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仏教福祉研究

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仏教と社会福祉。この相反するものは実は根っこで繋がってます。本マガジンではその根っこの部分を明らかにすると同時に『社会福祉のはじまりは仏教にあり』という仮説のもと、それを明らかに…
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#仏教福祉

仏教福祉  総論

仏教福祉 総論

仏教は一言で言うならば『慈悲』の宗教である。

社会福祉は非常に範囲が広い。法律のような制度的側面や、現場の介護職員、ボランティアのように実際対象者自身に最前線で接している人もいる。しかし、法律などと最前線で接している人も基本的な理念は同じである。異なってはならない。人間関係の構築はいつの時代、どこでもいかなる場合でも社会福祉の根幹をなす。あくまで相手と自分のためである。

仏教は一言で言うならば

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仏教福祉 各論 1.古代の仏教福祉

仏教福祉 各論 1.古代の仏教福祉

ー奈良、飛鳥時代ー

⑴聖徳太子

6世紀末は氏族制度が弱体化し、社会秩序が混乱した時代である。この時期に活動したら聖徳太子の仏教福祉的な活動には次のようなものが知られている。

①四天王寺四箇院の建立
四箇院とは……
敬田院……四天王寺の本堂
施薬院……医療供給の施設
悲田院……生活扶助を必要とする者の収容施設
療病院……救急療養施設

②土木事業(池、溝、道など)の展開
池溝等は古来灌漑用水設

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仏教福祉 各論 2.ターミナルケア

仏教福祉 各論 2.ターミナルケア

1、ターミナルケア(臨終ケア)の背景

『ターミナルケア』とは、一言で言えば『人がいかに(どのように)死ぬか』ということである。
仏教は『仏の教え』であり『仏になるための教え』でもある。ブッダは『生、老、病、死』の『四苦』を滅するために出家修行し、涅槃に達したことにより『仏』と呼ばれる(=成仏)。大乗仏教では、悟りを得るための1つの手段として『往生』がとかれた。
特に日本では念仏により阿弥陀仏の極

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仏教福祉 各論.7 仏教福祉の組成

仏教福祉 各論.7 仏教福祉の組成

仏教福祉の元は『四諦八正道』『慈悲』『四無量心』『六波羅蜜』の4つを組み合わせて考えることができる。

まず、『四諦八正道』。『四諦』は、苦諦、集諦、滅諦、道諦の4つ。このうち『滅諦』と『道諦』に注目したい。
滅諦とは苦の解決方法であり、「苦」の原因を滅すれば苦は断たれるとする。即ち、執着(煩悩)から離れることができれば、苦を滅することができるとした。
そして道諦。道諦とは『苦』を滅する実践方法で

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