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『武器としての決断思考』(瀧本哲史)を読んで
「俺のイタリアン」がヒットした後、店名に「俺の〜」を付ける店がワッと増えた気がしています。たとえば「俺の魚を喰ってみろ」とか「俺の台所」とか。もちろん系列店ではないお店で。
見つけて笑ったのは「俺の家」。それはただのお家じゃないですか!という。言葉の流行りはどの分野でもあるんですかね。
さて、「武器としての〜」というタイトル付けはいまでこそ目にしますが、本書が先駆けでしょうか。事実、本を通じて著者は「考え方」という武器を多くの人に配り続けています。
本書は京大での授業をベースに構成されています。ディベートという方法を通じて論理的思考を学べます。また、そのプロセスのなかで考え方=フレームを身につけることができます。
著書が繰り返し強調するのが「武器は使わなければ意味がない」。勉強をして頭に入れるだけでは状況は変わりません。
というわけで、すぐにでも使えると思ったところに一点集中しまして、自分の整理をしながらご紹介。
主張と根拠のつなぎ
まず、本書の表現を借りて例を出します。
主張:Aはいい人だ
根拠:お年寄りに道案内をしていたから
主張に対して理由を聞けば、こういう「根拠」が聞けるでしょう。
この、主張と根拠のあいだには「人助けをする人はいい人だ」という前提が見え隠れします。そのよく考えないと見えてこない前提の考え方を「推論」という。
セットにすると以下の通りです。
主張:Aはいい人だ
根拠:お年寄りに道案内をしていたから
推論:人助けをする人はいい人だ
ちなみに相手から推論を引き出すには、根拠と主張をつないで質問すればいい。
「なぜお年寄りに道案内をすると、いい人なの?」
「人助けをする人はいい人でしょ」と。
つまり根拠に対しての「推論」は、ちょっと抽象化した内容になるんです。そうすることで、相手の見え隠れする考え方=前提がわかるんです。ここは驚きでした!
さて続いてこの推論には、代表的な3種類の方法が存在します。
①演繹
②帰納
③因果関係
演繹は詭弁を生みやすい、帰納は例外があれば崩れてしまいがち。それぞれ特徴がありますが、一見わかりやすいからこそ「因果関係」にも気をつける必要ありです。
たとえば、
*そもそも因果関係が逆
*因果関係と相関関係を混同している
*特定のみの原因しか見えていない
などなど。
逆説的にいえば、「推論」は脆いってことなんですね。著者は反論をするなら主張に対して「根拠」と「推論」それぞれにすべきといいます。主張そのものにやみくもに反対してしまうことも少なくない。
まとめると、反論するなら「根拠」と「推論」。ただし、論破は議論・ディベートの目的ではありません。当然ですけれど。
ディベートの方法についてもおもしろいです。相手ありきではなくて、自分のなかで主張・意見に対して賛成(メリット)と反対(デメリット)を戦わせることはできます。そうして磨くことで、イメージでいうとヘーゲルのアウフヘーベン的な高次の意見になるのでしょうか。
最後に、メリットとデメリットの成立条件とそのツッコミをクリップして終えます。
賛成メリットの3条件と反論ツッコミ
①内因性(なんらか問題あるよね)
ー反論:そんな問題そもそもないっすよ
②重要性(その問題って深刻だよね)
ー反論:たいした問題じゃないっすよ
③解決性(その行動で解決するよね)
ー反論:重要だとしても、それじゃ解決しないっすよ
反対デメリットの3条件と反論ツッコミ
①発生過程(新たな問題が発生するよね)
ー反論:いや新しい問題生じないっす
②深刻制(その問題って深刻よね)
ー反論:たいした問題じゃないっす
③固有性(現状ではそんな問題起きていないよね)
ー反論:重要な問題だとして、すでにその問題起きてるっす
瀧本哲史さんに興味があれば下記も目を通しましょう。
というわけで以上です!
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