Life is wonderful
顔も素性知らねぇ奴の言葉なんて鵜呑みにするな。
そう教えてくれた課長。
『おくのほそ道』は、江戸を出発し、
東北・北陸を巡り岐阜県大垣へ至る2400㎞、
161日間の旅を紀行文として完成させたものだ。
そう江戸時代の俳人、松尾芭蕉。
体の内側から湧き出る汗が止まらない夏は、
もう少しで終わりをむかえ、
四季で一番大好きな秋が私たちを迎えに来る。
生活には慣れたか。
仕事には慣れたか。
人混みには慣れたか。
自分の目指しているものには成れたか。
まだまだ、全く慣れ(成れ)てない。
でも一つだけなれたものがある。
新しい出会いに、同期に、先輩には馴れた。
これからの自分に必要なものを与えてくれる人に出会えた。
日々思考を巡らせることでたどり着くはずのない答えは、
人生のゴールは何なのか、である。
何者かになりたい。
成功者になりたい。
お金持ちになりたい。
あんな風になりたい。
幸せになりたい…。。
自分の現実と理想のギャップに苦しめられ、起きるのすら辛くなり、自分に余裕が無いから人には優しくできず、毎日嘆くしょうもない人生を送ることになる。
しかし、そんな時に学んだんだ。
自分を受け入れる努力をしなさい、と。
仕事をして疲れているのは、
上手くしようと取り繕っているだけ。
旅をして疲れるのは、
新しい経験に身体が追いついていないだけ。
物忘れが多くなるのは、
増えすぎた知識を捨てているだけ。
だから悲観しなくて良い。
自分を責めなくて良い。
大事なのは
今の自分を受け入れて
辛抱強く待つことなのだ。
今日は、観光名所に行き2時間も待ちに待って
1人で食べたビーフカツカレーは絶品だった。
映えスポットと呼ばれるところへ行き
光の当たる場所で、自分を輝かせる人。
地元の公園で、暗闇の場所でも
自分を輝かせることができる人。
私は、後者になりたいと思う。
綺麗な夕日が沈んだ後でも
家に帰らず夜空を見る人のような
そんな人になりたい。
ここで、旅のススメを2点ほど。
・その街の声と匂いを感じることができる
・自分のちっぽけさをひと回り大きくしてくれる
旅の瞬間に耳をすませば自分の心に沁みてくる。
手のひらサイズの小さな電子機器を見らず
街の景色や雰囲気を存分に感じるべし。
描写に合わせた自分好みの音楽を聴くと
とても鑑賞的になるのでこれもまたオススメの項目に追加しちゃう。
最後にもうひとつのエピソードを添えさせて。
夜21時30分。
緑茶を飲み干した。
朝10時に東京を出て江ノ島へ行き、今はみなとみらいにいる。
歩き回るのに疲れた僕は、汽車道を抜けた先の芝生に腰をかけたくなった。
ペットボトルを捨てるついでに。
どこに座ろうか考えていると、
東南アジア系の外国人が花見らしからぬ夜景見を
重低音のスピーカーでHIPHOPを流して
歌ってはしゃいで楽しでいる。
あぁ、落ち着かないなと僕は顔を曇らせると
階段に腰かけているおじちゃんがいた。
ハーモニカとギターの二刀流で美しいメロディを奏でている。
そう教えてくれた60歳おじさんとの出会いだった。
観客は僕一人で入場料は、無料。
黙って隣で聞いているの
尾崎豊のILoveYouやスピッツのチェリーを演奏してくれた。
帰り際に聞いたんだ。
>僕
とても素敵な演奏でしたね。
何年ぐらい前からやってたんですか?
>リッキー・おG
まだ初めて2~3年くらいだよ。
高校生の時にチョロっとギターはかじってたんだけどね。
ところでお兄ちゃんも音楽好きなの?
ハットを被ったリッキー・おGは、
見た目はダンディで少し怖かったが
話すと朗らかな笑顔に心打ち解けてしまった。
リッキー・おGは、昔自営業をして稼いでいたらしい。
女房もいて友達もいたが
今は人間関係を全て断ち切り
1人で音楽に没頭しているんだとか。
幸せのカタチは人それぞれであり、
人の数だけ幸せがある。
都会の夜景を散々にバカにしてきたが
ビルに転々と光る数だけ、そこに人の幸せがあった。
仕事をすることはどういうことなのか。
それは、生きていくために必要なことである。
でも、それより大事なことは、
好きなことを最大限に輝かせること
ではないだろうか。
毎朝の通勤で隣の人を思う。
この人は何をしているのだろうか。
リッキー・おGに言われた一言が今の僕の自信だ。