インクルTechスタートアップ「Lean on Me」:現在地とこれから【役員対談】
「障がい者にやさしい街づくり」の理念のもと、インクルTechによる社会課題解決を目指すスタートアップLean on Me(リーンオンミー、本社:大阪府高槻市)。現在、障がい者支援者向けのオンライン研修SaaS「Special Learning」の提供を主軸としています。このたび、事業展開・拡大に向けて、採用を強化していくこととなりました!
採用note第1弾は、代表取締役、取締役、CX部門責任者による対談!リーンオンミーのこれまでと現在地、そしてこれからについて、ざっくばらんに語ってもらいました(中長期ビジョンや採用についてはこちら)。
対談者プロフィール
志村駿介(代表取締役 CEO)
1990年生まれ。ダウン症の弟を持ち、障がいのある人と自然と共生する環境で過ごす一方で、一般社会の「障がい」との向き合い方に課題を感じる。真のノーマライゼーションの実現を志し、2014年に株式会社Lean on Meを設立。
K氏(取締役)
専門学校卒業後、アメリカでギフテッド教育に携わる。帰国後、2021年6月にLean on Meの1人目のエンジニアとして入社。22年9月より取締役就任。
中村太一(CX部門責任者)
1981年生まれ。2014年から障がい者に特化した人材ビジネスに関わる。2022年にLean on Me入社。現在はSL事業のCS・開発・コンテンツ制作の統括および新規事業の創出。
*********
リーンオンミーの現在地
The Model導入によって生まれた、チーム間の溝
Q:現在19名が働くリーンオンミーでは、The Modelを採用していますね。詳しい組織体制について教えてください。
志村: The Model の構想を描き始めたのは、2020年8月末。まだ社員が2~3人だった頃でした。通常の営業活動では、1人の社員がアポイントメントを獲得し、受注、お客様のサポートまで担当しますが、The Modelはマーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門と、分業制の働き方となっています。
SaaSは科学です。The Modelは、策の良し悪しやKPIの推移などをより振り返りやすいと考え、採用しました。なお、フィールドセールスは業界にあまりフィットしないため、弊社ではアカウントエグゼクティブという名称に変えています。
Q:The Modelを採用してから、効果や変化はありましたか。
志村:せきららに話すと、最初は部門ごとの役割が不明確で、横の連携も難しい面がありました。そこで、弊社のコアバリュー(後述)である「デコボコをかけ算しよう」を意識的に呼びかけましたが、色々なぶつかり合いがありましたね。
K:The Modelの導入によって、専門性が生まれ、役割を個人のタスクに落とし込みやすくなりました。一方で、分業制にしたことで、チームごとのポジショニング、すなわち「自分のチームの目標を達成できればOK」という文化が生まれ、チーム間の連携が薄れてしまいました。「ぶつかり合い」と聞くと悪いイメージを抱くかもしれませんが、どれも必然的に生まれた、建設的なものだったと思います。
Q:チーム間の溝は、どのように解消したのですか。
K:ただ「話し合いましょう」と言うだけでは解消しないので、ミーティングの前提や認識をそろえる過程を重視しました。責任者は、どうしても「チームを守らなければ」という意識が働きます。そこで、チームだけでなく、会社全体としての目線を合わせ、足並みをそろえる場を、繰り返しセッティングしました。
中村:私は、The Modelを導入してしばらくしてからの入社だったので、衝突はあまり経験しませんでした。全員、「サービスを導入してくださる事業所を一つでも増やす」という共通目的に向かって、分業の壁を意識しながら進めていたと思います。他責的な意見もあまり聞かれなかったので、The Modelがうまく機能して、どんどんコミュニケーションが進んでいった印象がありますね。
目線、仮説、オンとオフ。それぞれのコミュニケーションの工夫
Q:リーンオンミーはリモートがほとんどで、皆さん、チーム間やチーム内のコミュニケーションを工夫されていますよね。マネジメントする上で、意識していることはありますか。
