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Wellcome back/UCI World Tour/STRADE BIANCHE

8月1日(土)乾いた熱風が吹き抜けているであろう、真夏のイタリア・トスカーナ地方でストラーデ・ビアンケ(STRADE BIANCHE/1.WWT/184㎞)が開催された。例年春先のクラッシックシーズン序盤に開催されているワンデイレースだが、今年は春先より猛威を振るう世界的なパンデミックによるレース休止~延長となっていた。しかし、中止ではなく延期による開催という非常に難しい決断の中、無事開催されようやく今シーズンもロードレースのUCIワールドツアー再開の火ぶたを切ることとなった。

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(c)CorVos

ツール・ド・フランスなどのようにレースが数日にわたり開催されるステージレースと異なり、ワンデイレース(またはワンデイクラシック)と呼ばれるレースは、その日一日のレースの着順により勝敗が決まるレースの総称となっている。例年春先のベルギー、フランドル地方やイタリア北部エリアなどにこの種類のレースは集中しているが、今年は世界的なパンデミックの影響により、春先のレースは中止や延期となってる。

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このイタリア語で「白い道(ストラーデビアンケ)」という名が冠されたこのレースは例年190㎞程の距離でレースを行い、そのコースにはトスカーナ地方の特徴でもある丘陵地帯の激しいアップダウン、そしてコース総距離の約30%を未舗装路区間が占める(まさにその白い細かな石灰岩の砂利道を走破することこそが「白い道」たる所以でもある)。

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そのような非常にタフなコンデションのコースを、様々なバリエーションを含む数日にわたる総合順位でなく、あくまでその日一日の着順で勝敗を決することのできる勝者はそのタフネス、パワー、テクニック、などを称賛され「クラシックハンター」と呼ばれる。

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例年まだ気温の低い春先に開催されるレースではあるが、しかし今年は延期による夏開催、そして180kmを超す距離の中、例年通りのパンクによるトラブル、35度を超す気温がもたらす熱中症、乾いた熱風による砂塵、そうした不快なものが走ったものを容赦なく襲い、まさに汗と砂と埃、疲労感、そして夏の強い日差し、熱風に覆われ、ライダーはぼろぼろになりながら、体力を削り合いゴールを目指す。そうした様々な壁を自らの脚で、ひたすら誰よりも早く、強くペダルを漕いだ者に与えられる称賛と名誉。今年の、変則かつ特にタフなコンデションのレースを制したのは、元シクロクロス世界チャンピオンで現在はロードレースを主戦場に戦う「ワウト・ファンアールト(ベルギー)」がゴール手前で抜け出し汗と埃のレースを制し、勝者の称号を戴冠させた。

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もちろんこうしたレースにもパンデミックの影響は顕著で、明らかに沿道の観客の姿は少ない。けれど、勝者だけでなく、汗と埃にまみれながら異国の地を走る我が街の、我らがヒーローに自宅から、またはパブなどに集いテレビの向こうから声援を送る、そんな風景が世界各国にあったんだろうと想像すると、ロードレースがようやく帰ってきたと、そんなふうに改めて感慨深くなった。


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