二十四節気の養生法【2022 大寒】
1月20日から2月3日(立春の前日)までの2週間が「大寒」です。
いよいよ冬の最後の節気ですね。暦便覧には「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也 」とあります。
「陰極まれば陽に転ず」…極まれば転ずとありますから、極まる直前が一番寒いときですね。ここを過ぎれば春がやってきますが、一番寒い時になりますのでくれぐれも養生してお過ごしください。
さて、今回はカゼ(風邪)について考えましょう。中医学では、病気になる原因やきっかけを病因病機と言います。 中医学でカゼは「感冒」と言いますが、感冒の病因病機は、寒いところに急に出たり、寒いところで作業や長話をしたことがきっかけとなり、風邪と寒邪という邪気が一緒になって体内に侵襲したカゼを「風寒感冒」と言い、いわゆる冬風邪と言われるものがこの感冒になります。
そして春夏などにみられる風邪と熱邪が一緒に侵襲するカゼを「風熱感冒」と言い、それぞれタイプや症状、カラダの状態も異なり、当然治療法も異なります。
もちろん夏にも「風寒感冒」にもなるし、冬にも「風熱感冒」になります。
中医学では、「風邪(ふうじゃ)は六淫の首と為す」と言われ、六淫(風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪)の中でも特に邪気が強く、「カゼ(風邪)は百病の長」と言い、ほかの病気を引き起こすので早く治すことが大切です。
邪気にはもちろん今も大流行のコロナやインフルエンザなどのウィルスも含みます。昔はウィルスとはわからず、感染症は風邪としたんでしょうね。
体表をバリアのように守っている「衛気」という「気」があります。 この衛気は肺で作られますが、肺の働きが正常だと衛気が強くなり邪気の侵襲を食い止めてくれます。
肺の働きを高め衛気バリアを強くすることで、風邪もひきにくくなるし、新型コロナやインフルエンザなどウイルスも侵入しにくくなります!
肺の養生法は「滋陰潤肺」でしたね。 過労、ストレス、喫煙、睡眠不足などは肺の働きを弱めますよ。バリアの厚みを増すには、陰を補い冷たい乾燥から肺を守ることが大切です。
風寒感冒の症状は、悪寒・軽い発熱・無汗・頭痛、他に関節痛・鼻閉・鼻水・くしゃみ・咳嗽・咽喉痛なども。
いくら暖めても寒気がする、口は渇かないが温かい飲み物が欲しい、 舌苔は薄白潤、脈は浮緊。 このカゼの治療法は「辛温解表」と言い 、邪気がまだ体表にあるので、しっかり温めて汗をかいて風寒邪気を体外に追い出します。
ここで処方される漢方薬は、麻黄湯、桂枝湯、葛根湯などで、その違いは麻黄湯はより温め作用が強いので、ゾクゾクと悪寒が強く全然汗が出ないほど冷え切っているとき、悪寒はそれほど強くなく少し汗が出るときは桂枝湯、肩や首筋のコリが強いときは葛根湯という感じで使い分けられます。
寒邪が強いときは麻黄湯、風邪が強いときは桂枝湯、葛根湯はその中間という感じです。
食べ物では、ネギ、ショウガ、大葉、ニラ、唐辛子、山椒、香菜、シナモン、紫蘇など。
ツボは列缺、風門、風池、合谷、肺兪など。出来れば腎兪、関元(臍下丹田)もカイロで温めましょう。
一方、風熱感冒の特徴は、高熱、有汗、頭脹痛、咳嗽、痰は粘っこく黄色い、咽喉が乾燥して赤く脹れて痛い、鼻づまり、黄色く濁った鼻水、口が渇いて冷たいものが欲しい、舌は紅、舌苔薄白または微黄。
インフルエンザなどの流行性感冒やウイルス性の風邪で高熱が特徴です。 この風邪の治療法は「辛涼解表」となります。
風熱証に使われる一般的な漢方薬は銀翹散という薬で、より熱邪が強いときは白虎加人参湯、麻杏甘石湯などの清熱作用の強い薬が使われます。
食べ物では、熱が強いときは清熱効果のあるセロリ、せり、白菜、苦瓜、ゴボウ、キュウリ、トマト、レタス、緑豆、スイカ、リンゴ、キウイ、梨、茶、菊花、桑の葉、ミントなど。
口渇きや咽喉痛があるときは滋陰生津のパイナップル、バナナ、リンゴ、梨、柿、キウイ、ビワ、白きくらげ、豆腐、蜂蜜、菊花、百合など。
ツボは大椎、曲池、合谷、魚際、外関、尺沢など。
風邪の特徴は変化が速く、また邪気が体内深くに入り込まないので、カゼのひきはじめの時に完全に追い出すことが重要です。
ポイントは、ちょっとゾクゾクするとか鼻の奥や咽喉がおかしいといった段階でしっかり汗をかけるかどうか!?