志村:大事にしているのは、役職やレイヤーは違っても、同じ人同士として上下関係を作らない、ということです。どんな人からも学ぶものがあるので、必ず一旦素直に話を聞くようにしています。原体験になっているのは、重度知的障がいのある方を支援する事業所で働いたことです。支援者の中には、利用者に対して上から目線の人もいましたが、僕はなるべく同じ目線でいたいと意識していました。リーンオンミー全体で共通しているカルチャーでもあると感じています。
K:意識しているのは、相手のことを尊重し、主体性を促すことですかね。僕の場合、マネージャーとやり取りする機会が多いのですが、彼らには「自分の仮説をぶつけてほしい」とお願いしています。「このデータをもとにアクションします」「こう動けばこのような結果が予測されます」と話してもらうことで、頭の中で、何をどう考えているのかがわかりやすいんです。
あとは、前提条件や共通認識がずれないようにコミュニケーションを取ること、ビジネス上のボトムラインを下回るようであれば、適切に介入する旨合意形成をしておくこと、といった点を重視しています。
中村:人間って感情の生き物だと思うので、理屈だけで動かすことは難しいと感じています。感情面はモチベーションやパフォーマンスに直接影響するので、そこはちゃんと理解したいと思っています。例えば、「メンバーがしんどくなってしまった」「マネージャーの業務がパンパン」といった課題が起きたときって、色々な原因はあるものの、ひも解いていくと「チームの目標が曖昧」「役割分担が適切でなかった」といったことの積み重ねだと思うんです。それによって、モチベーションが下がってしまう。なぜ課題が起きたのかをしっかり把握し、問題点を明確にするプロセスは大事にしていますね。
あとは、これは理想でもあるんですが、オン・オフ、短期・長期の2軸をもとに、抜けている部分がないかを確認するようにしています。
Q:オフもですか。
中村:はい、できればプライベートの部分も、雑談ベースで聞きたいですね。1on1の時は、こちらから雑談をたくさん出すことで、話しやすくなるように心がけています。
Q:リモート会議だと、時間内にしっかり終わらせるためのタイムマネジメントが重視されますよね。余白的なコミュニケーションを取る難しさを感じます。
中村:まさにそこが難しい点で、タイムマネジメントをやりすぎると、人って話したいことを話せないんですよね。だから、スケジュールの後ろの「余白」を意識しています。会議の時間が多少のびたとしても、それ以上に大事な話だよねと、意図的にタイムマネジメントを崩すことはあります。もちろん、スケジュール的に毎回ゆとりがあるわけではないので、時間が空いたタイミングを見逃さず、話せる時に話すことを大切にしています。
リーンオンミーのこれから
組織の羅針盤、6つのコアバリュー
Q:リーンオンミーには、6つのコアバリューがあります。これらの意義や位置づけについて教えてください。
志村:「〇〇ができたら達成」といったタスクベースのものではなく、常に追い求め続けるもの、という位置づけだと思っています。全部を完璧にできる人は少ないと思うのですが、どうすれば近づけるかを考え続けることに価値があるし、それをできる人がリーンオンミーで活躍し続けているなと思います。
Q:マネジメントの上で、コアバリューはどう意識していますか。
K:羅針盤のようなイメージです。ルールや制約というより、従業員が悩んだ時に見る羅針盤、というのが理想かなと思います。
中村:今聞きながら思ったのは、「個人がどう成長するか」を表したもの、ということです。社員が一歩踏み出せないでいる時や、盲目的になっている時に、あえてコアバリューを差し込むことはありますね。実は強いメッセージなんですが、ワンセンテンスが短く、ニュアンスが柔らかいので、日常会話に混ぜ込みやすいんですよ。
特に「デコボコをかけ算しよう」は、一番よく出てくる言葉です。能力って、人によって全然違う。できない部分を細かく指摘しはじめるとキリがないので、信頼して任せることで、個々の能力を引き出せたらいいなと思っています。我々みたいなスタートアップには、特に大事なことだと感じています。
Q:採用の際も、コアバリューは羅針盤のような存在でしょうか。
志村:そうしたいなと思っています。どの会社も試行錯誤する部分だと思いますが、リーンオンミーで一緒にやっていく意義がコアバリューにあると思うので、大事にしていきたいですね。
土台が整った今、必要なのは「起爆剤」
Q:スピーディに変化を遂げているリーンオンミーですが、今はどういう段階だと認識していますか。
