才能は自力で作れる! ~書評 ぼくたちは習慣で、できている。その4 習慣の作り方
私たちの行動は実は半分程度が無意識に行われています。そしてその無意識の行動こそが、習慣だということを前回までで解説してきました。無意識の行動を司る習慣、これをコントロールすることができれば、タイトルの通り、才能は自力で作れる!ということになります。
でも、この習慣を作るのが大変なのです。コツがいります。正しい方法でやらないと挫折をします。そして、挫折を繰り返すうちに、学習性無力感(自分は何をやってもダメだ。。。とあきらめる最悪の無力感)にさいなまれる危険性があるのです。
良い習慣を作る、または悪い習慣を断ち切る正しい方法はあります!その方法が佐々木 典士氏の書籍「ぼくたちは習慣で、できている」の第3章に説明されています。
習慣の調整には適切な50のステップがあるそうです。それぞれを本書に従って解説していきますので、良かったら最後まで読んでみてください。それでは解説を始めます!
この記事はこんな人におススメです
・習慣の力の凄さはわかっているが、良い習慣がなかなか身に付かない
・「ぼくたちは習慣で、できている」をハウツー本として利用したい
・手っ取り早く良い習慣を身に付けたい
習慣を身に付ける50のステップ
ステップ1 悪循環を断ち切る
人は罪悪感によって、セロトニンが減り、それによって目の前の報酬に飛びつくようになってしまいます。これによってさらに罪悪感を感じ、さらに目前の報酬に飛びついてしまい・・・といった悪循環があるのです。これは前回の記事でも書いていますのでそちらも併せてどうぞ。
そして、前回述べたように、その行為を何度も繰り返すことで脳のスパインという部分が強化され、習慣が強化されてしまうのです。つまり良い習慣だけでなく、悪循環も強化され、どんどん目前の報酬に飛びついてしまうようになります。
このような事態に陥ると大変です。目標達成できない自分がどんどん嫌いになり、自分が無力で、”何をやってもダメな人間”だと思うようになるのです。この状態を、学習性無力感を身に付けたというそうですが、こうなっては大変です。
こうならないようにするためには、今までの悪循環を断ち切る、悪癖が習慣になるときの正反対のことをする必要があるのだそうです。
ステップ2 “やめること”を決める
皆さんは「やめたい」のにやめられないことってありますか?
やめたいと思いつつ、いい面もあったりして一概に”やめるべきだ”と断じることができない。そんなことってありますよね?例えば、お酒、たばこ、ギャンブルなども、気晴らし、コミュニケーション、趣味と言えるかもしれません。
自分がなんとなく「やめたい」と思うことで、「いい面もあるしな」との思いから、やめるべきかどうか決めかねている。そんな人には次の問いを自問、そして自答してみるといいそうです。
「この習慣を自分の子供にもさせたいですか?」
子供がいなくてもこの質問は成り立ちます。自分の子供を想像して、その子が将来、自分の「やめたい」ことを習慣にしていてほしいか考えてみてください。
それ以外にも、やったあとに後悔が残るもの(ギャンブルでお財布がスッカラカン)、学びにつながらないこと(一人で浴びるほどお酒を飲んで二日酔い、昨日俺は何をやっていたんだ。。。?)このようなことは率先して辞めていくべきだと著者は述べています。
やめたくてもやめられないもの。それは依存症の可能性があります
身近なものでは砂糖にも依存性があるそうです。別の書籍の紹介になってしまいますが、砂糖依存症にさせてカップケーキを売るという巧妙なビジネスも実際に行われたそうですよ。昔、アメリカでカップケーキが大流行りしたのは、実際には砂糖依存症によるものだったとか。
それ以外にも、自分に多幸感を当たるものは依存性があるのだそうです。例えばSNS、 運動、セックスなども同様です。自分がこれら何か依存性のあるものをやめたいと思っている場合は、以下ステップ3~6の著者おススメの方法があるのだそうです。(あくまで病的に、依存症になっていない場合だと思います。本当に依存症の場合は治療が必要でしょうね。)
3 転機を利用する
著者は過去、お酒がやめられなかったそうです。しかし、ある日インフルエンザに罹ったそうです。インフルエンザで動けない5日間は全くお酒を飲めなかったのだそうです。やめて5日間が一番禁断症状が強いそうで、この期間を強制的に断酒できたことが大きな転機となったと著者は言います。そこから20日間は誘惑が残るそうです。この期間をSNSで断酒宣言するなどして、断酒の意志を強く示したそうです。
私の父も、過去にタバコをやめました。確か2006年に一斉にタバコが値上がりしたのを機に、父はすっぱりタバコを吸わなくなりました。と言っても、辞めるまでにはそれなりの苦労があり、ガムを噛んだりして気を紛らわせていたみたいです。
2020年になりましたが、父は未だにタバコを吸っていません。完全にタバコを断つことに成功したのでしょう。
父はタバコの値上げを転機に禁煙しました。こういうきっかけが、「やめたい」習慣を断ち切ることに効果的だということが身近な例をもって良く分かりました。依存性が高いといわれるものですから、いやはや凄いの一言です。
4 完全に断つ方が簡単
文学者のサミュエル・ジョンソンは大好きなワインを友人から勧められた際にこういったそうです「”ちょっと飲む”ことができないのだ。だから一滴も飲まない」。皆さんも同じような経験はありませんでしょうか?私も一杯だけだったはずのお酒がいつの間にか5, 6杯に増えていた経験が一度ならずありました。ギャンブルをやる人であれば、千円だけ使おうと思ってパチンコ屋に入って5万円負けていたなんて経験がありませんか?
