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#310 「デンタルリサーチ社事件」東京地裁

2012年5月9日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第310号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【デンタルリサーチ社(以下、D社)事件・東京地裁判決】(2010年9月7日)

▽ <主な争点>
部長職の管理監督者性と割増賃金の支払いなど

1.事件の概要は?

本件は、D社の部長職であったXが在職中に行った時間外・休日労働につき、労働基準法37条所定の割増賃金(約484万円)等の支払いを同社に対し、求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<D社およびXについて>

★ D社は、歯科を中心とした医療に関する情報処理サービス業および情報提供サービス業等を目的とする会社であり、歯科医として開業を検討している者に対し、医院としての不動産物件を紹介したり、仲介をしたりする業務を行っていた。

★ Xは、平成9年5月、D社に雇用され、その後、不動産事業部において勤務し、19年10月に退職した者である。

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<Xの業務内容、勤務状況等について>

▼ Xは入社当初、人材事業部に所属していたが、13年10月頃、D社が不動産事業部を立ち上げたことに伴い、同部の部長に就任した。なお、不動産事業部には当初Xのみが所属し、同部の業務を一手に行っていた。

★ D社においてはいくつかの部署があったものの、従業員数(7名)が少ないことから、実際には各部署に1、2名の人員で業務を進めざるを得なかった。

★ D社においては、Xを含む全ての従業員につき、タイムカードで労働時間の管理がなされており、各従業員は出社時と退社時にそれぞれタイムカードを打刻することになっていた。

★ D社における従業員の採用にあたって、同社の代表者であるAの他に部長職がその採用面接に立ち会うこともないわけではなかったが、それが常態とされているわけではなかった。少なくとも、不動産事業部所属予定の従業員の採用にあたり、AからXに対し、立ち会うよう指示・命令があったことはなかった。

★ Xが不動産事業部所属の従業員の労務管理や人事考課を担当していたことはない。

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<Xの給与について>

★ 平成15年1月時点におけるXの給与の内訳は、以下のとおりであった。
  基本給…22万5000円、住宅手当…2万8000円、家族手当…1万8000円、
  役職手当…1万5000円、特別手当…4万円、職能給…2万2500円、
  総支給額(税込み)…34万8500円

★ 同年2月以降、Xの給与の内訳は大きく変わり、基本給、住宅手当および家族手当という構成になった。なお、18年5月以降は役職手当が加わり、同月以降退職時までのXの給与の内訳は、以下のとおりとなった。
  基本給…25万0200円、住宅手当…5万2000円、家族手当…5万9500円、
  役職手当…3000円
  総支給額(税込み)…36万4700円

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