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学校の先生とのやりとりで心がけていること

10月は #ディスレクシア月間
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#ディスレクシア月間

ST・サキ 小学4年生の娘が読み書きが苦手です。お子さんのことばの育ちを見守る言語聴覚士として働いています。学習のベースになる社会性を育むこと、ライフハックを身につけることを大切にしています。娘には「わからない」「やりたくない」「手伝って欲しい」「こうしたらできる」と声に出していいことを伝えています。 X・Instagram:@watashipalette

学校とのやりとりに困った経験はありませんか?

学校の先生方と読み書きが苦手な娘にどんな配慮ができるのかを話し合うなかで、いつも思うことがあります。

「先生と親の間を取り持つ専門職がいればいいのにー!」

これを読んでいる方は、「いやいや、あなた言語聴覚士じゃん。楽勝でしょ」と思われるかもしれません。事実、言語聴覚士として培った考え方をベースにやりとりしているので、否定もできないのですが…

目の前の課題をひとつひとつクリアしていく過程で、そうせざるをえない現実があったからということもここに載せてみます(だって、イラッとする内容も、STとしてなら、自分を抑えて話しができるんだもん)。

労力をかけずに専門職へたどりつけるような道筋が浸透する世の中になってほしいですが、学習障害の相談ができる機関が少ないことを思うと、なかなか難しいですよね。

それなら、わたしたち親が踏ん張るしかない!

読み書きが苦手で学び方がちがう子の母であり、幼稚園や保育園などへの巡回相談や訪問支援をしている言語聴覚士のわたしが感じたこと・心がけていることをご紹介します。

学校の先生はいつも忙しい

学校の先生とお話しをすると、「どうしていつも忙しそうなんだろう?」「疲れ切っているけど大丈夫かな?」と感じる先生にたびたびお会いします。働き方改革は、実際のところきちんとされているのだろうか?と心配になるほどです。

とはいえ、そんな大人の事情は、こどもたちには関係ありません。すべてのこどもたちに利益があるような学校運営をしてほしいと願っています。

「学習障害があります」「配慮してください」とお伝えしたにも関わらず、良い配慮・支援に繋がらなかったという経験はありませんか?

わが家の場合は、学習障害を知らない先生はひとりもいらっしゃいませんでした。ですが、“学習障害の子=写真を撮って板書の代わりにする”という理解の先生、たどたどしい文章の読み方を聞いて「ちゃんと読めてますよ」と判断される先生が多かったです。

学習障害という名前や合理的配慮が義務化されたことも、先生方はご存知です。でも良い配慮・支援には繋がらないのは、常に業務に追われ、障害や配慮について深く考え学ぶ時間がないのだと感じました。

そのため、わたしたち親は、こどもたちに利益がもたらされるように、忙しい先生方を労いながら伝えていくことがより良い配慮・支援に繋がるのかもしれません。

「できること・できないこと」を相談しながら、学校と家庭で一緒にがんばっていきたいという協力関係を築けると良いですね。

学校の先生の専門は、クラス運営

言語聴覚士や作業療法士をはじめ、専門職と呼ばれる職業の人たちは、その子にどんな配慮・支援ができるのか、つまり個別の支援をみつけることが得意です。

しかし学校の先生は、クラス運営が専門です。

専門職と学校の先生とでは、持っている良さがちがいます。
学校の先生が“その子個人の細かなところまで目が届きにくい”のは、仕方がないのかもしれません。

そもそも、良い支援って何でしょうか?
たくさん勉強して知識を持っていることでしょうか?

先生方とお話しをしていると、「学校の先生は、実践家が多い」と感じます。忙しくて勉強している暇がないのもそう感じるひとつではありますが、実践しながら勉強されている印象があります。

個人的には、感覚的にこどもと関わって、「コレで良いのかな?」と試行錯誤してくれる先生が好きです。「この子はどんなことに困ってるんだろう?」「どうすれば楽しく学校に来てくれるだろう?」と想像力を働かせてくれる先生は、その後のやりとりも上手です。

なかには、失敗や間違えることが苦手なお子さんもいらっしゃいますよね。保護者さんの考え方によっても、もっと理論的に、慎重に関わってほしいと思われる方もいるかもしれません。

ですが、良い実践って、理論的なんです。

できればそれを言語化して肯定してくれる専門職が先生方の近くにいてほしいのですが、お子さんの思い、親の思いを伝えた上で、先生がどのくらいの問題意識を持ってくれているのかを共有できるといいですね。

