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『共感資本社会を生きる 共感が「お金」になる時代の新しい生き方』(新井和宏・高橋博之)を読んで

唐突ですが、まず『モモ』の作者であるミヒャエル・エンデが『エンデの遺言』で語った言葉を紹介させてください。

私が考えるのは、もう一度、貨幣を実際になされた仕事やものと対応する価値として位置づけるべきだということです。そのためには現在の貨幣システムの何が問題で、何を変えなくてはならないかを皆が真剣に考えなければならないでしょう。

人類がこの惑星の上で今後も生存できるかどうかを決める決定的な問いだ、と私は思っています。非良心的な行動が褒美を受け、良心的に仕事をすると経済的に破滅するのがいまの経済システムです。

資本主義をどのようにアップデートしていくか問題。地域通貨とかそういったコミュニティに即した貨幣の可能性にふれています。そこにはシルビオ・ゲゼルの減価する貨幣、つまりエイジング・マネーの考え方が紹介されています。

さて、本書は鎌倉投信の新井和宏さんとポケットマルシェの高橋博之さんによる対談形式で構成されています。聞き出す役を一部と二部で交代させながら話が進みます。イメージはNHKの『SWITCHインタビュー 達人達』といったところでしょうか。

新井さんは「お金」へのカウンターとして「共感コミュニティ通貨eumo」の実証実験といった新しい取り組みをされています。

「まさにエンデの遺言を実行に移そうとしている!」と、本書を手に取りました。

お金の定義を変えていけばいい

ここで、当たり前とされていることを紹介します。

*お金になるのがビジネス

*お金にならないのがボランティア

一般的にはこのように認識されています。

それはつまり、

このようにも言えます。

*社会のためにならないことがお金になる

*社会のためになることがお金にならない

ん?

本来って、

社会のためになることがお金になって、

社会のためにならないことがお金にならないほうが正しくないか

あれ?

なんでこうなった?

新井さんはそもそもお金の定義を変えていく必要があるといいます。わかりやすいところでいえば、お金の手段の目的化。お金そのものを目的にするから狂い出す。

このズレを引き起こしているのはお金の「貯蔵性」。貯まるからその行為を目的化しようとしてしまう。

ちなみに通貨であるeumoには「腐るお金(減価するお金)」という特徴があります。一定期間を過ぎると使えなくなる。つまり、貯めることができません。エイジング・マネーの思想に近い。

実際、これまで地域通貨といった類いのもので成功を収めたものって少ないと思うんです。どうしてもお金を補填するクーポン的機能しか果てせなくなり、疲弊してどこかでせき止められてしまったり。

ただ、クルミドコーヒーの影山知明さんのように、感謝を伝えるといった役割を持たせて、ゆっくり持続性のあるものに育てていっているケースもあって。

あくまで手段として、幸せ=人との出会いを創出する新しいお金eumo。ちなみに実証実験ではポケットマルシェとがっつり組んでいるようでした。いや、相性いいと思います。noteも始めているんですね。

共感の意を示したところで、以上です!


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