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怒り

人はどんな時に怒りますか。
あなたはどんな時に怒りますか。
人によって怒るポイントは違うと思いますが、例えば失敗して怒られる、言うことを聞かなくて怒られる、嘘がバレて怒られる、怒らせるようなことを言ってしまった、邪魔をされて怒る、他人と違うことをして怒られる、、、

「何でそんなに怒ってんの?」「そんな言い方しなくても普通に言えばいいじゃん」などと言いたくなることもありますが、人を動かすには怒るのが一番手っ取り早いし楽かと思います。
怒ることによって自分の言い分は通りやすくなりますし、「こんなに怒っているということはただ事ではない!」と相手に危機感を与えることができます。

実際、人を動かすのには不安感と恐怖感を煽るのが一番強力です。怒りを表すことで「人に迷惑をかけてしまった」「自分は悪いことをした」「自分はターゲットにされている」と相手の安全を脅かすことができます。

なんとなく世間一般では「怒る」ことってあまり良くない意味を持っていると思います。特に大人になればなるほど。

怒れない人からすれば、怒りと共に意思表示できる人がうらやましく思います。それで自分の思い通りに事を進めていけるのだから、、、

でもそうすると怒りっぽい人、なにかと怒り口調で話す人の有利な世界になってしまい、穏やかで優しい人は支配されてしまいますね。
「怒りたくない」「怒っちゃってごめん」という言葉をたまに耳にします。

怒った方が自分の望みをかなえやすいのになぜ?

それは「怒り」は人の心を傷つける「攻撃」になるからです。
味方に対して攻撃すればそれは「裏切り行為」になるわけで、後々自分に返ってくるかもしれません。

はじめから「怒り」が湧いてこないようにできれば楽なのですが、「怒り」にも色々な役割があるので、そんな人は人間として生存する機能が正常に働いていないということになります。

誰でも「怒り」を覚えます。
湧いてきた怒りをどう処理するか。
表面に出ないように抑えつけても心の中には着々と蓄積されていき、様々な不具合をきたし、やがて爆発します。
怒りに支配されて歯止めがきかなくなる人もいます。

怒りの裏側にある「心の傷」に気づくことが問題を解決する第一歩になります。怒りをうまくコントロールすることができれば、判断を誤って大切なものを傷つけたり失ったりすることもなくなるし、「自分の心のためにあえて怒りを表出する」なんてこともできます。


怒りの機能

感情は2種類に分けられる。

・気分(ムード)
原因はよくわからない、弱くて長い時間なんとなく続く。

・情動(エモーション)
原因がはっきりしていて、強くて一時的。生理的覚醒を伴う。

怒りは「情動」に当てはまる。

情動もまた、基本情動派生情動の2種類に分けられる。

・基本情動
「喜び」「驚き」「悲しみ」「怒り」「恐れ」「嫌悪」

・派生情動
「嫉妬」「共感」など複雑な情動が含まれ、文化や経験によって違いがある。

基本情動は生きるために必要なシステム

怒り、喜びといった基本情動は心理的・生理的状態を主観的に認識しやすい。

自分の状態を理解して危険から身を守ったり安全な所に近づいたりするための反応。

また、基本情動が顔や声などの態度に出ることは、他人の状態を客観的に認識して共感したり回避したりすることに役立つ。

つまり、怒りを感じている時は自分の身の安全が脅かされている時であり、怒ることで身体の活動を活発にさせて攻撃モードに移行させている。



怒りの動物的な機能についてはこんな感じです。
次に、怒りの人間的な機能についてみていきます。


怒りは悲しみや恐怖の代理感情

人は心の奥にしまってある恐怖悲しみが湧き上がってくるのを感じないようにするために、怒りという感情にすり替えている。つまり、怒りは心の平和が脅かされそうになった時の防御策といえる。

不安、恐怖、悲しみが溜まっている人ほど刺激に敏感になり、いつもイライラしていたり、怒りっぽかったり、突然キレやすくなる。
そして、怒りは抑え込むとうつになるし、我慢していると爆発する。
※「不安」は原因がはっきりしないもの
※「恐怖」は原因がはっきりしてるもの

自分の心と向き合って根っこにある恐怖不安悲しみに気づいて、それを受け入れられている人は、感情が怒りという方向に向かいづらくなる。

家庭や職場での良好な人間関係とコミュニケーションのためには、自分の感情に振り回されずに冷静に状況を判断することが必要。
他人の怒りにも免疫力をつければイライラの連鎖にも巻き込まれにくくなる

怒りの心理的・生理的な状態

「怒り」は、
接近動機づけ(攻撃性)不快の成分に分離できる。
・接近動機づけ
怒りの原因を取り除くことができる時ほど接近動機づけが高まり、言いたいことが言えたり、行動に移したりできる人ほど怒りの原因を解決できる可能性が高く、自力で何とかしようと怒りの原因に自ら近づこうとする。
攻撃性が高いと前のめりになりがちだが、逆に身体をそらしたり、仰向けになること、または謝罪を添えると不快成分は消えないが、接近動機づけ(攻撃性)を抑える効果がある。

怒りの感情とうまく付き合うために

良くない怒りの種類
強度が高い
頻度が高い
攻撃性がある
持続性がある←特によくない、恨みに代わる

人はどのような時に怒る
・自分の理想や価値観を裏切られたとき
・自分のことを分かってほしいとき
・自分の欲求が阻害されたとき
・自分のことを大切にしてもらえなかったとき

