ブドウ果汁のみで最低12年かけて熟成!カゼッリ社の伝統的バルサミコ酢ができるまで
なんと最低12年の熟成を経てようやくできあがる「伝統的バルサミコ酢」。
なぜそんなに時間をかけるのか?その工程とは?わかりやすくまとめてみました。
まずは母なる樽へ
収穫した白ブドウ(トレッビアーノ種)を搾り、専用の大鍋で一晩煮詰めてできた濃縮果汁(モストコット)を、「母なる樽」へ移します。母なる樽で酢酸発酵を開始させる。全ての伝統的バルサミコ酢の元を作る重要な種酢となります。
母なる樽に詰めるモストコットの量は2/3程度。1/3に空気を入れることで、空気接触が必要な酢酸発酵を促します。(ここがワインとは違う所!)
「母なる樽での発酵具合が、仕上がりに大きく影響するんだ」と話すのは、モデナの伝統的バルサミコ酢を製造しているカゼッリ社のシモーネ。クオルス・リストランテの伝統的バルサミコ酢もここで熟成中。
熟成1年目
母なる樽で育まれた種酢を、5樽(バッテリーア)全てに2/3程度入れて開始!
最低5つの樽で1つのバッテリーア
樽の素材はオークやサクラ、クリなど。素材によって、組み合わせる順番によって、味わいが変わる。蒸発して目減りした分量を、毎年1回、母なる樽→大きい樽から小さい樽へ(❺→❹、❹→❸、❸→❷、❷→❶)順に継ぎ足していく。
Q.なぜ樽の大きさが違うの?
バッテリーアの樽は、それぞれサイズが異なります。毎冬、モストコットを一つ小さな樽に移していくのです。長期間に渡っての移し替え液の安定供給のため、移し替え元の樽の中の量が少しづつ多くなっています。
12年熟成させる
気の遠くなるような熟成期間を経て、最終的にバッテリーア❶の樽からできる伝統的バルサミコ酢は1年でわずか10本程度。バルサミコ協会検査員によって認められてから、その場で指定の瓶に詰められる。12年以上のものには赤の、25年以上のものには金ラベルが貼られる。ちなみにモデナの伝統的バルサミコ酢の瓶は工業デザイナーのジウジ・アーロによるデザイン。 右(赤ラベル)は12年、左(金ラベル)は25年以上熟成されたものです。
現在、クオルス・リストランテの各店舗で使われている8年熟成のバルサミコ酢は、伝統的製法と同様に、モストコット(ブドウの果汁を煮詰めたもの)のみをオークの木樽(一樽)で熟成させて仕上げられています。クオルスリストランテの伝統的バルサミコ酢がデビューするのは3年後の2023年。今もモデナで静かに、熟成を続けています。
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