かつてヨーロッパを襲った「ペスト(黒死病)」に、今の私たちが学ぶこと。
私たちにとって、これまで経験したことのない感染の広がりを見せている新型コロナウイルス。
「こんなウイルス、未だかつて見たことない・・・」
そう感じている方も多いのではないでしょうか?
しかし、歴史の世界を遡っていくと、かつてヨーロッパの人口の3分の1を死に至らしめた「ペスト(黒死病)」という恐ろしい病が存在するんです。
このペスト、名前はよく耳にするものの、実際どんなウイルスで、どんな歴史的影響を及ぼしたものなのかみなさんは知っていますか…?
そこで今回は、コロナ禍のいま、知っておいて損はないであろう「ぺスト」の歴史を振り返ってみたいと思います!
ペストから見る中世ヨーロッパのあり方や、そこから学ぶ私たちが今すべきことなど、いくつかの視点で疫病について様々な考えを巡らせてみます。
きっと私たちにも、少なからず出来ることがあるはず。
01 ペストってどんな病気?
出典 https://www.musey.net/3787
かつてヨーロッパの人口の3分の1を死亡させた脅威の疫病、「ペスト」。
西暦1347年にヨーロッパの地に解き放たれ、1348年には特に大流行してしまいます。
ペスト菌を持っているネズミから血を吸ったノミが人に媒介する恐ろしい病で、当時の農民人口を急激に減少させたことで知られています。
症状としては、発熱や頭痛、悪寒などの全身症状が現れ、皮下に黒い出血斑ができることもあったそう。
そのため、「黒死病」とも呼ばれています。
コロナの症状と共通しているのは、発熱や頭痛。
ここだけ見ると普通の風邪の症状ですが、これらの本当に恐ろしいのはその感染力・・・パンデミックを引き起こしているというところにあるのでしょう。
では、ペストについてざっくりではありますが理解が得られたということで、次にこの病が14世紀の当時の農民に与えた影響を見ていきましょう。
02 ペストが奴隷の解放に繋がった?
沢山の犠牲者を出してしまった憎き病「ペスト」は、歴史にプラスの影響もマイナスの影響も、どちらの影響も与えました。
はじめにプラスの影響から説明していきます。
ペストの流行により、特に命を多く落とすことになったのは農民(奴隷)層でした。
そのため、当時農民を奴隷として働かせていた領主たちは、労働力の確保に苦しむことになってしまったのです。
そして領主たちは労働力を確保するために、やむをえず地代を軽減したり、身分的束縛を緩めたり、高待遇を与えたり・・・ということをしなければなりませんでした。
結果的に、これが農民奴隷たちの地位を向上させることになったのです。
農民を殺してきたペストが、生き残った農民たちを奴隷から開放するという皮肉ですが、これは歴史的進歩と言えるでしょう…。
ある程度の自由を得た農民奴隷たちは、農奴解放による更なる自由を求めはじめ、この頃には農民一揆が頻発。
このような動きがヨーロッパ各地に広がり、当時の封建社会は崩壊へ。
ペストの流行が中世から近世・近代に歴史が動くターニングポイントになったと言っても過言ではありません。
多くの犠牲の上に、成功や希望があるというのは、残酷にも歴史上の不変のルールなんですね。
03 ペストに学ぶ、私たちがしてはいけないこと。
しかしもちろん、ペストはマイナスの影響も生み出しています。
それは多くの死者を出してしまっただけではありません。
ペストは、ユダヤ人の迫害をも引き起こしてしまったのです。
ヨーロッパにおけるユダヤ人の迫害は早くから存在していましたが、このペストがその流れに拍車をかけたのです。
ひとりの男が小さな町の会議にて「ユダヤ人が自分の井戸にだけ蓋をしている」と言い、ユダヤ人が井戸に毒を流しているのではと告発したのが、ペスト由来のユダヤ人迫害のきっかけと言われています。
ペストの流行が原因で殺戮されてしまったユダヤ人はなんと2000人以上・・・。
さらにこの時、ユダヤ教からキリスト教への改宗強要などもあったようです。
未知のウイルスから来る恐怖で、誰かに責任を植え付けたり、人々の精神面に焦りや不安が出るのは仕方がないことかもしれません。
しかしこれらの歴史を振り返ってみて、
「誰がはじめにウイルスを流した」
「疑わしい人と同じ人種や同じ宗教の人、同じ地域の人を迫害・差別しよう」
という議論が如何に残酷で心苦しいものかは、言うまでもありません。
不毛な犯人捜しよりも、今できることを・・・
この部分だけ見ても、私たちが歴史に学ぶことは多いはず。
04 歴史から「突破口」を得るために。
出典 https://www.musey.net/33769
ペストとコロナのパンデミックを考えようとした時に、交通網の発達は避けては通れない部分ですが、これらの技術的な進歩を止めるということはほぼ不可能ですよね。
しかし歴史上の人々も様々な発達の中で、その発達自体を利用しながら、検疫施設を作ったり、研究を進めたりと・・・試行錯誤を続けて未知の病と戦ってきたのです。
私たちが自粛生活の工夫や感染対策を徹底したり、医療従事者や専門家たちがワクチン開発や対応の研究をしたりしているのと同じように…。
ペストとコロナの相違点・共通点は様々ですが、そのどちらからも本当に色々なことを学び、考えることができると私は思っています。
参考にできそうなところもあれば、繰り返してはいけない、真似してはならない部分も多々。
今回のこの記事が、今の状況を良くするためのなにかのキッカケになっていれば幸いです・・・!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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