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ベスト盤には入ってない あの曲が好きなんだ

ベスト盤には入ってない あの曲が好きなんだ
わかりやすいモノだけが答えじゃないから
僕らはまだ笑えんだ

ユースレスマシン/ハンブレッダーズ

心には、ときおり不安が棲みついてしまう。

同じことを繰り返していると、ずっとその場に立ち止まっている気になるのに、新しいことにチャレンジしていると、本当にこの道であっているのかと急に辺りをキョロキョロと見回してしまう。

どんな矛盾にも動じずに、平然とこちらを見ている不安という生き物は、なんとも厄介な存在だなといつも思う。

ただ、結局のところ、どんな場面にもちゃっかり登場する不安を押さえつけることなんてできなくて、それならそれで、ちょっとは受け入れながら飼い慣らしていくことが大事なのかもしれない。

居座るなら居座るで、大人しくしといてほしいけれど。
呼ぶときは、ちゃんと呼ぶから。

つい先日、武道館でのワンマンライブを行ったハンブレッダーズ。どんどん大きくなって、それでも芯は曲げずに「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました」と宣言する、カッコいい日本のロックバンド。

「ユースレスマシン」は直訳すると「役に立たない機械」という意味になる。ただ、この曲で歌われるのは、きっと誰もが大切にしていた、捨てられずに取っておいた感情。

歌詞に並べられた一つひとつの言葉が、ただ好きなものに夢中になって目を輝かせていたときのことを、小さいころに感じた「ほかにはもう何もいらない」と思うほどの高揚感を、瞬時に思い出させてくれる。

今や埃をかぶってしまったおもちゃ箱をひっくり返して、こぼれ出たものをぎゅっと抱きしめたくなるくらい、大人になってだんだん忘れかけていた気持ちにもう一度、陽をあててくれる。

〈この先の人生に必要がないもの〉と言いながらも、〈心の奥がザラつくような一瞬を〉と続けて歌ってくれることが、どれだけ励まされるか。

熱に浮かれて、時間を忘れて、瞬きひとつも逃したくないほど釘付けになった日々を、とてつもなく肯定してくれる曲だった。

どの歌詞にも心を撃ち抜かれるのだけれど、特に〈たどたどしさに宿る正しさに いつでも恋をする〉がめっちゃ良くて。チャーミングなのに芯が通った言葉。

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