仏教福祉 各論 2.ターミナルケア
1、ターミナルケア(臨終ケア)の背景
『ターミナルケア』とは、一言で言えば『人がいかに(どのように)死ぬか』ということである。
仏教は『仏の教え』であり『仏になるための教え』でもある。ブッダは『生、老、病、死』の『四苦』を滅するために出家修行し、涅槃に達したことにより『仏』と呼ばれる(=成仏)。大乗仏教では、悟りを得るための1つの手段として『往生』がとかれた。
特に日本では念仏により阿弥陀仏の極楽浄土に往生するという信仰が広く受け入れられてきた(浄土宗、浄土真宗)。
このように仏教には『死』に対峙し、『死』を受け入れる智慧があった。
仏教教団では古くから僧侶同士の『看取り』が行われていた。さらに、地域の困窮者などのための『無常院(むじょういん)』と呼ばれる看取りの場があった。平安時代の恵心僧都源信は「二十五三昧絵」というターミナルケアの互助会を組織していたことが知られていて「往生要集」というマニュアルも作成している。
ターミナルケアや臨死の問題は1970年代から日本で広まったホスピス運動によって再び注目される。1980年代後半は、仏教を背景とするホスピスとして『ビハーラ運動』が各地で展開される。
ビハーラ(vihara)……サンスクリット語で『休憩所』『休養の場所』。末期患者に対する仏教ホスピス、または苦痛緩和と癒しの支援活動
⑵伝統的臨終ケア
伝統的臨終ケアは臨終行儀が中心だが、伝統的臨終ケアを実施するための大前提は『信仰』である。死後のありかたについて確固たる信仰を持つことが必要でターミナルケアにおいてその信仰をより強固なものにしていくことが必要となる。
また、葬儀を『グリーフケア』として捉え直すことも必要である。僧侶は単なる儀礼執行者だけでなく遺族のニーズを理解しておくべきである。「葬式仏教」と批判されるのもここである。
信仰を伴った宗教的死生観の確立は伝統的ターミナルケアのひとつである
グリーフケア(grief care)
グリーフ(悲観)とは、親しい人たちや大事なものを無くした時に体験する複雑な心理的、身体的、社会的反応である。このような状況似ある日を支えるさまざまな援助が『グリーフケア』という。
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