【随筆】アスペワイ、語る。
ASD者と書くと主語の規模が大きくなりすぎるだろうから、あくまで一感覚過敏ASDの私としてのことを書く。私は割と恒常的に色んなことに細かな不快(即ち傷つき)を覚えているからこそ、自分には分からない傷を相手が感じているかも知れないし、私に見えたり感じたりしていない可能性もあるため考えていてもそれはキリがなくまた配慮もできないからあなたがハッキリと言ってくれ、ということをよく思う。だけど、あまり理解されたことがないなと思ってきたことへの答えが出たかも知れないから記しておく。
今Xの一部でやや話題になっている「このLINEは脈アリか脈ナシか」というアレ(http://archive.today/BhKrd)は人様にオープンな場で相談をしておいて、脈ナシだと言われているにも関わらず、自分に都合の良い解釈から相手に気持ちを押し付けているから嫌われたりキモがられてやむなしだろう。私でもあれはさすがに分かるし、ああいった言動はまさしく自閉性が高いというのは確かであるが、ASD由来かというともう微妙なラインで、俗に言う恋の病とやらなんじゃないかな。
恋というのは混乱を呼ぶ感情であって脳のバグの一種だ。忌避されたり依存したりが発生することなのはこういう風に言えばある程度の人はまあ一理あるといったところから概ねそうだろうという納得をしてもらえると私は思ってこう書いてるのだけども、恋の病の発症をある程度公的にしても容認されるのは交際に至り関係性が始まってからというのが王道たる順序のうちのひとつだ。相手との時間をかけた密な関係性構築により交際に至るハードルを下げていくという過程が生じる。
ただ、一目惚れしやすかったり恋愛状態そのものが目的化されていたりすると、自己都合による最速最短距離を目指し始める。これは単なる一般的な片思いとは細分すると異なる、言わば「ガチ恋」というものがこれにあたるだろう。能動的に恋している側の「恋する思い」そのものがたいへんに真剣(ガチ)であることは事実だと認められても、「恋する思いそのものの在り方」があまりにトリッキーかつそれが貫けると一途さだけは通じ結果として成就する確率はゼロとは断言できない、といった曖昧さが手に負えないところな問題と言えよう。
例え話をする。
ハサミを持っているかいないか分からない状態でハサミを使いたそうにしているように見せるのが推される対象であるのに対し、
自分の渡すハサミで便利な良い思いを推しにして欲しいから貸したいという、煮詰められていない甘い思いが余った挙句、絶体絶命の急を要するシーンではないにも関わらずハサミの刃側を向けて慌てて手渡そうとするのがガチ恋者と言っていいだろう。
閑話休題。
冒頭に書いた理解されないことに感じてきた疑問について上記の例えを用いるとしたら、私はかねてから恋する対象や推しのような大事にしたい対象でなくても基本的に誰彼と隔てることなく
・ハサミが手近にありそうなら場所を教える
・今この場にハサミがありさえすれば良いのか尋ねる
・ハサミの手渡しはなるべく避ける
・手渡しせざるを得なさそうなら持ち手側を相手に向け声掛けをする
等々の数パターン想定を相手に提示、選択肢を委ね迷うようなら「先方の危害を減らしたい私の都合だ」と処理して押し進めてきた。
しかし、そもそも人はそれら数パターンの想定を用意するということはあまり考えにないようなのだ。それは私はされたら嫌なことが本当は多いけど我慢しているという感覚過敏ASDとして、こうして説明をさせはじめるととても小うるさいという欠点ともなる。世の中に多く存在する人から、私のこの欠点をとても醜悪かつ無粋で理解も不能といった風に「美学に反する行為」と深刻に捉えられてしまいがちだ。そして、恐らく、その美学とやらを採用した順路を追ってしまうと、私は想定しうる最善の論理解説が出来たとしてもそれが出来たことにより「鈍感者」とカテゴライズされるのが関の山だ。それら「美学」は恋愛と相性が悪いにも関わらず結び付きやすいというのもまた問題の一因なのではないかと私は推測している。
自閉傾向にあろうとなかろうとそれらに頓着なく自分が気持ち良くなりたいという一点突破ばかりしていけば、詰まるところ原因などはどうであれ相手は概ね不快を覚えハラスメントという罪を人は犯すこととなるから、相手のためを思わずとも自分にとって大きな不利が生じるということを自戒を含め肝に銘じたい。それでも人と生きざるを得ない社会生物としての自分には「美学」も少しはバランスとして取り入れないと周りから攻撃を受けてしまうこともあるので、こんな私には「美学」を目的とした理論の部分排除作業が死ぬまで付帯されるのだろう。
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