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採用面接で経理部長の3時間を無駄にした話

お世話になってます。
ご無沙汰の方も遊びに来てくれてありがとうございます。
合同会社ToGoを起業し、ゲストハウスを運営していた時以来の更新です。
ご報告遅くなり大変申し訳ないのですが、現在は北海道から東京へ移住(30代にも突入!)し、充実した毎日を過ごしております。

ToGoは休業という形を取り、リクルートグループに再就職。
そこから転職して事業開発→人事責任者の経験を経て、現在はHR系スタートアップHeaR株式会社で事業開発と労務と採用をやらせてもらってます。

(現在に至るまでの経緯については今回の趣旨から逸れるので、またいつか気が向いたら書きますね。)


「書類選考ちゃんとやってよ、"人事"なんだから。」


本題です。

前述の通り、前職(300名規模くらいの会社)では人事責任者をやらせていただき、主に新卒・中途採用に注力しておりました。

ある日、経理部長から「将来的に自分の右腕になってくれるような管理職候補の採用を強化してほしい」という要望がありました。

前職では組織のアップデートが行われていたタイミングということもあり、退職者が続出。
経理部もご多分に漏れず退職者が相次ぎ、経理部長に加え3年目の社員+派遣スタッフ1名という少人数で経理部を回さざるを得ない状況でした。

そんな芳しくない状況ということもあり採用媒体に求人広告を出稿したところ、思いの外ご応募いただきました。
その際の採用フローは下記です。

  1. 書類選考

  2. 一次面接(経理部長、私)

  3. 最終面接(社長、コーポレート部門長、私)

書類選考で要件(居住地・経歴・経理の基本スキル等)をスクリーニング。
一次面接で①アトラクト②カルチャー面のスクリーニング③経理スキルのスクリーニング。
最終面接はカルチャー面で強度を高めたスクリーニングが目的でした。

書類選考において、人事部内で経理に関する知識を私以上に持っているメンバーがいなかったため、私が応募書類を確認するオペレーションに。
書類に目を通すだけで1日に何時間も工数がかかる状況でした。

採用以外にも組織開発や労務、一部総務の領域も担っていた私は応募書類チェックに手が回らなくなり、人事のパートタイムスタッフに機械的にチェックを依頼することにしました。

経理部長からの希望スキル要件は

  • 事業会社での経理・財務の経験が5年以上

  • 日商簿記2級以上かそれと同程度の経験がある

という粒度だったので、そのことをスタッフに伝えて書類選考オペレーションを構築。
真面目な性格の彼女は経理や採用の経験はなかったものの、私が伝えた通りに書類でのスクリーニングを実施。
スクリーニングされた状態の書類を再度私が書類選考を行い、次のフェーズへ。
経理部長が多忙でスケジューリングが大変だったものの、3名の候補者との面談を設定することができました。

面接を終え、経理部長に所感を聞いたところ、こう返事がきました。

「このレベルのスキルだと、どなたとも一緒に働くのは難しいなぁ。」

経理部長と採用要件を短い時間で擦り合わせその通りに書類選考したものの、現場が求めるスキルとは乖離のある候補者と面接をしていたのです。

候補者の方々は確かに、 

  • 支援会社ではなく事業会社での経理経験が5年以上

  • 日商簿記2級の資格取得者

など要件に当てはまる方々ではあったものの、

  • 現職が中小企業だったため経理だけでなく総務や労務も担当しており、主に経理は伝票整理や仕訳など業務が限定的だった

  • 日商簿記2級の資格は持っているが、話してみると実務経験に基づくエピソードが乏しくスキルが高くないと感じた

  • 経理スキルは豊富であったが、財務スキルは持ち合わせていなかった

など、業務への解像度が高くないとわからない具体領域でのミスマッチが多々ありました。
結果的に、経理部長の1時間×3名=3時間を無駄にしてしまいました
パートタイムスタッフや私の時間はもちろん、候補者さんの貴重なお時間も失っています……


