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『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』を読んで
『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』を読みました。
ビビる大木さんばりにへぇボタンをたくさん押したところを、箇条書きなかんじで残そうと思います。
ファイナンスは無形資産を可視化する
*会計のバランスシートでは、ブランド力やノウハウなどの目に見えない無形資産は隠れてしまう。なんとなくはわかります。
*では、そのような無形資産は「何に」現れるのか。それが株式時価総額。
バランスシート上の株式総額に対し、株式時価総額のほうが大きくなる。その比率がPBR(チャーリーさんの図解noteで読んだ内容、そういうことかあ)。
*おもしろいのは、ファイナンス的に無形資産の価値とは、つまるところ収益力(=いくら稼げんのか)。それを数値化&可視化の手段が「株式」であり、「上場」なんですね。
*ファイナンスとは、隠れてしまう価値に光を当ててくれる役割を持つともいえるのでしょうか。将来稼ぐ収益力という一律の価値基準で無形資産を「見える化」してあげている。もちろんゲンキンな尺度ですが。
*ちなみに株式を自由に売買できる市場がなければ、その会社の価値はバランスシートに載っている現金や売掛金、固定資産の清算価値以上にはならない。
*なので、ファイナンス的には、
企業価値=株式時価総額=稼ぐ力(未来)
となります。
*上場とは「価値の可視化」。で、みんなが将来キャッシュフローを稼ぐと予測する銘柄は高い株価で取引されることになる。
将来の期待がまさに「いま」、株式価値として可視化されるわけなので、ある意味ではタイムマシンなんだ。
メモは以上です。
個人としては、キャッシュフローを稼ぐ力&お金とは別の角度で、企業価値を定量的に測れてかつ基準となり得るモノサシがあればなあと思いつつ、ファイナンスが生まれた意味は理解しました。
この本、最高の入門書です。いやあ、わかりやすさとはこういうことか。読んでいて感じたのはマラソンの伴走的な親切心。
読者が理解しようと読み込んでいるのを、著者は想像しながら執筆しているのですかね。
前半の会計とファイナンスのちがいはおもしろく学べました。後半のMM理論、ポートフォリオ、オプションのお話も絞ってくれているので付いてはいける内容です。
ファイナンスとはゲンキンな学問だと著者は言いますが、資本主義社会にすこしでも関わって生活をするなら、一つの道具として使いこなせるとたしかに有効ですね。
最後に、著者の言葉をクリップ。
人間はいつか死ぬ。人生は有限だ。だからこそ、お金を含めすべての価値は時間の中で考えなければならない。
価格表示や現金は、そうした時間観点を見失わせ、リスクの見積もりを狂わせ、選択を誤らせる。だからこそ、ファイナンスという学問が生まれたのだとも言える。
というわけで以上です!
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