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「君たちはどういきるのか」鑑賞してきました。

話題作ということで前々から見てみようかなとは思いつつも、とくにジブリファンでもないので二の足を踏んでいたのですが、急に仕事の休みができたのでイオンシネマにて鑑賞してきました。
公開から日数は経っているので大丈夫だろうとは思うが、見に行こうか迷っている方への後押しを先に書こうと思う。

今、見てみようかなと思っていたなら見るべきだし、何だか小難しいような前評判だなと思うなら見なくていい。それが鑑賞後のわたしの感想です。

べつに画期的な何かを受け取りはしなかった。
でも折角、見ようかなと思っているならこの記事を閉じて、変な情報を入れず見ることをお勧めする。
「君たちはどういきるのか」なんて、いかにも意味ありげなタイトルなのだから、そっちのほうが作者の意図に沿っているのだろう。
では前置きはこのくらいで、ここからは感想を。

長くなるので目次をつけてみようと思う。
それから、わたしはジブリ作品も半分くらいしか見たことの無い、もっと言ったらジブリはテレビのロードショーで子供の頃に見たアニメという位置づけの人間なので、感想も思ったままに、楽に。




「すべてのストーリー展開の意味は分からなかったけど」


結果からいうと、すべてのストーリー展開の意味は分からなかったけど、自分の思った通りのところには落ち着いたという、そういった感想だ。

火事で実母を亡くし、新しい母を認められない主人公の心の成長みる物語。

この時点で「そうじゃない」と思う方もいるかもしれないけど、ご容赦頂きたい。わたしには、それ以外に感じられなかった。

「君たちはどういきるのか」をタイトルにすることで、映画を見る前になにを受け取るのかを考えながら見ろよと前フリしておいて、主人公の幻想世界での行動一つ一つが、段階的に気持ちを整理していることを表しているのだなと感じさせられた。
少なくともわたしは、そういうテーマの作品なのだと認識して鑑賞していた。

幻想世界で魚を捌いたり、敵に立ち向かったりすることは、感情を少年なりに細分化して必死に整理しようと奮闘している姿にしか見えなかった。
だからこそ、途中からストーリーの展開を追うのをあきらめたのは事実だ。
もしかしたら、ジブリ慣れしている方はストーリーもいいと思うのかもしれないが、わたしはそっちに感情をシフトすると面白くない時間になると思ったので結構早い段階であきらめた。
昨今の刺激的なハリウッド映画やアニメを見慣れた自分にとっては、神隠しで連れていかれた幻想世界で冒険する主人公たちが、どう展開しようと、どんな敵と戦おうと刺激はない。
醜さと気持ち悪さをブツブツ鼻のキャラクターと、まとわり付く無数の生物で表現するのは相変わらず昔から変わらない。
ジブリの食べ物は美味しそうに見える? だから、なんなのだ。
そんなことに良さを見出すなら、響きの良いいいサウンドと最新技術のエフェクトたっぷりの戦闘シーンのほうが、わたしは面白い。
だから、ストーリーは気にしなかった。

「好きなキャラクターとかっこいい表現」

なんだかジブリ批判みたいな締めくくりになってしまったので、そうではないということも書きたい。

まずは好きなキャラクターから。

主人公についてきたタバコがほしいお婆さん。

主人公について一緒に神隠しにあったお婆さんだけは、他とは違う。
他の婆さんの心配は、一般的な常識からくるだけの心配だ。そこに少年専用の心配が込められていないことを、敏感な年頃の主人公は無意識に感じ取ったんだと思う。他の人たちとは違い、「タバコがほしい」という利己的理由から取引を持ちかけたあの婆さん(名前は忘れた)を、ある種の正直者と認識していたように思う。だから年齢関係なく自然と心を開き同行した。
後半になってから、他の婆さん達の格好をした人形にも優しく接しているのは、心の整理も進み、紛い物に感じていた一般的な心配心も許容できるように成長したということだろう。
まぁ、この辺りは見る人による気がする。あの同行した婆さんになにを投影するかは、個性が分かれる気もして面白い。
そういった意味でも、わたしは登場人物のなかでは、あの同行婆さんが1番の好きだ。(名前は忘れたが)

次は作中の表現についても良かった点をいくつか。

ひとつ目は、炎の表現のカッコ良さ。


冒頭のシーンから、おっ、いいな、と思ってしまった。
炎のゆらぎと熱で視界がぼやけるシーンは、迫力と色の綺麗さに目を奪われた。こういうところは、映画館ならではかもしれない。
途中でも「炎」がでてくる。
母親の命を奪った炎のイメージと、幻想世界でタバコ婆さんが武器として鞭のように使っていたのも炎。その後も炎が何度か出てくるが苦しめられるよりも、助けてもらうような使われ方をしている。そのことで主人公が前向きな青年になっていくような好感すらもてたのが良かった。作中で一貫したテーマとして、「炎」を大事に表現しているようにさえ思えた。

ふたつめは、冒頭の主人公の走り方。


音の合わせ方なのかアニメーションの上手さなのか分からないが、体重が乗っている動きが凄く気持ちよかった。力強く走る様がすばらしかった。
気のせいかもしれないが、対比して途中からの(わたしが気持ちを整理していると思った世界)幻想世界では、昔見たジブリアニメの走り方だったように思え、現実と心理の違いをより感じた。

結果として、冒頭のシーン的は大火事で母親の病院が焼けているのだからかなりショッキングな内容なのだが、この合わせ技がしょっぱなにきたせいで「すごい」が勝っていまた。
この点はわたしが純粋な見方が出来なかっただけなのだろう。申し訳ない。

他にも、ジブリファンならより楽しめるだろう。
流れる音楽も素敵。青鷺の青色もとてもキレイだ。

「結局は、良い映像作品だった」


タイトルからして、如何にも考えながら見てくれといったものを感じ、素直に考えながら愉しんだ。
エンターテイメントとして面白いかと言われたらNOと答えるけど、映画を考えながら見る二時間は良かったかと言われたらYESだ。
全ての映画がこれなら嫌だけど、全てがハラハラドキドキで感動なのもつまらないから、わたしが見る映画の中にたまに一滴たらすのも悪くないなと、そんな塩梅で感想としたいと思う。
読書に似ているかもしれませんね。スカッと爽快だけが、「おもしろ」じゃないですし。

正直、とてもいい作品だった。
最近ではコスパで物事を図りたがる人も多いだろうが、コスパ面でも最高だろうと思う。
わたしの暮らす田舎では、映画館まで車で1時間30分以上かかる。
2時間ぐらいの作品を見て、その間ずっと映画のことだけ考える。
そして忘れないように感想をコーヒーショップでメモをする。

映画代が、1000円。
カフェのゆず茶のS、470円。
時間がじかんだ、食事もする。
ガソリン代だって、最近は高い。
トータル5千円以上はかかったことだ。

それでも映画を見た次の日にまで、こうやってnoteに感想をまとめている。
これもわたしにとっては、とても楽しいことだ。
まちがいなく、映画の副産物なのだから。
5千円で二日以上楽しませたのだ、さすが宮崎駿といったところだ。

良い音響で聞く米津玄師の声も、いつにも増してムードがあるから、エンディングテーマをゆったり聞くだけでも良いかもしれない。
映画館を愉しんだ、そんな映像作品だった。

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