102歳の映画館
私の住んでいる場所はミュンヘンの中心部に近い住宅街なのですが、その一角に古い小さな映画館があります。
ドイツに留学したばかりの頃、私はこの映画館に毎日のように通っていました。何故かというと、ドイツ語を映像から学んだ方が、実際のシチュエーションと会話や単語が結びついて効果的なんじゃん?と考えたからなのです。
じゃ、テレビで良かったんでは?とお思われた方、、、。
はい、確かにテレビで良かったんです。
が、当時のドイツ、なんと当時はまだドイツが東西に分かれていた大昔なのですが、その頃のドイツではテレビや電化製品がめっちゃ高額だったんです。
安価なテレビやオーディオもありましたが、音質が悪過ぎて耳がおかしくなりそう、、という、私にとっては拷問レベルの酷さで、、。
そしたら、ご近所にこんな小さな映画館があるではないですか!
ドイツは映画の料金は安かったんです、、。しかも当時の私は学割でしたし。
今日、久しぶりにこの映画館の前を通ったら、102年という文字が見えたので、「え?まさか?この映画館が?」と気になってググってみました。
すると、なんとこの映画館は1919年7月12日に開かれたのだそう。
収容人数は200席。
1919年って、日本だと大正8年、なんですよね。
で、世界史で覚えているのは、ベルサイユ条約が結ばれた年。
その前年、1918年の11月に第一次世界大戦は終ったのですが、この映画館は終戦から約半年後にオープンしたということになります。
ドイツは敗戦国でしたから、きっとこの小さな映画館が、ここの住民たちにとって明るい希望のスポットになったのではないでしょうか。
私が住んでいるこの地区で特に感じるのは、人が街を動かしている、人が街に命とエネルギーを与えている、、ということ。
今日、久しぶりに歩いてみて、改めてそう感じました。
どこの国に行っても同じだなぁと思うのですが、多くの都会では、街が重要な役割や大きな力を持ち、政治や経済で動いていて、私には「人間が街に動かされている=政治と経済に動かされている」という感じがするのです。
そして都会の喧騒、車や生活音、足早に歩く人の流れの邪魔をしないように、自分も普段より速度を上げてせかせか歩いていると、なんだか少し恐さも感じます。
私は、【何かに動かされている=何かに支配されている】という風に感じてしまうものにはすべからく反抗して大人になったので、今はもう「ま、そういうのも仕方ないのよ、、。」と思えるようになった私なのに、大都会を歩いている時などは今だに何かを感じとってしまうようです。
ミュンヘンは、ドイツの中ではまぁまぁ大きな国際都市。
バイエルンという土地柄もあり、【おおらか】というか【ざっくり】というか、【まぁ、なんとかなるさ。】というバイエルンの気質が、そのままミュンヘンという街のキャラになっているように思います。
そのミュンヘンの中でも、私の住んでいる辺りは昔ながらの住宅地です。
日常、聞こえてくる会話はほとんどがミュンヘン訛りで、通りの両側に並んでいるほとんどのお店が個人商店で、、。
それが【人が街を動かす、人が街を作る】という、この辺りの印象の理由かもしれません。
今日、郵便局に行きがてら、私の住んでいるご町内&お隣のご町内の辺り一体を散策したのですが、歩きながらずんずんリラックスして心もオープンになっていくのがわかりました。
「ああ、ここに住めて良かったなぁ。」と改めて思ったご近所散策でした。
そして家に帰ってコーヒーを淹れていたら、、、。
「!!!」
私の勤務する学校にも共通点があることに気付いたのです!
学校にも政治と経済の影響力、介入は大きくあり、今までも幾多の困難な状況が天災のように降ってきては乗り越えてきたのですが、やっぱりその度に「人」が【待ったなし!問答無用!】的な状況を動かしてきたんですね、、。
そして結果、毎回、最後には政治と経済が数歩下がる、という結果になったのです。
「そうだった、そうだった、、、。いや〜、学校も街も同じだなぁ、、。」
自分が住んでいる街と勤務する学校の共通点に気づき、しかしこれは偶然じゃないなぁ、、と、今日はつくづく思いました。
それにしても、本当に自分が学校にも街にも快く受け入れられて、こうして長年、この街で仕事をして暮らしていられること、なーんて有難いんでしょう、、、。
誰にどう感謝したらいいのかわからないけど、とにかく有難い!
ありがとう!
本日のコーヒーはちょっと苦めの仕上がりになってしまったんですが、でも、今日買った新しい豆だし、こんな大きな気づきもあって大満足!
じわーっと感謝しながら、飲みました。
もうすぐ103歳を迎えるイザベラ映画館🎦ホームページ☟
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