- 運営しているクリエイター
#詩
記号化された一日のはじまりに
気温20℃
湿度78%
曇/雨
それが今日をあらわすすべてだと思った
脈拍は高く空を打って
目の下が 黒っぽい
烏が今日の運勢を告げようと
ひっきりなしに電話を鳴らす
わたしはのどに痛みを覚えた
気温20℃
湿度78%
曇/雨
鞄に入れた 折りたたみ傘が
壊れていることを知りながら
知りながら 僕は、
地球の底を叩くような 雨を待っている
サーカスが行ってしまう
車輪のように
くるくる回るから
ティーカップのなかは
サーカスのテント小屋
笑いたいのに
泣きたくなった
サーカスが行ってしまう
夢だけがおいてけぼり
くるくる回る
あなたが見つけた
車輪のようなドライレモン
夜がこっちに やって来る
午後7時を知らせる
時計の針
夕暮れの薄い空を透かす
レースのカーテン
たよりない私の足音を聞く
リビングの床
そういうものに
おおいかぶさるようにして
夜がこっちに やって来る
机の真ん中の引き出しの中の
あいまいな記憶に
イメージだけを重ねて
ピンボケしたスナップ写真のような
そんなものがはいっている
机の
真ん中の
引き出しの
中の
誰かがごっそり捨てたとしても
たいして困らず、もしかしたら
気づくこともないかもしれない
机の
真ん中の
引き出しの
中の
必須かと言われれば必須でなく
ないならないですっきり片付く
だけど、なんだかそれも惜しくて
机の
真ん中の
引き