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#554 「自分の位置」を再確認する「空点前」

お茶をやっています。いろんなことが実生活に役立つなぁ、と思います。その中で最近感じたことを、メモ。


1、お茶にマンネリなんてない。

お茶。茶道。どんなイメージをお持ちでしょうか?

もう習い始めて10年ぐらい経つのですが、最初は本当に、なんでこんなに色々なパターンがあるのか、覚えることがありすぎ、と思ったものです(今でもですが)。

基本の型はあるのですが、それをきちんと覚え切る前に、次のお点前に移ってしまいます。それというのも、季節に合わせて様々なお点前があって、月が変われば、変わってしまうのです。

もちろん、基本があっての派生、ではあるのですが、例えば、冬と夏とでは釜(湯を沸かしているもので、そこから湯をお茶碗に汲んでお茶を点てるのです)の位置が違ってきます。

釜の下には熱源(炭)があり、当然熱いです。ですので、冬はお客さまが暖かいようにお客さまの近くに、夏は暑くないように遠くに置くのです。

となると、それに連動して他の道具の位置も、自分の座る位置や向き(居前 いまえ)も変わるのです。

つまり、うろ覚えの中で次々異なる手順を習うことになるのです。

まぁ、しっかり復習すれば良い、ということではあるのですが…

とはいえ、お稽古中は写真はもちろん、メモを取ることも禁じられていますので、なかなか大変なのです…


2、そんな時の「空点前(からでまえ)」


最初は復習は終わった後に覚えていることをメモしていました。が、しばらく経つと読んでもよく分からない(というか、具体的動作を思い出せない)のです。

一番いいのは道具を全部揃えて実際にやってみることですが、それもなかなかハードルが高いです。

そんな時、お茶の先生から言われたのは、「空点前をしなさい」ということでした。

最近、お家元の書かれたものを読んで思い出しました。失礼ながら少し引用させていただきます。

空点前の一番の目的は「構え」と「居前」です。大海茶入や象牙の茶杓など具体的な道具を想定し、その重みや感触までイメージしながら構えや動きを再現するのは案外難しいものです。時には実際の点前での自分のいい加減さに気付かされることもあります。
(中略)
空点前の場合も目の前に何もないからこそ自分の位置の決定がことさら重要になり、正しい構えを身に付けるのに役立つと思っております。

つまり、”エアーお点前”な訳ですが、自分の「位置」が重要で、点前の動作をする際にも、道具それぞれの形だけでなく重みまでを想像しながら行うことで、自分が曖昧にしか捉えられていないことがはっきりとわかる、ということです。

目の前に道具があれば、位置も、流れも、なんとなくできてしまう(それでも右往左往しますが)ところ、全く何もなければ、本当にそれぞれの動きを理解していなければ、座ることも、手を動かすこともできないものです。


3、まとめ

いかがでしたでしょうか?

お茶のお稽古の一つである「空点前」について、思い出したことをメモしました。

この「空点前」、実生活でも応用できるのでは?と思いました。

例えば日常やっている仕事でも、次から次へと流れてくる案件を捌くことに熱中していると、どうしても、そもそも、を考えることはなくなるものです。

そこで「空点前」です。

実際の具体的な案件をどうするか、ということから離れてみて、そもそもの自分の位置、やるべきこと、などを考えてみること、というのがそれに当てはまるのではないでしょうか?
案件があるとどうしてもそれに対する解決策を求めに行きますが、それをなしにすることで、そもそも(目的や役割、プロセスなど)を考えることができる、と思うのです。


最後までお読みいただきましてありがとうございます。
最近忙しくて、いかに案件を捌くか、に没頭(というかアップアップ)しています。そんな時にお家元の先ほどの言葉に接して、そういえば、と思ったことをメモしてみました。

例によって個人的なメモでしたが、どこか参考になるところがあれば嬉しいです。



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