#534 『ブランクーシ本質を象る』展と『石橋財団コレクション選』 〜アーティゾン美術館〜
先週は触れなかったけれど、どうしてもメモとして残しておきたい展示と作品があったので、メモ。
1、どんな展覧会?
先週ご紹介したので再録ですが、東京京橋にあるアーティゾン美術館で7月7日(日)まで開催の展覧会です。
HPでは本展覧会の概要について以下のように紹介されています。
2、まず『ブランクーシ本質を象る』から
先週は冠展(という言い方をするかわかりませんが)のブランクーシ作品には一切触れませんでしたので、2つほどご紹介を。
と、その前に、今回は、何かの狙いがあってだと思うのですが、作品ごとの解説パネルはありませんでした。番号はあるんですけどね。で、無料の配布資料として作品リストがあるのですが、そちらに解説も入っている、という形になっています。
こんな感じ。
通常はこんな感じ。
普段あまり観ない彫刻が中心の展示だったせいか、私はフロアが変わって、石橋財団コレクション選に移ってから違いに気づいたぐらいだったのですが、気になる方は気になるかもしれません。
いっつも思うのですが、抽象画とか題名があまり意味をなさない(そんなことはないのでしょうが、中世絵画などは聖書やギリシア神話のどの場面かがわかるのに比べて、という意味です)ので、形だけを純粋に鑑賞する、ということであれば。これで良い気がしました。
背景知識があった方が解釈が広がることもあるでしょうが、逆に特定というか限定してしまうこともあると思うので。
このあたりも「本質を象る」というテーマと関係してるのでは?と邪推してしまいました。
3、改めて作品
では、例によって気になった作品を2つ。
1つ目はこちら。パンフでも紹介されていますね。
雄鶏、、
解説によるとブランクーシは「雄鶏とは私のことだ」と口にすることもあったそうで、彼にとっては重要なモチーフだったということでしょう。
題名や解説を見なかった私ですが、実物を見ると造形的な美しさというか不思議さ(全然違いますね)が特に興味を引いた作品でした。
2つ目の作品がこちら。
ブランクーシについて私が知っていた、「作品がアメリカに輸入されたときに、税関で美術品ではなく工業製品として分類され課税された」というエピソードがあった作品です。
、、、工業製品って、何の?という気もしますが、当時の税率がどっちが高かったのかが気になります。。
ご紹介した2作品で言えるのは、ブランクーシは、彫刻の抽象化を進めた人、ということです。作品名こそ具象ですが、その作品は、「税関の人」(という一般の人)にとってみれば、大量生産された工業製品と変わらないものに映った、ということで、これは、キャンベルスープやブリオといった大量生産された製品をモチーフとしたアンディ・ウォーホルと共通点が見られます。
まぁ、作品としてはだいぶ異なりますが、、
4、まとめ
いかがでしたでしょうか?
彫刻の抽象化を成し遂げたブランクーシの展覧会、アーティゾンの意欲的な展示方法と相まって彫刻に関心がなかった私も大変興味深く見ることができた展覧会でした。
同時開催の石橋財団コレクション選も彫刻をフィーチャーして(?)いますので合わせてみるとさらに厚みが増す、アーティゾンならではの企画展と言えます。
7月まで開催していますので、彫刻に興味はなくとも、モネの「睡蓮」と「黄昏、ヴェネツィア」が並んで展示されている、石橋財団コレクション選だけでも十二分に元が取れますので、お時間が合えばぜひ。
(ブランクーシさんに失礼な気もしますが、私はそれで出掛けて彼にも彫刻にも大変興味が沸きましたので、きっかけはなんでも良いかと)
最後に並んでいるところを。
ほんと贅沢。
最後までお読みいただきありがとうございました。例によって個人的なメモですが、どこか参考になるところがあれば嬉しいです。
実はもう一つ気になる作品があったのですが、それはまた今度。