頭で学び、身体で運用する
外山滋比古『知的創造のヒント』を読んでいます。
学校はグライダー訓練所である。何年滑空していてもエンジンのついていないのははっきりしている。自力で飛び立つことはできない。
これは教育に限ったことではない。読書も一種のグライダー効果を与える。本を読むと、その当座はいかにも知識が豊かになったように感じられる。人間が高尚になったと思うこともあろう。ただし、本から離れると、やがてまたもとのモクアミに帰る。 (P.36)
本を読むと、知識が豊かになった感じ、人として高尚になれた感じがしますが、それは外山さんの言う「グライダー効果」に過ぎません。
受動的に知識を得ただけであり、自分で何かを生み出したわけではありません。放っておくと、すぐにもとの自分に戻ってしまいます。
「読書や勉強を続け、生涯グライダー効果を得続ける」、というのも悪くないですが、それよりも、自前の「エンジン」をつけ、「自力で飛ぶ力」をつける方がいいでしょう。グライダーのような受け身の姿勢ではなく、自分で何かを発明・発見する力です。
自分で何かを生み出すための方法は、
●事実 → 解釈 → 行動
●ファクト → 抽象化 → 転用
といった思考のサイクルを回すことではないでしょうか。
高橋政史『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』や、前田裕二『メモの魔力』といった本で紹介されている思考法は、優れた「エンジン」になり得るのではないかと思います。
"グライダー人間"は、えてして「知って満足」「覚えて満足」してしまいがちです。知識や情報といった「事実」を、そのまま頭に詰め込もうとしてしまうのです。
一方、自前のエンジンを持つ"飛行機人間"は、物事を自分なりに解釈し、そこで得られたものを、身体を使って運用します。
単に事実を詰め込むのではなく、自分なりに解釈したり、既知の事柄と結びつけたりすることで、新しい何かを生み出していきます。そしてそこで終わらず、自分自身の行動や、別の何かへの転用に繋げていくのです。
「学んで終わり」、「知って終わり」にするのではなく、学んだことや知ったことを自分なりに加工・活用・転用する術を身につけることができれば、「自力で飛ぶ力」がついていると言えるのではないかと思いました。
↓今日書いたノート↓