『THE TEAM 5つの法則』(麻野耕司)目標とは何ぞやと考える
結論を先にお伝えすると1章だけでも読む価値のある、素敵な本です。仕事の上でチームや目標が大切なのはわかっているけれど、心にモヤモヤが少しでもある方にはとくにオススメです!
1章 Aim(目標設定)の法則
こういう言い方はすきではないのですが正直、ここだけ読んで「元が取れる」と思います。この章ではざっくり2つのことが語られています。一つはチームとグループのちがい。
そしてもう一つが、目標設定のために、目標の種類を知ろうということです。今回は後者に絞り、読んだ上での自分の整理をメモします。
まず1章を通じて、当たり前なのだけど「なるほどなあ〜」と、ふにおちたことがあります。
それは、会社として経営が打ち出す方針(意義)と、現場の仕事に対する評価(行動)は、山の左右から掘り進めて一つのトンネルにするように、アプローチは左右ちがえど、1本の道筋になっているべき、ということです。
というわけでパワーポイントにまとめたものの一部抜粋です。
目標といっても、人によってとらえ方がさまざまだし、定義がむずかしいなあと感じていました。で、目標には3種類存在する。まずここで膝を打ちました。行動→成果→意義はバラバラではなく、1本につながっているんだ。そして矢印の方向に進むにしたがって、目標の抽象度合いが変わってくるということです。
この本の工夫ポイントの一つに、巻末に学術的な背景が記されています。サミュエル・I・ハヤカワが提唱した「抽象のハシゴ」という概念です。この概念を説明するために「レンガ職人」の話が事例として紹介されています。そこに先ほどの3種類の目標を組み合わせて考えてみます。
もともとイソップ寓話として「3種類のレンガ職人」の話は聞いたことがありました。ビジネスではモチベーションの切り口で語られることが多いようですね。かいつまむと「レンガを積んでいる」という目先の行動しかみていない人よりも、「幸せを提供している」という意義でとらえている人の方が、やる気でるよねっていうお話です。
あれ?それでは行動目標は悪者なのかというと、けっしてそんなことはない。ただ一つに拘泥しすぎると手段が目的化してしまうんですね。
たとえば行動目標にとらわれると「作業」にひっぱられ、成果目標だと「数字」に追われすぎるきらいがある。意義目標ばかり集中すると、「具体的になにをすればいいのか」が見えなくなってしまいます。
ここであらためて抽象レベルで物事をとらえる大切さを感じます。俯瞰することでバランスを保ち、3種類の目標を1本につなげます。たとえば会社をマクロにみれば「意義目標は企業理念」にあたり、「成果目標は売上や利益」、そして「行動評価は成果に紐づく現場における行動の最適化」。このようにあてはめられそうです。
ここで行動目標、成果目標を個人単位でとらえると、フィードバックとしての人事評価の話につながってきます。目標設定には上記に挙げた、意義目標を盛り込むトレンドがあるようです。
図が細かくなってしまいました。本の図解をそのままスライドに引用しています。トレンドはOKR(Objectives and Key Results)という目標指標です。本屋を徘徊すると、人事棚にはたしかにイケているウェブ企業がOKRを導入している、みたいな本があります。ただ内容はわかっていませんでした。
拠り所はこの本のみなのですが、シンプルな整理ができました。まずMBO(Management by Objectivez)とは、成果目標にフォーカスを当てることでなんとか目指す事柄を定量化し、必要な行動を自らがとっていく仕組みです。
トレンドのOKRは、Objectives(実現すべき目的や意義)つまり、意義目標をもっとも重要としています。変化の激しい現代は、原点となる意義に立ち返る必要性が少なからず存在し、その実現に効果的な行動があればKey Resultsとして、ちゃんと評価してあげる。そんな仕組みのようです。
もちろんその企業それぞれの考え方や評価体制には、それぞれによしあしがあれば、相性もあると思います。こうして目標を考えてみると、経営理念や人事評価まで領域は多岐に渡り、それらは実は1本でつながっている(つながっているべき)という発見ができました。さっそく提案してみよう。
というわけで以上です!