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『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』(松岡正剛)を読んで
いつの間にか「ツッカム正剛」という松岡正剛のYouTube対談プログラムなるものが始まっていました。たまたま発見したのはマキタスポーツのゲスト回、大好物です。
ぜひご覧になってみてください。
途中、マキタさんがハイコンテキストな思想モノマネの事例として(確信犯的に)タモリの名を出します。その時、ここぞとばかりに『愛の傾向と対策』を本楼から引っ張り出し、「タモリが対談した本はこれだけ」とおっしゃっていたのがなんともよかった、うん。
気になるのがそのYouTubeのチャンネル名。mireva channelという不思議なネーミング、背景画像をのぞいてみると、なんとTBSの独立採算番組『オトナの!』のいとうせいこう×ユースケのおふたりが!
この番組の最終回が松岡正剛からして、番組プロデューサーの角田さん、もしくはいとうせいこうさん(師と仰いでらっしゃる)が動いたのだと思います。引っ張り出したのだろうなあ。(こういうの、とっても大事。ハイパーコーポレートユニバーシティとかの私塾的なコンテンツも魅力的だ)
そういう意味では今回、講談社現代新書で松岡正剛の新作が楽しめるとはラッキー。思いがけない喜びが続きます。語り下ろしの内容ということでして、音声データだけでもかなり貴重だと思います。(あ、聴きたいかも。)
『連塾』シリーズをギュッと凝縮したような内容です。でも読むたびに新しい発見がありそうな、そんな本です。
第11講「かぶいて候う」では、現状の日本がコンプライアンスがガチガチに固められ、バサラやかぶき者の気骨が失われていることに憂いています。極端を封じずに異端・辺境を大切にしようよと。じつはマキタスポーツさんとの対談でもそれに近いことにふれています。(異分子とのコラボ等)
日本文化はハイコンテキストで、たしかに複雑性をはらんでいますが、かんたんな説明に流されてはいけません。でも、手がかりはあって、著者はジャパン・フィルターなるオリジナルのコンセプトを片手に、これまで培ってきた「編集」で切り取ります。
辺境・デュアル・うつろい。このあたりのキーワードはおもしろいなあと。言葉が歴史をつくってる。その語源には先人たちの生きてきた、たしかな積み重ねがある。最後に、本書のなかで必読書的なかんじで紹介されていた本たちをピックアップ。
慈円『愚管抄』
宮本武蔵『五輪書』
岡倉天心『茶の本』
島崎藤村『夜明け前』
九鬼周造『「いき」の構造』
柳宗悦『民芸とは何か』
岡潔『春宵十話』
山本兼一『利休にたずねよ』
岩下尚史『花柳界の記憶 芸者論』
中村昇『落語哲学』
本居宣長『古事記伝』
ここに『落語哲学』も入るのがまたいいなあ、というわけで以上です!
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