志村:ここ1年で、まるで別の会社のように変わりました。3年ぐらい前までは、組織のていをなしていない、何もない中、がむしゃらでやっていました。その後、投資家の方々に出資していただき、社員もすごく増えたのですが、マネージャー層の採用が遅れ、組織が機能不全になってしまった時期がありました。リモートで、人事評価制度もなく、社員がパフォーマンスを十分に発揮できない環境でした。そういう時って売り上げものびないし、雰囲気も良くないし、常に内側を向いたコミュニケーションというか…本来、自分たちが解決したい課題は会社の外にあるはずなのに、ずっと社内の話をしていたんです。非常にしんどい時期でした。今は、ここ2年ぐらいでコツコツやってきた部分が、体感を得られるぐらいの変化となって表れている段階です。社員が会社の外へ、そして前へ目を向ける環境になっていると思います。
K:これまでは、会社の成果や実績が、各個人のパフォーマンスによって作られていることが多かったんです。ものに例えるのは適切ではないかもしれませんが、以前は、一人一人がパーツの完成度をそれぞれで高めていた状態。今は、歯車がかみ合い、うまく回って、チームとしての成果が上がるようになった状態ですね。
今は、この歯車の遠心力を意識しなければならないなと思っています。外側で回る人と、真ん中で回る人では、重力のかかり方が違います。そこを意識しながら協力しあって、チームとして成果を出す。ここに個人の成長も乗ってくると、組織がさらに良い状態へ進むと思います。
中村:これまで、セールスからカスタマーエクスペリエンス(プロダクト開発やコンテンツ制作など、直接的な顧客体験を担う部門)まで、全マネージャーが定期的に集まって話し合う場が育まれてきました。小さい会社だからできることだと思いますが、全領域のマネージャーがそれぞれの進捗、自分たちから見た他チームの課題など、自由に意見をぶつけ合います。ユーザーファーストな意思決定がしやすくなり、息が合ってきた感覚があります。
Q:さらなる成長に向けて、リーンオンミーは採用を強化しています。どのような方に来てほしいですか。
志村:現在は、社内の連携が取れてきて、前を向けている、ちょうど良いコンディションです。ここからは、成長角度をどんどん上げていく必要があります。そのためにも、トップラインを上げる起爆剤となるような、周りを引っ張っていってくれる人物の割合を、もっと増やしていく必要があると思っています。ただ、リーンオンミーのカルチャーとしては、他者をリスペクトする人格も求めていますね。フィーリングがマッチすれば、活躍していただけると思います。
K:成長意欲があり、素直で誠実な方が合うと思います。あとは、会社の理念の実現と、個人の自己実現が少しは重なっている、もしくは方向性がある程度同じほうが良いのかな、と思っています。
Q:組織にとって、どのような変化が必要だと感じていますか。
K:着実に、一歩ずつ積み上げていくしかないと思います。目の前に壁があったときに、よじ登っていくのか、横から回るのか、乗り越え方は人それぞれです。その方法自体に、あまりこだわりはありません。地道にトライアンドエラーをして、変化に順応していく。その過程を繰り返していくと、振り返った時に大きな変化があるのではないかと思います。
中村:土台が整ってきたからこそ、ここからは「どれだけ収益拡大・急成長についていける組織にするか」が重要な視点だと思います。僕は、ソーシャルとビジネスのバランスを楽しめる人が必要だと思っています。この2つは両極端のところにありますが、福祉的な側面と、収益性の高い持続可能なビジネスモデルの構築、この両方をうまく進めるのが、リーンオンミーとしての成功のカギです。この無茶苦茶な状態を楽しめる人が来てくれればな、と思います。自分のwillと組織のwillをくっつけるのが得意な人は、活躍しやすいかもしれません。あと、どうしても真面目になりがちな業界と会社なので、閉塞感や慣例を楽しみながら壊すことができる人がいたら良いなと思います。
Q:最後に、リーンオンミーで働くことを検討している方々へ、メッセージをお願いします。
志村:僕らが向き合っている課題は、とても大きく、これまで誰も解決できなかったものです。作ろうとしているものは、社会にとって必要不可欠なインフラになると思います。トライアンドエラーの繰り返しで、しんどいこともたくさんあるかもしれませんが、達成感は半端ないはずです。そこに向けて一緒にチャレンジできる仲間が、リーンオンミーにはたくさんいます。お待ちしております!
<<<<採用情報>>>>
Lean on Meでは、一緒に働く仲間を募集しています。詳しくは下記をご参照ください!
・notion
・志村代表取締役note
(取材・編集:原菜月)