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鼻うがいボトル容器からのマイクロプラスチック検出について。

新型コロナ対策として注目されている『鼻うがい』。

私はもう3年続け、ハミガキや風呂と同じように『やらないとなんか嫌』くらいには習慣化した。本来そんなちゃんとした人間ではないけど。

鼻腔のコンディションは明らかに良くなったが、マスクも継続しているので何が効果的なのかは正直わからない。

ちなみに、鼻うがいのデメリット(リスク)は完全にゼロとは思っていないが『やり方を大きく間違えなければ気にするほどのものはない』という認識だ。

とはいえ、ボトルからのマイクロプラスチック(MP)検出に関する論文を見てしまったので紹介する。たいしたリスクではないと思うのだが。


◆論文引用

該当論文から要旨のみ引用する。要所は後でまとめてるので面倒な人は飛ばしてOK。
リンクは以下。

Clin Exp Otorhinolaryngol. 2024 Sep 10.
doi: 10.21053/ceo.2024.00182.Online ahead of print.

ポリプロピレン製鼻腔洗浄ボトル使用後のマイクロプラスチック放出量の測定

目的 プラスチック材料由来のマイクロプラスチックは、ヒトの健康に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、再利用ボトルから得られた鼻腔洗浄液中のマイクロプラスチックの存在を、使用期間に基づいて評価することを目的とした。

方法 ポリプロピレン製の鼻腔洗浄液用ボトルを購入した。未使用の灌流ボトルを対照とした。1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月の再使用を模したボトルを試験サンプルとして準備した。鼻腔洗浄液サンプル(n=12)を、各ボトルセットから採取した:新品のコントロールボトルから3つ、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の再利用を模したボトルから9つ。ラマン分光法を用いて鼻腔洗浄液サンプル中のマイクロプラスチックを検出し、その結果をボトルの使用期間によって比較した。

結果 コントロールボトルの鼻腔洗浄液からは平均33.00±20.42(ea/300mL)のマイクロプラスチック粒子が検出されたのに対し、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月使用したボトルからはそれぞれ平均68.66±30.07、261.66±20.59、204.33±52.16(ea/300mL)のマイクロプラスチック粒子が検出された。検出されたマイクロプラスチックの大部分は、大きさが10-100μmで、形状は断片状であった。マイクロプラスチックの大部分はポリプロピレンであり、灌漑用ボトルから直接放出されたことを示していた。

結論 鼻腔洗浄液中にマイクロプラスチックが検出されたが、これは鼻腔洗浄ボトルの反復使用に由来すると考えられた。マイクロプラスチックの量は、3ヶ月間の使用を模擬したボトルから得られたサンプルでは、対照サンプルのそれと比較して顕著に高かった。従って、副鼻腔から体内へのマイクロプラスチックの浸潤を軽減するために、鼻腔洗浄ボトルの使用期間を規制するガイドラインを作成することを提案する。

Measurement of microplastic release after use of polypropylene nasal irrigation bottles - PubMed
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.11.14 引用]
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39251379/

◆まとめと所感

鼻うがい用ボトルからのMP検出が調査された。使用期間ごとのMPは以下。
(数値は数量。平均値)

  • 初回:33.00±20.42

  • 1ヶ月:68.66±30.07

  • 3ヶ月:261.66±20.59

  • 6ヶ月:204.33±52.16

3ヶ月までは増加しており、量はまあまあ多いように思える。

◇◇◇

研究での『使用期間』は模擬的に再現されたもので、実際にその期間使用したわけではない。使用手順(電子レンジでの加熱等)を連続してやった結果のようだ。3ヶ月なら90回とか。経時の劣化があるとしたら、実際はもっと増えるかもしれない。

なお、MP検出は期間ごとの区切りでのみ行い、その際に特別な手順(10回激しく振る)をしているっぽい。なので、通常使用の際に毎日上記のようなMPが検出されるかは不明だ。(おそらく1日あたりの平均ではもっと少ない。憶測だが)

また、ヒトが使用した際に洗浄液はほとんどが排出されるが、鼻腔内に留まるMPの量は論文中で言及されていなかった。

◇◇◇

ヒトが吸入するMPについては以下のような説もある。

52本の学術論文から導き出された結果によると、人間が1年間に体内に取り込むプラスチック量は、推定約250グラムに上るという。

 別の研究では、平均的な米国人が1年間に食べたり飲んだりしている130ミクロン以下のプラスチック粒子は約4万5000個に上ると算出。さらに、ほぼ同量のプラスチック粒子を吸い込んでいるという。

体内へのプラスチック摂取、1週間にクレジットカード1枚分 研究結果
[2024.11.14 引用]
https://www.afpbb.com/articles/-/3229671

これによると1日100個以上は気体から吸入しているだろう。大きなものはほとんどが鼻腔で捕捉されるが、鼻洗浄によりそれをある程度排出できている可能性がある。(そのような研究はある)


◆おわりに

ということで、鼻うがいのボトルからはマイクロプラスチック(MP)が分離・検出されるが、リスク・ベネフィット評価が重要であろう。

また、運用でのリスク軽減策として、使用の都度おこなう容器洗浄で『水を入れて激しく10回程度振り、捨てる』をやることで、分離したMPの影響を減らすことが出来るかもしれない。

◇◇◇

なお、私の愛用するニールメッドの動画(以下リンク内)ではボトル洗浄時に14回振られていた。ボトルは3ヵ月での交換を推奨とのこと。
(ちなみに動画では水がほぼ満杯の状態でボトルが振られていたが、これだと振られる効果があまり無いように思うのだが、どうなのだろう。)

私はケチなので環境に配慮して、モノは長く使うことを意識している。現在使用中のボトルは次亜塩素酸水で消毒しながら1年以上使用しているが、それなりの頻度で交換したほうが良いようだ。

皆さんもお気をつけて。

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