LCAの実施については様々な工業会でガイドラインを作成しているようです。 業界団体でルールをある程度決めないと各社各様、異なった前提で計算を行う可能性が高いからだと思います。 グローバルではTogether for Sustainabilityというイニシアチブがガイドラインを作成。 https://www.tfs-initiative.com/app/uploads/2024/03/TfS_PCF_guidelines_2024_Japanese_pages-low.pd
LCAのデータベース間で相互に互換性があるかというと、正直現時点ではまだ無いと思われます。 CO2でもCO2(fossil)という名称もあればCO2、という表示だけのデータベースもあります。 バイオ由来や土地利用変化由来のCO2を含んでいるデータベースもあれば無いものもある。 で、データベースの間でフローを合わせる(マッピング)という作業が必要になります。 数千ものフローのマッピングをユーザーが単独で行うのは難しいのではないでしょうか。 近い将来統一されたフロー体系ができて、
LCAの実務ではデータ収集に時間がかかります。ある製品を作る過程で投入される材料、エネルギー、副資材といったインプットやアウトプット情報を収集するのはかなり難易度が高いです。 また細かい点を挙げると、購入品の輸送データなんかも必要だったりします。 ここで大事なには「大枠を掴む」ということです。 細かな点を気にしていれば、LCAで必要なデータは1年かかっても集まらないかもしれません。 例えば輸送データで必要な、輸送距離、トラックのサイズ、積載率といったデータも調達品毎に細かく
最近、OEMメーカーがサプライヤに対して製品のLCA結果の値を出して欲しいという依頼が増えているらしい。 サプライヤ側でLCAを実施して入れば良いが、そうでない場合のソリューションが開発されている。 つまりサプライヤ側でLCAで言うところのフォアグラウンドデータ(インプットとアウトプット)を入力するとCFP等の値が下流に伝わるものです。 有害化学物質の管理や、自動車業界のIMDSのようなものかも知れませんが、気になる点が一つ。 データのセキュリティが本当に担保されるのか、と
LCAではカーボンニュートラル(炭素中立)という考え方が一般的に使われているような気がします。 バイオマス由来のCO2については、元々大気中にあった二酸化炭素が光合成で吸収され、最終的に大気に戻るからノーカウントするというものです。 つまりCO2は化石燃料由来のCO2のみをカウントする、といった考え方になります。 これは木材などのバイオマスが、伐採後に再度植えられる、という前提で成立するのであって、伐採後に更地にしたり工場を建てたりすると固定されていたCO2は排出とカウントす
LCAで算出する環境負荷で最も使われているのがCO2かと思います。 正確にはCO2だけでなく、CH4(メタン)やN2O(亜酸化二窒素)といった他の温室効果ガスを含めたCO2換算値(equivalent)で算出するのが求められています。 最近ではバイオマス由来のCO2や土地利用変化のCO2を求められることも多いようです。 海外では温暖化に影響を及ぼすCO2だけでなく、酸性化や水の消費といった他の影響評価も求められることもあります。 中々理解が難しいかもしれませんが、グローバ
EPDはLCAと殆ど同じですが、異なる点が2点。 ①PCR(Product Category Rule)というLCA実施のルールブックに基づいてLCAを実施するということ。 ②実施した結果を第三者が検証するということ。 注意点はEPDを公開したからといって環境負荷が低い、ということにはならない点です。 ただEPDを実施するという企業の姿勢は評価されるべきだと思います。 欧州の環境フットプリントもEPDの一種といえます。
Scope3という考え方はかなり浸透しているような気がします。 Scope1が自社でのエネルギー消費に伴うCO2排出、 Scope2が購入してきたエネルギーに伴うCO2、 Scope3が上下流のCO2. ただLCAとScope3という言葉が混合されている事が多いです。Scope3は企業や組織を対象としたCO2計算の考え方で、LCAは製品を対象としています。 そのため従業員の通勤や出張などScope3には含まれるけれど、LCAには含めない内容もあります。 分かり辛いかもしれませ
LCAを実施する上で必須となるのがデータベースです。 所謂バックグランドデータで、環境負荷の原単位となります。 産業連関表データは金額あたりの原単位、積み上げ法データは1㎏あたりや1kWhあたりの原単位となります。 正確な製品のLCAでは積み上げ法データを使うことが多く、企業のLCA(Scope3)の計算では産業連関表データを使うことが多いです。 積み上げ法データは IDEAやEcoinvent, GaBiといった原単位が広く使われているようです。 データは各開発元毎に作り
今回はLCAを実施する方が使うと思われるソフトウェアについて。 私が触ったことがあるのはMilca、Simapro、GaBiといった所です。あと勿論Excelも。 Excel以外はどれも高いツールかと思います。これはデータベースと呼ばれる原単位が搭載されていることも理由だと思います。 一つ言えるのは… こういった専用のツールをそのまま使った方が良い、という事です。Excelにデータを移して使うことも多いかと思いますが、結局データベース、スタンダード、特性化係数のアップデート
企業の担当者はScope3だとか、タイプⅢのラベルだとか、客先の要望といった理由でLCAを実施する事が多いと思います。 原材料の採掘まで遡って環境負荷を計算する、なんて事は実際の所不可能に近いので、仮定に仮定を重ねて計算を行います。 そう考えると環境負荷の絶対値はそれ程大きな問題ではなく、どうやって環境負荷を下げていくのか、を把握・検討するツールだと思います。 算出までが大変なので、それ自体が目的になってしまう事が多いと思いますが、ここが一番大事な気がします。
はじめまして、アキラと申します。 仕事で企業へのLCA(ライフサイクルアセスメント)の支援をやっていました。 最近LCAについて関心のある企業が増えているようですので、メモ代わりに色々と書いていきたいと思います。