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『新版 日本永代蔵』(井原西鶴)を読んで
井原西鶴『日本永代蔵』を読みました。
明治時代から現代まではなんとなく地続きのような気がします。江戸時代は、イメージしたときに、どこか絵画的で異世界のような印象を持っていました。
本書はいわば江戸当時のビジネス書。商業資本主義としての金銭的価値観が垣間見え、「いまとおんなじだ!」と発見がありました。本質は変わらないといいますか。
永代蔵とは何か。解説にはこうあります。永代蔵とは永遠に続いていく堅固な蔵であり、富を築くことを第一とする町人のさまざまな生き方を語って、後代の人の参考にしてもらうという意図を含んだもの。
本書が発刊された時代(1684〜1688年)は、資本蓄積時代から商業資本主義時代へ変化を経た世の中。教訓めいたお話もあれば、娯楽一本のお話も。
お金がすべてだといえば、そうでないと書かれていることも。振れ幅があってそれはそれでおもしろい。一つの話は短め。原文・現代語訳・解説が揃っている構成でして、角川ソフィア版は非常に親切なつくり。
この世で人間が願うことのなかで、何によらず金銀の力でかなわないことといえば、天下に生・老・病・死・苦の五つがあるだけで、それより外にはないのである。
娘を持っている親は、自分の資産以上に、先方の家の立派なのを好み、財産のほかに聟の男ぶりがよく、諸芸のたしなみがあって、人の目に立つくらいなのを聞き合わせて、縁組しようとするが、
(続き)小鼓を打つ者は博打を打ち、実直な手代らしくみえるものは、遊女狂いがやまなかったり、一座での社交ぶりがうまいと人がほめると、その男は野郎遊びに金銀を使う者であったりする。
といったかんじで、個別エピソードに入る前の前段が好み。当時の金銭感覚や資本主義に飲み込まれた結婚観であったり、江戸時代が身近に感じられて、おもしろく読めます。オススメです!
というわけで以上です!
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