物語の奥に残る「後日談」
自分は「後日談」という言葉が好きだ。
意味もそうだけど、言葉自体もすぐ使いたくなる。
後日談
事件などが一応の決着が付いた後、どうなったかについての話。『新明解 国語辞典』(2020)三省堂
まず何より、語感が良い。
ごじつだん。ゴジツダン。
五文字でキリが良いし、濁音のばらつき具合も相まって、何だか口に出したくなる音の響きを持った言葉だと思う。
そして、言葉の意味にも着目すると、「後日談」というのは事件や出来事が終わった後どうなったかについて言及するときによく使われることが多い。メインテーマというよりは、ちょっとしたおまけページなイメージ。
実際、小説や漫画に出てくる「後日談」なんてものは、物語全体の1割にも満たないことが多い。言うならば、大団円に終わったストーリーに後付けされた、登場人物たちの現状報告みたいなものだ。
そんな「後日談」を自分が好きな理由というのが、終わったはずの物語の続きを垣間見ることができるところ。
一旦閉じたはずの扉から、少しだけ隙間を開けて、登場人物たちの日常を覗き見することができる。
「後日談」があることによって、急に幕が降りて物語の外側に放り出されずに済んでいるし、寂しい気持ちを少しだけ軽くしてくれる。
また、本来は見ることのできない物語の奥にある「これから」を想像させたり、本筋とは関係ないけど気になっていた伏線が回収されてハッとしたり、そう言ったさりげない気遣いのようなものが「後日談」には含まれている気がする。
まぁ簡単にまとめると、ちょっと得した気持ちになれるのだ。
全部食べたと思っていた「アイスの実」が
実は一粒残っていた時のような、そんな気持ち。
そういえば「後日談」とは言うけど
「前日談」はあまり言わない気がする。
何でだろうね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?