4月1日 不動産における情報の非対称性をどうビジネスチャンスに繋げるか?
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。
東京都港区虎ノ門に本部を置き、不動産鑑定評価に関する一般的相談や鑑定評価理論の研究などを行う公益社団法人・日本不動産鑑定士協会連合会が制定した「不動産鑑定評価の日」です。
日付は「不動産の鑑定評価に関する法律」(不動産鑑定法)が施行された1964年(昭和39年)4月1日にちなんだものです。
不動産鑑定。
制定した不動産鑑定士協会から、不動産鑑定士について調べてみました。
不動産鑑定士とはどういったものなのでしょうか?
所管する国土交通省の説明は以下の通り(出典:同省HP)。
ちなみに、不動産鑑定士は、弁護士、税理士の次に難しいと言われている資格試験で、直近の令和2年の不動産鑑定士試験(論文式試験)の合格率は17.7%(受験者数764名、合格者数135名)となっています。
この不動産鑑定士、平成18(2006)年以降、10年間ほど受験者数が減り続け、そこから微増、という状況です(出典:国土交通省資料「不動産鑑定士 受験者数と合格者数の推移」)。
なぜ減っているのでしょうか?
調べてみると、大きく2つ理由がありそうです。
1つ目は、試験が難しく受かりづらいこと。
不動産鑑定士の試験は、「短答式」「論文式」となっていて、両方に合格して初めて合格、なのですが、特に論文式の合格までの回数をみると、1回目が16%、2回目が22%である一方、4回目以上が40%を占めているのです(出典:同)。
2つ目は、受かったところで高い収入が保証されているわけではないこと。
特に地方では1事業所あたりの平均報酬を見てみると、減少傾向にあります(出典:同)。1人あたり、ではなく、1事業所あたり、ですから、経費なども考えると手取りでは普通の会社員とそう大差がないかもしれません(地方、というのは、青の都道府県知事登録業者の報酬を指しています)。
また、報酬額の推移は、500億円前後で推移していること、不動産鑑定士の登録者数が8,207名であること、から、単純平均で不動産鑑定士1人あたりの報酬額は約600万円になります(出典:同)。
(ちなみに、上記グラフで報酬額が3年ごとに多くなるのは、固定資産の評価替えが行われるためそれに伴う公的機関の鑑定業務を受託するためです)
難しい試験に挑戦し続けての収入で、ここから鑑定業務にかかる諸経費を引くとなると、不動産鑑定士になるのは考えてしまうのかもしれません…
しかも、長期で見ると土地の取引件数は減少傾向です(出典:公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産統計集」)。
では、このまま衰退していってしまう資格なのか?というと、1つ成長分野(?)があります。不動産の証券化やJリートの普及です。
個人の不動産の売買で不動産鑑定士を利用することはほぼありません。路線価や近隣の取引事例などを参考に相場が形成されます。
一方で、法人の不動産取引では、大型の物件になると類似の取引事例もなく、社内や株主に対して適正な価格で取引したことの説明責任もあります。そういった取引にこそ不動産鑑定士が利用されるのですが、全体の不動産取引が減少する中で、法人が買主となる土地の取引は増えています(出典:同)。
また、リート等の不動産証券化も件数が増加しています(出典:同)。
こうしたことから、不動産鑑定士は引き続きニーズがあるものと思われます。
また、受験者数が少ないことによる不動産鑑定士の高齢化、減少も希少性につながっていき「お得な資格」になる可能性もあるかもしれません(下図:不動産鑑定士の年齢分布)。
最後までお読みいただきありがとうございました。
頭の体操になれば嬉しいです。
一昨年7月から同様の投稿をしています。ご興味があれば過去分もご覧ください。