《先を見据えた男の飲み方⁉️》【統制環境とキャリア24】
「時間を調整してくれ、という要請が、佐久間様から来てますが、いかがいたしましょう?」
『えっ、そうなの?
何だよ、佐久間さんの方の時間も変わるの?
どうしようかな、、、』
「ヤギさんの方は、今、調整の連絡待ちなんですよね?」
『そう、あの感じだと、何とかできそうだったんだけどな』
「やっぱり、先方の先方の予定を調整するのは、無理がありますよ」
『それをやれそうな感じだったよ。
話したら、先生にもすぐ分かるよ』
「たしかに、そんな感じはありましたね」
『そうだった、先生、ヤギさんと話したんだだよね』
「話したというほどでもありせんが、言葉は交わしましたね、たしかに」
『引き受けたコトはちゃんと自分の頭で考えて、実行しそうじゃなかった?』
「逆に言えば、安請け合いはしないので、お客さまを取り逃すタイプですね」
『取り逃すどころか、捕まえてたはずの客に、退場させられてるみたいだよ』
「そこまでですか?」
『あれは相当だね。
自分で自分を扱えてないタイプ。
昔の自分と話してるようで、コワくなったよ』
「そういえば、自分の中で考えが完結してそうな話し方をしてましたね、社長も」
『上手いコト、言うね。
そんな感じだから、他者をこう、遠ざけるような感じ?
自覚はあるんだろうけど、それをどう、解消するのか、そこまではまだ至ってないんだろうね』
「社長は今も、そういうところ、ありますよ」
『だから、こうやって自分の城で、城から出ずに、こっそりと忍者みたいな会社をやってるんだよ』
「自己一致してるんですね」
『自己一致?
何それ?』
「簡単に言うと、自分のあるがままを受け容れてる状態です」
『ふーん、そういう言い方があるんだね。
先生はさ、数字の人間だけど、言葉とか哲学とかにも詳しいよね』
「学びは最上の遊びです。
時間の許す限り、私の時間は遊びに費やしてますので」
『本来さ、そういうのが、余生なんじゃないかな。
先生もさ、一回、死んでるじゃない?
余生感覚でいきてるんでしょ?』
「そうですね。おっしゃる通りです。
私の2回目の産みの母は、社長ですから。
ねぇ、お母さん」
『気持ちワル、、、』
「その忍者みたいな会社が、私の城でもあります。そうだなぁ、門番と勘定奉行を兼ねてるような存在ですかね」
『君は今日から、感情が表に出ない門番兼勘定奉行だ』
「ははぁ、殿、仰せの通りに」
『で、門番さん、どうしよう。
佐久間さんとその名もなき青年と、我らがヤギさんの対決の日取りはいかにしましょうぞ』
「まぁ、諦めませんか?
いずれ機会がありますよ」
『うーん、そうかなぁ、、、
やっぱりさ、最初が肝心じゃない?』
「佐久間様との出会いは、どうだったんですか?」
『そんなの覚えてないよ』
「じゃあ、イイじゃないですか?
どうせ記憶の箱も、その鍵も、使わないんだから」
『、、、佐久間さんは、俺に会いに来たの』
「会いにきた?」
『本、出したでしょ、昔。
先生にも献本したやつ。
読まないけど、イイか、なんて、偉そうに受け取られたけどね、先生には』
「読みましたよ、しっかり。
珍しく本を読んで、だから今、こうして、門番として貢献してるじゃないですか?」
『そんな、1行でまとめられるような話じゃないでしょ』
「じゃあ、逆に、つぶさに話しますか、アレもこれも」
『いや、すぐお腹一杯になるし、肺も腸も悪いガスが溜まって破裂するから、イイよ』
「そうでしょ。1行ぐらいが丁度良いんですよ、私と社長の関係なんて」
『そうかもね』
「そうでしたか、佐久間様の方から、会いに来られたんですね。知りませんでした」
『言ってないし、初めて誰かに話したかな』
「佐久間様はやはり、その辺のコトで悩んでたんですか?」
『悩んでた、というより、知らないコトを任せられるヒトを探してるんだよ、佐久間さんて』
「自己一致されてるんですね?」
『それは分かんないゾ。
あんだけの酒飲みだから、自己一致?
してないんじゃない。してたら、あんなに毎日毎日、飲み歩かないでしょ』
「でも、必ず佐久間様の場合は、どなたか、基本、お若い方を連れてらっしゃる。同年代の方とは、連まれないとお見受けしますが」
『それもそうだし、そういう意味だと、先のコト、会社のコトとか、自分のいなくなった後のコトとか、それしか考えてないんだろうな』
「お病気もされてましたよね」
『詳しくは、聞いてないし、教えてもくれないから、知らないなぁ。入院とか、一時期してたはずだね。
こっちからは間違っても聞かないけど』
「調整、どうしたものか、、、」
『じぁさ、ちょっと、俺から佐久間さんに電話してみるよ。
先生の大切な学びの時間を奪うのは、私としても、心が引けますので』
「そうですか。それは助かります。よろしくお願いします。
気持ちは十分に伝わりましたが、私の学びの結果としての国語力で推察するに、それ、
気が引ける、ですけどね」