アンガーマネジメント
・認知行動療法の一つで客観的になることを進めるテクニック
・上手に怒りをコントロールするスキル

「6秒ルール」
怒りのピークは6秒といわれている。怒りを感じたらどうにかして6秒やり過ごす。

・その場から離れる

・思考停止、何も考えない

・深呼吸
人は怒りを感じている時に呼吸数が上がるため、意識して呼吸をゆっくりにすることで怒りを鎮める。

毒親に傷つけられた子供達を、長年にわたってカウンセリングしてきたセラピストのスーザン・フォワード氏は、著書「毒になる親~一生苦しむ子供~」の中で怒りの管理することについて次のように語っている。

「怒りが起きたら、その感情を嫌がらず、自分が怒っていることを自分に対して許してやる。感情というのは正しいとか間違っているとかいうものではなく、ただそういうものがそこに存在しているという事実があるだけ。
それはあなたの一部分であり、あなたが人間であることの証拠だ。」

「怒りはまた、あなたにとって何か重要なことを知らせてくれるシグナルでもある。それは、あなたの権利が踏みにじられた、あなたは侮辱された、あなたは利用された、あなたのニーズが満たされていない、などかもしれない。また、怒りは何かが変わらなくてはならないことを常に意味している。」

「怒りは自分がどんな人間であるかを自分に対してはっきりさせるために使うことができる。怒りは自分について学び、親(あるいはどんな人でも)との関係においてどんなことは受け入れられ、どんなことは受け入れられないかを知るためにたくさんのことを教えてくれる。」


怒りを発動させないために

「○○すべき」という価値観を捨てる

自分の中に「○○すべき」という理想や価値観へのこだわりが多く、強いほど怒りが生まれやすい。
個人の価値観は、他人にも通用するとは限らず、生きてきた環境が違えば価値観も違ってくるし、どちらが正しいということもない。
自分の中のこだわりの許容範囲を少しずつ広げていくとストレスを軽減できる。
どうしても譲れない場合は、理解してもらうために言葉できちんと相手に伝えることが大切。

過度な期待をしない

怒りが「自分の欲求が阻害された後に表れる感情」ならば、もともと欲求がなければ怒りを感じることもない。期待しなければ裏切られることもない。他人に高い欲求を求めれば求めるほど、それが叶わなかったときに高い怒りを感じてしまう。

相手に変化を求めない

相手に素直な気持ちを伝えたとしても他人は思い通りには動かないもの。自分の怒りをコントロールできるかどうかは「冷静に言葉で気持ちを伝えられた」という過程が大事になる。

ちなみに論破したとしても、相手の考えが変わることはないし、それどころか憎しみを生んでいる可能性が高いので、お互いにメリットはなく、それを見ている第三者が楽しむだけ。


溜まった怒りの吐き出し方

ポイントは体を使うこと、息を吐く(声を出す)こと

・枕やクッションを殴る
・いらない皿を割る
・新聞や雑誌を破る
・お風呂の中で潜って大声で叫ぶ、カラオケや車の中で大声で歌う、怒鳴る
・サンドバックを殴る
・ゲームセンターでパンチングマシーンやもぐら叩きをする
・バッティングセンターに行く
・走る、踊る、身体を動かすことに没頭する

怒りをうまく出せない人は
・筆記開示(誰にも見られないノートやSNSに書く)
・映画、ドラマ、アニメなどを観て泣く


怒りの表出スタイルは大きく分けて3種類

① Anger-Out
・怒りを感じたときに攻撃的な言葉または行動をその対象や環境物にぶつける
・怒りの原因に接近するタイプ

② Anger-In
・怒りを感じたときにはそれを心の中で感じ続ける

③ Anger-Control
・怒りを感じたときにはその怒り感情を制御しようとする
・不快感から回避するタイプ


感情をうまく利用する

冒頭に書いた通り、怒りは交感神経を緊張させて身体機能を戦闘モードに移行させる。つまり、怒り状態は、力が入りやすくなるし、言葉も強くなるし、意欲も湧くため行動力が全般的に上昇する
怒りの矛先は怒りを起こさせた相手に向けるのではなく、自分の利益や成長につながることに向けること。特に、運悪く自分に不幸が起こった時などは怒りを向ける対象がいないため、何か代わりの人や物に当たってしまうことがある。
「悔しさをバネに」というのは、この戦闘モードの身体機能を利用して怒りのエネルギーをプラスの方向に活用して自分の成長につなげること。



おわり

秩序が保たれた社会的な世界では「怒らない人」は平和に暮らせますが、反対に、治安の悪い荒くれ者たちの生きる世界では生きていけません。
怒りの感情は生物にとって必要な機能で、人間にとっては体や心を守るために、「怒り」という感情を発動させることで、身体機能を覚醒させ、戦闘モードに切り替える役割を果たしているということです。

「怒り」を感じているということは、その場所は自分に「合っていない」のかもしれません。

怒りを感じてしまうのは自然なことですが、社会にとっても自分にとっても不利に働くことが多いです。怒りの対処は、発動前に自分の心と向き合う方法、発動後にコントロールする方法があるので、自分とうまく付き合っていきましょう。

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