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『シュリーマン旅行記』(ハインリッヒ・シュリーマン)を読んで

『シュリーマン旅行記』を読みました。

トロイア遺跡を発見したロマンの男、シュリーマン。まさか幕末期の日本を訪れていたとは!かけ値なしにおもしろいです。

1865年、世界漫遊の旅に出たシュリーマン。約50日の日本滞在で彼は何を感じ、思ったのか。当時の日本の風俗を知るのにも貴重な資料となってます。とにかく読んでほしいです。

これは!ってところを厳選します。

日本到着

荷物を解くとなると大仕事だ。できれば免除してもらいたいものだと、官吏二人にそれぞれ一分(2.5フラン)ずつ出した。

ところがなんと彼らは、自分の胸を叩いて「ニッポンムスコ」(日本男児?)と言い、これを拒んだ。

日本男児たるもの、心づけにつられて義務をないがしろにするのは尊厳にもとる、というのである。
道を歩きながら日本人の家庭生活のしくみを細かく観察することができる。家々の奥の方にはかならず、花が咲いていて、低く刈り込まれた気でふちどられた小さな庭が見える。日本人はみんな演芸愛好家である。日本の住宅はおしなべて清潔さのお手本になるだろう。

食事

主食は米で、日本人にはまだ知られていないパンの代わりをしている。日本の米はとても質がよく、カロライナ米よりもよほど優れいている。
家族全員が、そのまわりに正座する。めいめい椀に手を取り、二本の箸でご飯と魚をその小さな椀に盛り付けて、器用に箸を使って、われわれの銀のフォークやナイフ、スプーンではとても真似のできないほどすばやく、しかも優雅に食べる。

風呂

日本人が世界でいちばん清潔な国民であることは異論の余地がない。どんなに貧しい人でも、少なくとも日に一度は、町のいたるところにある公衆浴場に通っている。しかも気候が素晴らしい。いつも春の陽気で、暑さにうだることも、寒さを嘆くこともない。
すべてのものが男女混浴を容認しており、幼いころからこうした浴場に通うことが習慣になっている人々にとって、男女混浴は恥ずかしいことでも、いけないことでもないのである。

大君

大君(徳川家茂)は二十歳くらいに見え、堂々とした美しい顔は少し浅黒い。金糸で刺繍した白地の衣装をまとい、金箔のほどこされた漆塗りの帽子をかぶっていた。

二本の太刀を腰に差した白服の身分の高いものが約二十人、大君のお供をして、行列は終わった。
翌朝、東海道を散歩した私は、われわれが行列を見たあたりの道の真ん中に三つの死体を見つけた。

(中略)横浜で聞いたところによると百姓が一人、おそらく大君のお通りを知らなかったらしく、行列の先頭のほんの数歩手前で道を横断しようとしたそうである。怒った下士官が、彼を斬り捨てるよう、部下の一人に命じた。
(続き)ところが、部下は命令に従うのをためらい、激怒した下士官は部下の脳天を割り、次に百姓を殺した。

まさにそのとき、さらに高位の上級士官が現れたが、彼は事の次第を確かめるや、先の下士官が気が狂っているときめつけ、銃剣で一突きするよう命じた。この命令はすぐさま実行に移された。

三つの死体は街道に打ち捨てられ、千七百人ほどの行列は気にも留めず、その上を通過していったのである。

赤線だらけでどこか重要かわからなくなるくらい、夢中で読みました。オススメです!

というわけで以上です!

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