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父の旅立ち

その日は、突然やって来た。
父が亡くなったのだ。

手術を受けるために転院したその日の夜に、
一人、静かに旅立ってしまった。
誰が、こうなると予想できただろう?

父自身も、「まさか?今?」と思ったに違いない。
ちょっと前には痛み止めの薬も飲んだばかりだったし、
数日後に控えた手術に向けて、コンディションを整えていた矢先のことだったから。

「なんで?どうして?」
私はこの言葉を、何回つぶやいたことか。

痩せてはいたけれど、父は痛みにも負けず、
リハビリにも前向きに取り組んでいたそうだ。
最後まで生きようと、強く願っていた。

遠距離介護していた私は、
実家でも、できるだけ楽しく過ごせるように
努めた。
テレビのお笑い番組を見て笑いころげ、父の好物を一緒に食べ、
私の親友が遊びに来てくれた際には、にこやかに穏やかに話した。
本当に、楽しそうだった。
満面の笑みを浮かべた父の顔を忘れることができない。
だから、ひつぎに横たわった父を見た時、どうしても同じ人物だとは信じられなかった。

もっともっと、話したかったのに・・・
一緒に笑いたかったのに・・・
父は張りのある元気な声で話し、常に前を向いている人だった。
最後は声が出にくそうだったけれど、それでも心は負けることはなかった。

そして『You are my sunshine』の歌は、父の十八番。
カラオケでも、お祝いの場でも、いつも歌っていたっけ。
今は空の上で、楽しく歌っているんだろうな。

天寿を全うした父。
あっぱれやわ!お父さん。
今まで、本当にありがとう!

ふとした瞬間に父を思い出し、
心がギュッとつかまれたように、切なさでいっぱいになる。
寂しさは、なかなか癒えない・・・

留守番電話に残されていた父のメッセージを
何回も聴いて、やっぱり泣いてしまう私だ・・・










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