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詩 「fragrance」

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「今どうしてる?」

声にならないつぶやきが
君が居なくなったあとの
胸の余白に響いている__






春に出会ったころ
華やかな花風をまとう
ローズの香水をつけていた

真夏の恋に堕ちて
爽やかなシトラスの薫りの
清冽で甘酸っぱい笑顔を見せる

君と会うたびに
香水の胸のすくような薫りに
心は満たされていった__


最後に君と会ってから
もうどれくらいたっただろう?

銀杏いちょう並木沿いに傾いた朝日が射す

はちみつ色に溶ける微睡みの中で
秋風に紛れて微かに薫る
アンバーグリスの甘い薫りがした

君が残していったラストノートの
深い琥珀色の想い出に酩酊する


ポートレート作品
#86  ももさん


     作画:Seiji Lakefield
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