは多くの欧州国で購入出来るようなものは、日本でも比較的簡単に購入できる。例えば、デンマークのクッキーに関しては日本で購入した方が安価であったりする。価格の違いはウィスキー等の強いアルコール面において特に顕著である。
それでも以前は、キャビア、生ハム、フォアグラの缶詰、チーズ、ムスリ等を贈ったことが多く、喜んで頂いた。
現在は、生ものは日本への持ち込み禁止である。ここでキャビア、生ハム、チーズは外さざるを得ない。日本で購入可能なチーズの種類も増えて来ている。
肉類が禁止されているため、フォアグラ等の缶詰に関してもNGなのでは?
これらに関しては、検疫・税関の注意書きを読んでみても、「XXは持ち込み禁止であるが、YYで加工してある場合は例外が認められる」等の法律文書の下りのような表現が多く、結局、さらに混乱するだけである。いずれにせよ罰金、逮捕等の危険を冒すほどの代物ではないと考え、こちらも候補から外す。
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キャビアに関しては今回、検疫に掛かる危険性のあるものは控え、ビーガンキャビア一択にした。これは珍しいということで重宝された。これなら今後もお土産候補に出来るであろう。
ムスリなら問題ないであろう?こちらではムスリの種類は多い。
と、仮定をしてはみても、ムスリの中には輸入禁止の「木の実」が入っている可能性がある。多くの資料を確認してみても、断定的な解答は見つからない。結局、ムスリも外す。
コーヒー、お茶は如何?
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コーヒーもお茶も、こちらでは多くの種類が並んでいる。しかし、コーヒーは最近、価格が二倍に跳ね上がったため、それほど多く購入出来るものでもない。フルーツティーは毎年、多く購入して持ってゆく。問題は嵩張ることであるが、日本にはフルーツティーの種類が豊富ではないと聞く。果たして如何。
こちらにしかないような木の実のジャムは如何?
こちらもパン食の多い知人には喜ばれるが、往々にして重い、そのうえ瓶なので割れ物である。プチプチ等で梱包するとこちらも嵩張る。
食品の話ではないが、スウェーデンにおいてはクリスタル細工が世界的にも有名である。Kosta Boda社、Orrefors社はその代表であり、こちらの食器等は、確実に喜ばれるであろうが、余程の理由が無ければ持ち帰れない。往々にして重く、繊細であるため、手荷物になってしまう。
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北欧においてはキャンドルスタンド等の種類も多いが、地震国日本の一般家庭では、それほどキャンドルが常用されている印象は受けない。
結局、無難なところがチョコレートとジンジャークッキーあたりであろうか。
とは言っても、チョコレートに関しては、持って帰るものはほとんどは外国製のものである。
スウェーデンにも非常に美味しいチョコレートはあるが、大きい箱の詰め合わせと板チョコが主なので、贈り物に最適な中間のものが無い。板チョコは割れてしまうと見栄えが悪くなる。
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というわけで、一番頻繁に買って帰るチョコレートは定番のデンマーク製のアントン・ベリー、スイス製のトブラローネ、トリュフチョコレートあたりになる。(注 トブラローネ、スイス製だが会社は米国)
結局、今回の高校時代の友人とのプレゼント交換、私は、ドイツ製キャラメルチョコレートのトフィフィ、パリにて購入したアロマ石鹸を持って行った。しかし、それだけでは品薄に感じ、高島屋にてかりんとうの変わり種を購入しておまけとした。
あとで知ったことであるが、トフィフィも日本にて購入した方が安価であった。
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この集まりの友人の一人は、文字入りクッキーを下さった(サムネの写真)。銀色の箱の中に色とりどりのクッキーが所狭しと収容されている。
ハート形のクッキーに綴られた文字はこう謳う。
「ゆうじょうにかんぱい」 友情に乾杯
何年間もご無沙汰していても、私達の関係を「友情」と定義してくれる友人の思い遣りは有難い。
さすがに六週間も滞在していると、親族、母の知人も含めた方々からも贈り物を戴き、私は恐縮し続けていた。そのお返しとしてお渡ししていた欧州土産も、最後には枯渇しつつあり、何度かデパートに菓子箱を求めて走る羽目になった。(下の写真は頂いたものの一部)
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今後も私は、帰国間際になって、試行錯誤しながら日本には無さそうなものを探して走り回っているであろう。そして友人達もいろいろと贈り物を用意して下さるであろう。それが贈り物大国日本であり、日本人の美徳であり、おそらく、暫くは変わることもない。
そして、自身の用意した贈り物に遜色がある、あるいは贈り物の数が少ない、と恥じる必要はない。ましては、その為に再会、参加を控える、躊躇する、などということがあれば、これは本末転倒である。
友情とは、贈り物の数、価格等にて左右影響されるべきものではない。
なので、
「贈って下さるものは、優秀賞を獲得したものでなくても良いし、金箔が入っていなくとも良いし、ブランド品でなくとも良い。そして、贈り物は一つだけでも私には有難過ぎるぐらいだ」、と友人達に伝えたい。
私にとっては、友人知人達が、ご多忙な中、私に会うために遠方からいらして下さる、その行為自体が一番の贈り物なのであるから。
「友情に乾杯」
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ご訪問有難う御座いました。
日本の方々が海外在住の人に贈って下さる品物例、および欧州からの持ち込み禁止品例の一部をリストアップさせて頂きました。渡航の際、お知り合いのはなむけ等の参考にさせて頂けたら幸いです。
こちらが昨年末の日本帰国に関しての最後の記事となります。