今後ますます地方私大が苦戦しそう…
今年度、とうとう私立大学の半数以上が定員割れの話をしました。
では、さらに10年後はどうなっているか、考えてみたいと思います。
今後の大学の存続を考えるには、大学進学者の大多数である高校3年生の人数、つまり18歳人口に着目します。
少子化が加速する日本では、当たり前ですが、18歳人口も確実に減っていきます。
仮に今後も大学進学率が上昇し続けたとしても、母数である18歳人口の減少が激しいため、トータルとしては大学進学希望者は減少し続けると考えられます。
話は逸れますが、大学進学者の中でも最底辺層を抱えるうちの大学(Fラン)では、大学教育の限界を痛感しています。
本学の存続のためには、さらなる大学進学率の上昇を望みつつも、現場の教員は、年々と質が低下する学生に苦悩しています。
正直、これ以上の大学進学率上昇は、教育困難大学を増やすだけだと思います。
話を戻しまして、18歳人口の減少についてです。
以下は、リクルート進学総研による、18歳人口の予測です。
2022年を基準として、2034年には18歳人口は89.7%に減少します(11.5万人の減少)。
これは日本全体での話です。
ちなみに、2024年度のすべての国立大の募集定員の合計が9万6,067人なので、11.5万人の減少がいかに大きい数字か分かります。
この数字から、私立大学の生き残りをかけた戦いがさらに熾烈になることは明白です。
そして、地方ごとに見てみると、特に減少率が大きいのが東北地方です。
なんと20%の減少率です。
数字で言うと、約1.5万人も減るとの予想です。
地方の高校生には地元の大学への進学の選択もありますが、都会の大学を選ぶ場合も少なくありません。
地元の大学数は限られており、希望する分野を学ぶべく都会の大学を選択したり、都会の大学の方が教育環境が充実しているなどの理由から都会に進学します。
東北の高校生の場合、関東の大学を目指すのではないでしょうか。
新幹線網の発達により、ひと昔前より東北の高校生にとって東京は近くなったと思います。
18歳人口の減少と、都会の大学への流出のコンボは、地方私立大学にとって、かなりシビアな状況だと思います。
地方の中でも、東北の私立大学は今後さらに苦戦を強いられると予想されます。
私は都会だろうと地方だろうと、大学の経営基盤が盤石で、自分の分野が合致して、自分の研究ができそうであれば、どの大学でもよいと思って大学教員公募戦線に参戦していました。
ですが、今後は、地方、特に東北地方の私大で良さそうな公募を見つけたら、少し躊躇しそうです…
今、定員割れも起こさず、経営が安定した大学でも安心できません。
特に地方の私立大学は。
正直、旧帝大以外の国公立大も先が見えません。
現時点で大丈夫そうな大学に栄転できたとしても、10年後、さらにその先は分からないと覚悟しないといけないと真剣に思いました。
大学教員でありつづけるには、公募戦士として戦い続ける覚悟が求められるのかもしれません。