心の絆創膏の貼り方は一つではない
絵を描いていると、ポツポツ昔のことを思い出す。思い出すきっかけは夢が多い。
夢でも、まるで昔に戻ったみたいに、リアルな雰囲気を感じる。家の廊下の軋む音だったり、色褪せた柱の色だったり、ドアがバタンと閉まる音だったり。
思い出せないだけで忘れたわけじゃない、という言葉があるけれど、本当にその通りだ。絵を描くことで、それを実感できた。
ただ静かに存在していた、些末な過去に出会えるかもしれないと思うと、夢を見るのも楽しみになった。
それは「こんなことがあった」という表面的な記憶ではなく、もっと、光の強さ、匂い、色のくすみ、非言語的な感覚、みたいな深い記憶だからだ。
これもセルフセラピーみたいなものかもしれない。
心の絆創膏の貼り方は一つではないのだな。