『人が集まる「つなぎ場」のつくり方 -都市型茶室「6次元」の発想とは』(ナカムラクニオ)を読んで
ナカムラクニオ著『人が集まる「つなぎ場」のつくり方 -都市型茶室「6次元」の発想とは』を読みました。
荻窪にあるカフェ・古本屋・ギャラリーが一体となった「6次元」。気になっていたお店です。イベントをこれまで多数開催しています。街の文化発信の場、にぎわいの役割を持つ6次元。本書には、つなぎ場のつくり方の考えがつまっています。
店主・著者のナカムラさんはテレビディレクターご出身。読んでいて感じたのは、コンセプトの言葉化を大事にされていること。いま人に求められている場を歴史の変遷ふまえ大局的にとらえていること。そして何より好奇心があって人をつないでいる。
キャプションのような小さな文字で書かれた文章にも、読んでいてハッとすることも。いくつかクリップします。
需要が供給をつくる。ヒト、モノ、コトの3つが世界のバランスを保っている。1人の意見は「わがまま」なのに、100人だと「共鳴」、100万人だと「思想」、1億人だと「宗教」と呼ばれる。数によって呼び方が変わるってなんか不思議。
わがまま→共鳴→思想→宗教。本質は同じでも、数の規模で呼び方が変わるってあるなあ。会社≒宗教だし、資本主義≒宗教という見方・考え方もあると思います。
薬としての珈琲の効果は、
①カフェインによって集中力がアップする
②疲労を回復させ、精神を鎮静化せる
といった感じ。
薬としての本の効果は、
①あたらしい知識やアイデアのヒントをもらえる
②想像力や言葉が豊かになる
といったことでしょうか。「飲み薬の珈琲と、読み薬の本」が両方楽しめるカフェは、都市の中にある「ココロの薬局」だと言えるかもしれません。
ブックカフェとは、都市の中にある「ココロの薬局」である。そもそも珈琲は薬からの転用で広く飲まれるようになったわけですし、そういう力はあるんですね。本もいいお薬だ。
都市に必要なのは、江戸時代の長屋的「狭楽しい場づくり」ではないでしょうか。わかりやすく言うと、
①茶屋的な情報交換の場
②縁側的な縁結びの場
③ちゃぶ台的な語りの場
この3つです。
つながり・場・プラットフォーム・共創・双方向・コミュニティ・サロン・社交。こういう言葉からイメージできるリアルが、たしかに求められているし、つくってみたいけれど、どこか漠然とした印象。この三つの分類はわかりやすい。本のなかではイラスト付きでイメージがわきました。
本の定義を、「知識を得る手段・方法」と抽象化してみますと、リアルなイベントそのものも本。著者によればTwitterのようなSNSは自動文学。TLは雑誌の誌面であり、自分自身は編集長。
ブック ・トゥ・ザ・フューチャー、本の明るい未来を感じました。ナカムラさんのセンテンス力、みうらじゅんさん説です。
というわけで以上です!