それに、良い配慮・良い支援だけがこどもの成長を伸ばしてくれるわけではありません。“たまにはそういうこともあるよね”と失敗から得る学びも大きな経験だと思っています。

引き継ぎは親も一緒に

わたしは今年の年度末、進級のことで不安だったことがありました。なぜなら4年生からの学習は、文字から知識を得て学びを深めていく勉強へと変わっていくからです。3学期に入ったあたりから、担任の先生だけではなく校長先生にも、何度も相談をしていました。

わたしは、トライ・アンド・エラーしながら娘の配慮・支援について一緒に考えてくださった、担任の先生や校長先生を信頼していました。なので、「お母さん、4年生になってからも娘さんが安心して学校に来られるように、引き継ぎはちゃんとするから安心してね」という力強い言葉に安心しきっていました。

でも問題意識って、先生によってもちがうし、学校と親という立場からでも温度差がありますよね。

これはわたしの一方的な感じ方ですが、実際は、あってないような引き継ぎで…。進級当初の4月は、去年までの学習方法を受け入れてもらえず心が壊れていく娘の様子を見て、“学校の理解が得られるまで登校させない”という手段を考えたくらいでした。

ただ今回の件は、引き継ぎはどんなやり方でいつのタイミングでお願いすればいいのか、わたし自身もすごく悩んでいた経緯があります。そういう意味では、今後に活かす良い経験にもなりました。

まずは、3学期に入ったあたりから、担任の先生と“引き継ぎをどうしていくか”を相談できたら良かったのかな”という反省があります。資料も用意して、今までの取り組みの内容や次年度に向けてお願いしたい内容を把握できると良いのかなと思います。そうすれば、次の担任の先生に、親の思いも含めてよりこどものことを具体的に知っていただけるのかもしれません。

次に、進級後の面談をいつ設けるか。わたしは“引き継ぎがキチンとされている”という前提の元、4月末からゴールデンウィーク明けくらいに面談をお願いをする予定でした。進級早々は、先生方も忙しい。せっかく資料をお渡ししても、たくさんの資料のなかに埋もれてしまうだろうと想定されたからです。

いろいろと想定外の出来事はありましたが、5月のゴールデンウィーク明けに面談の時間を設けていただき、大正解!娘の小学校は教科担任制なので、娘に関わるすべての先生が参加してくださいました。資料を元に、娘の特性をお伝えしながら、それぞれの教科ごとに“どんなことができるのか”を話し合いました(もちろん、話し合いの中でわたしが諦めたこと・頭を悩ませたこともあります。例えば、デジタル教科書・教材の使用や漢字テストについてなど…)。

“引き継ぎを学校任せにせず、親も交えて一緒にできると良いかもしれない”が、わたしの学びではありますが…。エネルギーの消耗が半端ないので、ご無理なさらずに。

良い配慮・良い支援は、その子によって、その学校によってさまざまです。“文字の読み書きに苦手さがあるから”ではなく、その子が安心して楽しく学校に通うためには何ができるのか。家族みんなが笑顔でいられる生活を、その子らしく生きられる生き方をいちばんに、どんな配慮・支援を選択していけると良いのか考えていきたいですね。

最後に

わたしの体験談を中心に、学校の先生とのやりとりで心がけていることを紹介しました。
このタイトルで文字を書き進めるなかで、「相手を尊重しながら話し合いをする」ってどういうことなんだろう?の答えが、少し見えてきました。

話し合いがうまくいかない理由のひとつに“気持ちがこどもに向いているようで、実は、自分自身に向いている”、があるのかもしれないな、って。

例えば、「前例がないからできない」ということば。わたしには、保身のことばに聞こえてしまうのですが、みなさんにはどう聞こえますか?
自分を守る話になってしまったら、気持ちはこどもに向きません。するとボタンの掛け違いはずっと起こったまま。先生と親の関係が崩れるだけで、実りある話し合い、今よりもちょっと前進する配慮・支援に繋がっていきません。
そういったボタンの掛け違いが起こらないように、お互いにこどもに気持ちが向くように、「一緒に考えていきたい」「何かあったら家庭でもフォローする」という思いに繋がるんだろうな、と思いました。

「相手を尊重しながら話す」って、「相手をコントロールしない」ことなのかもしれませんね。改めて、先生への感謝のことばはこまめにお伝えしなくちゃいけないな!とひとつひとつ紐解くなかで感じました。


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