「職種」や「担当業務」の提示だけでは粗すぎる


一般に、「経理」が担う役割は経費や利益を算出して会社が持つ財産を管理する仕事です。

  • 売上管理

  • 仕入管理

  • 現金管理

  • 税金管理

  • 決算報告

など、業務は多岐に渡ります。
一方で混同されがちな「財務」の役割は事業の維持・拡大に必要な資金を外部から調達し管理する仕事です。

  • 資金調達

  • 予算管理

  • 財務計画

などです。
「経理」と「財務」は同じ「カネ」の領域でも、役割・スキルが全く異なる訳です。

同業界(または類似業界)での勤務経験は参考にはなるものの、その裏側でどのような業務を担当していたのかを知らなければ意味を成しません。

独占業務がある士業を除き、資格は一つの参考材料ではありますが、持っているだけでスキルが充足しているとは言えません。

同様に領域が異なるにも関わらず一緒くたにされてしまう役割の一つが「人事」だと思います。
厳密には、

  • 採用

  • 人材育成・研修

  • 配置・異動

  • 人事制度設計・管理

  • 組織開発

  • 労務・福利厚生

など、業務範囲(もとい求められるスキル)は幅広いです。

求人票に記載するスキル条件やエージェントに伝えるスキル要件も「〇〇の経験が××年以上」「△△検定□級以上」のような解像度では、かつての私のように時間を有効活用できず質の低いアウトプットしかできないという事態に繋がります。


「幅」×「深さ」


では、業務範囲に紐づくスキル要件はどのように細分化していけば良いのか。結論、

業務=幅×深さ

で解像度を上げることができます。
人事担当の採用を例に、もう少し説明します。

先程の例に挙げた「人事」だけでは粗いので、採用担当という領域を定めます。
でもまだ広いですね。
採用担当の業務には何があるでしょうか?

- インターンシップ
- 求人票
- 会社説明会
- スカウトメール
- 採用広報
- 媒体運用
- エージェントコントロール
- リファラル
- 選考
- 入社手続き

など、これらの「幅」は企業によって様々異なります。(採用広報は人事ではなく広報担当がやる、とか。)

求人票を見ると「幅」が記載されていることは多いものの、「深さ」について書かれているケースはまだまだ少なかったりします。

「インターンシップ」を例に取り説明すると、

- インターンシップの企画
- インターンシップの集客
- インターンシップの開催・運用

に分けることができますね。
企画はマネージャークラスが行うケースがあったりとか、はたまた企画からメンバークラスが実施するパターンだったりとか。

このように、企業側が求めるスキルの「幅」と「深さ」は企業ごとによって異なります
同時に、候補者のスキルセットも、たとえ領域が同じだとしても「幅」と「深さ」が異なるのです。


求人票のアップデート


かつての私の実体験のように、職務経歴書にもとづく経験年数や資格の有無など、テキストだけで判断するがゆえに、企業と候補者のミスマッチが多発しているのではないかと思っています。
学歴含む経歴や資格など、わかりやすいテキストだけで判断されてしまうために、本来スキルがあるにも関わらずお祈りされている事実があります。
この事実は、企業にとっても個人にとっても、つまり社会にとっても機会損失になっていることでしょう。

世の採用担当者さんはぜひ、採用ポジションの「幅」と「深さ」を定義しそれらに基づくスキルを分解することで、企業側として何を求めているのかをしっかりと明示してください。

採用要件の解像度を上げ求人票をアップデートすることが、採用における企業と個人のミスマッチを防ぐ第一歩なのではないでしょうか。


あらゆる業務を細分化し、スキルテストをつくりました。


業務領域とスキル領域の解像度を高めていき、それらを見極めることが採用において重要ということはご理解いただけたかと思います。

こんな感じで私たちHeaRはあらゆる業務や職種・業界、スキルやマインドを分解し、科学しています。
そしてそれらのスキル要素を見極めるテストをつくることに成功しました

その名も、

ジョブテスト


です。

サービスの思想や細かな仕様などは上記サービスサイトや下記から弊社CEO・COOの記事もご高覧ください。

採用担当者さんでサービスについて気になった方は、下記からご相談ください。

むしろHeaRの仲間になって作り手に回りたい!という方は求人も開いてますのでぜひ。まずはカジュアルにお話しましょう!

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。


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