このように、依存性がある行為を「ちょっとだけ」やると、いつの間にか「限界までやって」からしか終われないことが多々あるのです。
私はパチンコをやらないのですが、以下のキャプテン渡辺さんの動画から、パチンコにハマる人の享楽と哀愁が伝わってきます。
守られたことのない誓い「3000円だけ使おう、無理だよ!3000円でやめられるわけがないよ!やめられた男は歴史上いないよ!」
この漫談は、まさに佐々木さんの言わんとしていることをお笑いを交えて体現しているのだと思います。それにしてもウケてますよね~笑
この話からも、結論は出ていますよね?そうです。とにかくやめたいことがあるなら、徹底してやらないと誓うこと。「量を減らそう!」「頻度を減らそう!」この誓いが守られることはないと考えるべきです。
心がけとしては、「やめよう」と考えるのではなく、「やらなくてもいいんだ」と考えることです。やめよう!やっちゃだめだと考えると、そこに意志力を使うことになるのだと思います。なので、「やる必要はないよな~」と気楽に構えればいいそうです。
5 代償は必ず払う必要がある
著者は作家マーク・トゥウェイの話を引用します。「法律を守っても、守らなくても、その代償を払わなくてはならない」。
つまり、すべての行動には一長一短があるのです。ノーヘルでバイクに乗ると、”違反で捕まる”という代償を払わなくてはなりません。しかし、ヘルメットをかぶってバイクに乗ると窮屈で爽快感が得られないのです。
同様に、自分の行動においても、”いいとこどり”をすることは出来ないのです。お酒を飲まなければ、時間、お金の節約ができ、健康面も良好になるでしょう。しかし、お酒を飲んだ時の”特有の愉快な感覚”や”誰とでも仲良くなれるようなフランクな感覚”は得られませんよね。飲み会に参加しないことで友達が減るかもしれません。
「やめたいこと」をやめるには痛みが伴います。それでも、その代償を払ってでも手に入れたい成果や達成感がある場合は、やめたい習慣をやめるべきなのです。
6. 習慣のトリガー、報酬を洗い出す
さらに突き詰めると、”自分が得たい報酬は、本当にその行動を取らないと得られないのか”を考えるべきなのだそうです。どういうことか?
例えば、3時のおやつがやめられない人が居たのだそうです。その人は、"おやつを食べた時に得られる喜び(甘くて美味しいな~、とか血糖値が上がって集中できるな)”ではなく、実は"3時のおやつを片手に同僚と世間話をするのが楽しかっただけ"だったそうです。
この場合、欲しかった報酬は、”おやつそのもの”ではなく”同僚とおしゃべりしながら過ごす時間”だったということです。それに気づいてから、おやつを持たずに同僚とお喋りをして過ごし、見事におやつを断つことができたそうです。
このように、やめたい習慣がもたらす報酬が、本当にその習慣からしか得られないのかを考えることも大切だと著者は説明しています。他で代替出来るのであれば、より良い習慣に置き換えるのが得策なのでしょう。
長くなるのでパートを切ります。次回はステップ7から解説を続けていきます。
最後まで読んでいただきまして誠にありがとうございます。読んでいただけるだけで励みになります。それではまた次回!