この段階で家事や仕事などムリをせず、暖房をかけ、服や布団をたくさん着て、温かい飲み物や食べ物を食べて、元気な人なら汗が出るぐらいまでお風呂に入って出たらすぐ寝る。(年配の人や体力のない人はお風呂はやめましょう)
せっかく温まって汗をかいたのにお風呂から出てからグズグズと用事などをしていると必ずカゼを拗らせます!ムリと言わず20時かせめて21時には全部済ませて(…済まなくても放っといてムリやり)寝ます。私の場合フリースもダウンも着て羽毛布団も毛布もかぶって寝ます。すると2時間ほど寝ると汗びっしょりで目が覚めます。汗をかいた下着やパジャマを着替えて(←これもポイント)、もう一度寝ますが、ここで汗がしっかり出ていると翌日目覚めたときには風邪は発汗解表されて(風邪が体表から汗とともに追い出されて)スッキリしていますが、汗が出きっていないとグズグズとカゼが長引いてしまいます。
これは冬風邪(風寒感冒)の家での治療法です。風熱感冒でやると、大変なことになりますのでくれぐれも気をつけてください。
ほかに、梅雨時期の暑邪と湿邪が一緒に侵襲する暑湿感冒や年配者や正気虚弱な人の気虚感冒などもありますのでしっかり病因病機やカラダの状態を弁証することが大切です。
風熱感冒なのに、生姜湯飲んでお風呂に入ったりすると、火に油を注ぐように熱証がますますひどく悪化させてしまいますので気をつけてください。 どちらのカゼも食欲はあまりないでしょうが、間違っても「元気つけなきゃ」などと消化に負担のかかる肉類やこってり系、また魚介類など生臭い系のものや生ものは食べないように。
京都伝統中医学研究所の"大寒におすすめの薬膳茶&薬膳食材"
1.「温陽補腎」の薬膳茶&食材
温陽を補い気血を巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「気血巡茶」など
薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」、「紅花」など
薬膳鍋セット「薬膳火鍋」、「手足冰凍改善鍋」、「冬の美肌薬膳鍋」、「四物鍋」は、薬膳食材もセットになってオススメ。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など
薬膳食材では、「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」など
2.感冒におすすめの薬膳茶&薬膳食材
辛温解表…ゾクゾクする時、温かいものが食べたい時、温かいものを食べると楽になる時
「薬膳火鍋」、「手足冰凍改善鍋」、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「紅花」、「竜眼」、「マイカイ花」、「桂花」など
辛涼解表…熱い時、冷たいものが食べたい時、冷たいものを食べると楽になる時
「理気明目茶」、「五望茶」、「菊花」、「百合」など
どちらのカゼにもおすすめなのが、やはり「なつめ薬膳茶」です。弱った胃腸を調え、気血を補い、疲れた体を癒してくれます。
3.漢方入浴剤
ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」もこの季節の養生にオススメ。
中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 auPAYマーケット店 https://wowma.jp/user/49016685
次回は、2月4日「立春」。
一年の始まりで、春が立つ日ですがまだまだはるいは程遠いような感じです。早く暖かくなってほしいですが、まだまだ寒さ対策をしてお過ごしください!
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