私的解題−10「地形篇」 孫子の兵法をプロジェクト マネジメントの観点で翻案したら
「10 地形篇」プロジェクトハンドリングのガイドラインですね。
もう少しで最後なのでお付き合いいただければと思います。
「プロジェクトにはさまざまなタスクがあり、簡単なものもあれば難しいものもありますが、各々、対応に応じて利と損失が伴います。リーダは、プロとしてこれらのことを理解しなければなりません。」
→ 「プロジェクトにはさまざまなタスクがあり、簡単なものもあれば難しいものもあります」のところは、言われなくても判っています。というところですね。
次が「各々、対応に応じて利と損失が伴います。リーダは、プロとしてこれらのことを理解しなければなりません。」ですね。
以前の章では、リスクにもプラスとマイナスがあると言っていましたが、対応にも「利と損失が伴」うと言っているわけですね。
リスクの方はどちらかというと、発生したイベントから連鎖的に起きてくるイメージですが、対応の方は「伴」うわけですから、同時に、裏表の関係で起きてくると言っているので、「利と損失」のバランスを考えて、対応しないといけないとなるわけですね。
囲碁ではないですが、ここに石を打てば、大きな囲いをとられるかもしれないけれど、ここに石を打たなければ総崩れになる。というような場合も想定しないといけないよと言っているわけですね。
だからこそ、「リーダは、プロとしてこれらのことを理解しなければなりません」となるとなります。
だからゆえに
「各タスクはプロジェクトの重要な要素です。その扱い方を理解しているリーダは必ず成功しますし、扱いを知らないリーダ、雑に扱うリーダは必ず失敗します。」
→ となるわけですね。
その上で
「そして、あるタスクに対する進め方が目的の達成に通ずると判断できるなら、人がどう思おうと進めるべきですし、進め方が目的の達成に通じないと判断したときは進めてはいけません。進めるべき時には進め、退くべき時には退くことができることがリーダとしては重要です。」
→ この通りで、「目的の達成に通ずる」かを見て、進めるか、進めないかの決断を行い、それを『実行』できないリーダはダメだと言っています。
そして、ここで少し話が変わって、
「プロジェクトを進める中で、プロジェクトの責任に耐えられず逃げ出すメンバー、ルールを守れず勝手に緩むメンバー、落ち込むメンバー、自分を見失うメンバー、混乱するメンバー、そして障害やリスクに巻き込まれた途端に対処も考えずプロジェクトから逃げ出すものがいます。これはリーダの運とか言ったものによるものではなく、リーダの能力によるものです。」
→ プロジェクト運営を行ていると、組織の中で問題を抱えるメンバーが出てくるわけですが、これは採用したメンバーの当りが悪かった=「リーダの運」ということではなく、「リーダの能力」だと言っています。
なぜ、そう言えるのか、
「プロジェクトの達人は、行動を起こす前に状況や対応策を把握しているため、行動を起こすときに迷いがなく、たとえ障害が発生しても、その対応策をすでに考えているため、つまずくことがありません。プロジェクトの達人は、自身と自らの組織を知り対象を知ったうえで動くので、必ず成果を出します。また、プロジェクトスコープを正しく知り、状況を理解しているので、必ずゴールにたどり着きます。そして、名声を求めず、非難も恐れず、組織とメンバーのことを考えてプロジェクトに貢献するリーダは組織の宝と言えます。」
→ 「プロジェクトの達人は、行動を起こす前に状況や対応策を把握している」がゆえに「その対応策をすでに考えて」いて対応できるから、プロジェクト全般だけではなく、前述のような人にかかわるようなことは起こらない。要は前の章にもあったように、プロジェクト全体のコントロールの中心に自分を置き「自身と自らの組織を知り対象を知ったうえで動くので、必ず成果を出します。また、プロジェクトスコープを正しく知り、状況を理解しているので、必ずゴールにたどり着きます。」となるわけですね。
そして、そういう中で、
「名声を求めず、非難も恐れず、組織とメンバーのことを考えてプロジェクトに貢献するリーダは組織の宝と言えます。」
と結んでいるわけです。
だんだん、以前の章で記載されていた趣旨が形を変えて反復的に現れてきました。
腹落ちさせるための手法でもあるわけですが、以前の章で語っていた『コントロール』という言葉の重さと深さが、わかっていただけているかと思います。
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