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#174 中間管理職は「AI分業コーディネーター」に真っ先に職を奪われる!?

年末年始、新聞を読んでいて色々と興味深い記事がありました。
その中でも大晦日の日経新聞の「ギグ後に来る未来に備えよ」という筑波大学森嶋教授の寄稿についてメモ。


1、記事の概要

森嶋教授は、冒頭でアダム・スミスの国富論を引き合いに出し、我々の豊かさの源、人類に特徴的な活動として「分業」を挙げます。そして、近年、この分業の形態が「プラットフォーム」により劇的な進化を遂げつつあり、ギグエコノミーもその一つとしています。

森嶋教授は、ギグエコノミーの鍵として、以下の3つを挙げています。

☑️ プラットフォームに蓄積される仕事やその受注者に関するビッグデータ
☑️ 蓄積されたビッグデータに基づいて判断を行う人口知能(AI)
☑️ インターネットを通じてアクセス可能な人々(クラウド、群衆)に仕事を発注するクラウドソーシング

そして、中でも2つ目の「AI分業コーディネーター」とも言える仕組みがギグエコノミーの主役だと指摘しています。

現在、「ギグエコノミー」や「ギグワーカー」は、個人が企業から仕事を請け負う、という形を前提として「柔軟な働き方を実現している」という観点で取り上げられることが多くなっています。

森嶋教授は、次の段階として、企業内の業務そのものに「AI分業コーディネーター」が活躍する、つまり、現在の中間管理職の「部下に業務を割り振る」という機能が置き換えられるであろうと述べています。

紙面での図解が非常に分かりやすかったので以下転載します。
(出典:日本経済新聞2020年12月31日朝刊)

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このように、誰もが簡単に受発注ができる世界になれば、現在、スタートアップで事業化の難しさを示す「アイディアに価値はない」という概念が、「アイディアにこそ価値がある」と変化するとしています。


問題点としては、以下の4点を挙げています。

☑️ AIが仕事を奪い、人間は職を失う
☑️ AI化によるブラックボックス化が進み過ぎると知識やスキルの継承がされず組織や社会の弱体化が進む
☑️ 人間が行う仕事はAIの指示に基づく単純な仕事になり働きがいを失う
☑️ 一度失敗するとその記録が永遠に残り再起不可能となる


2、まとめ

ザ中間管理職としては、「何も大晦日にこんな暗くなる記事載せなくても…」と思いましたが、一方で、「あり得るなぁ…」と考えさせられる内容でした。

「中間管理職って仕事を割り振るだけじゃないよ!」と言いたいところですが、実際問題として、チームの生産性が上がるようにあれこれ心を砕きますが、それって、メンバーが気持ちよく担当する業務をできるように、ということ、つまり、メンバーに割り振った仕事をやってもらうということ、ですよね。

無理矢理探すとすれば、会社の方針を伝える、とか、足りないリソースを調達してくる、とか、キャリアの希望を聞いて人事部に売り込む、とか、謝りに行く、とか、ありますが、AIが全社最適を実現して、部署を超えて仕事を最も効率よく仕上げる従業員に割り振ることができるのであれば、不要になる業務ばかりではないでしょうか?

唯一残るのは「謝りに行く」こと、ぐらいでしょうか…

さらにいえば、「企業」に所属する意味もかなり薄れるのでしょう。AIが社内外関係なく発注先を探せるわけですから。
おそらくですが、企業が固定費として従業員を雇う理由は、外注するより安く済む&急な発注も必ず引き受けてくれる安全弁、というぐらいしかなくなるでしょう。
優秀な人材は、特定の企業に所属するインセンティブは薄れます。

その時、中間管理職という業務、やっぱり不要、かもしれませんね…


さて、仕事始めに考えるべきことが一つ、増えました。


最後までお読みいただきありがとうございました。

新聞記事のご紹介ですが、何か参考になるところがあれば嬉しいです。

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