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BtoB企業向け『強いブランドのつくり方』 ④〜世界観、トーン&マナーを定める〜


■デザインは経営の武器になる。

社内に「自信」を与え、社外に「共感」を生む、デザイン経営。

あらゆる業界で技術の標準化が進み、機能面での差別化が難しくなる中、BtoB企業においても「ブランド」が重要ファクターとなりました。

当シリーズでは、どのようにして「強いブランド」を作り上げていくか、主に視覚的デザインの側面から解説していきます。経営者やマネージャーの方にとって「デザイン」の視点が広がり、ビジネスの成長に向けて気づきをご提供できれば幸いです。

以下の関連コラムもご参照ください
「デザイン経営」と「デザイン思考」との違い

(note内、筆者記事)

■「企業イメージ」を磨き上げる

今回はブランドの魅力を最大化する「世界観」づくりについて見ていきたいと思います。世界観とは、すなわち「企業イメージ」と言い換えて差し支えないと思いますが、強いブランドはいずれも独自の世界観を持っています

例えば、世界的に有名なITコンサルティング企業であるIBMとアクセンチュアを見てみると、IBMは堅実である種アカデミックなイメージであるのに対し、アクセンチュアはダイナミックで先進的な印象を受けます。

BtoB事業において、企業イメージは特にファーストコンタクト時の第一印象から始まり、商談中、最終的な成約にいたるまで、競合状況を勝ち抜く上で「費用」や「機能」「サービス」などのビジネス上の「条件」と合わせて、心理的に重要なファクターになります。

では、強い競争力を養うには、ブランドはどのように「世界観」づくりを行っていけばよいのでしょうか?


■ブランド戦略とブランドの世界観

ブランドの世界観づくりを行う上で欠かせないのが、ブランド戦略です。ブランド戦略が明確になっていないと、フォーカスすべきターゲットがぼやけ、ブランド表現があいまいになってしまい、独自性のある世界観が生み出せません。ブランド戦略を明確にするため、STP分析/戦略を見返してみましょう。

・Positioning(競争優位性)
・Segmentation(市場の細分化)
・Targeting(ターゲットとなる顧客層)

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TCDサイト内記事

■ブランド戦略1 Positioning:自社の持つ「強み」は何か?

激しい競合環境の中を戦い抜くには、他には譲れない「強み」、自社の持つ「競争優位性」を明確にする必要があります。

それは、中長期的にもキャッチアップされない、将来的にも強化していくことのできる「強み」でないといけません。また、「機能的価値」だけでなく「情緒的価値」にも目を向けておくことも大切です。
「機能的価値」は、よほどのことがなければいずれキャッチアップされます。少なくとも、機能的な差異は時間が経てば代替手段でカバーすることが可能になるでしょう。

そこで、事実をベースにした「機能的価値」に加え、歴史や哲学など機能を超えた「情緒的価値」での差別性も明らかにしておきます。


■ブランド戦略2 Segmentation:どのように市場を捉えるか?

セグメンテーションとは「市場の仕分け」のことを指します。代表的な指標として以下の4つがあります。


・人口動態変数:デモグラフィック
・地理的変数:ジオグラフィック
・心理的変数:サイコグラフィック
・行動変数:ビヘイビアル

性別や年齢など、ターゲット(≒人)の属性による仕分けが一般的ですが、BtoBにおいては「人」でなく「企業」がターゲットになるので、その事業領域や企業規模などが指標になります。

昨今では、そうしたデモグラフィックよりもライフスタイルなどの心理的変数のほうが重要になる場合もあります。どの指標を切り口にするか、セグメンテーションはブランド戦略に直結します。

戦略1で明らかにした「強み」が最も活きるセグメントはどこか?戦略1と2を行き来しながら焦点を定めていきます。


■ブランド戦略3 Targeting:どのセグメントを狙うか?

ターゲティングとは、戦略2で細分化された市場のどこを狙うのか?ということになります。

戦略2の段階でおおまかなターゲティングは済んでいます。

ここで重要になるのは、ターゲット(顧客層)をより具体的に絞り込むことです。万人受けを狙ったターゲティングは、結果誰にも届かないということになりかねません。BtoB事業においても「ペルソナ法」や「カスタマージャーニー」といった手法により、ターゲットをより具体的な顧客像へとブラッシュアップしていき、その有効性を確認していきます。



■ブランド戦略を具現化するデザイン

さて、上記の3ステップを通して「自社の強み」を「どの市場」に向けて「誰に」届けるのか、ブランド戦略の骨子が固まりました。

そのブランド戦略をターゲットに伝わりやすいようビジュアライズし言葉にしていくことが世界観づくりになります。

世界観づくりには様々な要素が関与します。写真のトーンや文字(書体)、色(色彩・色相・明度)、イラストのタッチやグラフィカルなデザインエレメントなど、メッセージも含めてあらゆる要素が組み合わさりそのブランドの世界観となります。(“ムードボード”を作成しながら、世界観の方向性を探っていく方法もあります)

“Mood Board”検索結果


ブランドの世界観、トーン&マナーを定めることは、戦略をデザインすることに他なりません。現状のウェブサイトや会社案内など、アウトプットを見返し、ブランドの世界観、トーン&マナーが定まっているか?ブランド戦略が色濃く反映されているか?見返してみてもいいかもしれません。



BtoB企業向け『強いブランドのつくり方』 ④
〜世界観、トーン&マナーを定める

(TCD Corporationサイト)



[筆者プロフィール]
川内 祥克
株式会社TCD 取締役副社長 クリエイティブ・ディレクター
企業ブランド、事業ブランドやサービス・ブランドの立ち上げ、ブランドマネジメント業務に従事。『デザイン経営』など公開セミナー、組織内ワークショップも開催。

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Katz
日々の業務の中から、ちょっとした気づきをお届けしていければと思います。