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6月11日 年間数千万本使い捨てられる傘をどうサステナブルにするか?
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。
→傘。大量に廃棄され、その処理に困るという現状を解決するために、傘シェアリングというビジネスモデル以外で何かアイディアはないだろうか?
1989年(平成元年)に日本洋傘振興協議会(JUPA)が制定した「傘の日」です。
日付はこの日が暦の上で「梅雨入り」を意味する雑節の一つ「入梅」になることが多いことから。この季節の必需品である傘の販売促進と傘の使い方などモラルの向上が目的だそうです。
傘。
調べてみました。
日本で毎年消費される傘は年間約1.2億〜1.3億本と推計されています(出典:日本洋傘振興協議会)。
これは、世界一、だそうです。
確かに国民1人あたり毎年1本傘買う国はないでしょうね…
金額ベースでは325億円(2018年)となっています(出典:財務省「貿易統計」、経済産業省「工業統計調査」の合計)。
また、総務省「家計調査」の消費支出からの推計では423億円(2021年)となっています。
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ちなみに、「貿易統計」によると、2021年の傘の輸入本数は7,040万本、225億円となっていますので、輸入品が半分以上を占めていることになります(年度も違いますし、小売と卸で価格も異なるのであくまで参考ですが)。
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梅雨に需要が増えそうですが、実際家計調査からもそれが裏付けられます。傘を毎月どれだけ購入しているか、というデータです。もちろん毎月買うわけはありませんから、調査した総額を世帯数で割った数字です。
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こちらを見ると、やはり6月、7月に多くなっていることが分かります。
次に、気象予報会社であるウェザーニュース社の「世界の傘事情調査」から、傘に関する国ごとの違いについていくつかご紹介します。
まず、「自分の傘、何本持ってますか?」という質問。日本は3.3本で堂々の1位です。
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次に、「どのくらいの雨で傘をさしますか?」という質問。五段階で聞いているのですが、日本の特徴は男性が比較的弱い雨から傘をさす傾向があることが分かります。
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なお、この、雨の勢いの表現が知らなかったので脱線してご紹介します。
☑️ ポツポツ Drizzling
☑️ パラパラ Light Sprinkling
☑️ サー Hard rain
☑️ ザーザー、ゴォー Pouring
☑️ どんな雨でもささない Never
最後に、「良く使う傘の種類は?」という質問。意外だったのが、折りたたみ傘を使うのが世界35カ国では55%で半数を超えていることです。ああいったギミックものは日本が多いと思い込んでました。
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逆に日本では、折りたたみ傘は21%にとどまり、長傘が62%と多くなっています。持ち歩くけど、本当に降りそうなら長傘持っていく、という感じでしょうか…
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さて、このような傘、ですが、冒頭でご紹介した通り、年間1.2億本も消費されています。毎年1人1本買っていたら家が傘で溢れます。
そうならないのは、1.2億本のうち6千〜8千万本はビニール傘と推計されていて、半ば使い捨てのようになっているのです。
もちろん、意図的に捨ててしまうばかりでなく、忘れたり無くしたりということも多いでしょう。実際、警察庁の遺失物で3割を占めるのが傘で4.3万点となっています。反対に、傘を忘れました、という届け出(遺失物届数)は4.3万点に対してわずか1.8%となっていて、忘れちゃったら仕方ない、という扱いなのでしょう。
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こうしたビニール傘、回収してリサイクル、としたいところですが、鉄、プラスチック、ビニール、と複数の素材でできており、しかも強力な接着剤などが使われているものもあり、分別に手間がかかりすぎてリサイクルには向かないそうです…思った以上に深刻です。
この件については、NHKの未来スイッチというHPに詳しいのでよろしければご覧ください。
最後に、このビニール傘の問題を解決し、「まちづくり」に繋げ、ビジネスとして成立させよう、という企業がありましたのでご紹介します。簡単にいうと、「傘シェアリング」ビジネスです。
って、昨年上の記事をご紹介したのですが、拡大を続けているようですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
頭の体操ネタになれば嬉しいです。
一昨年の7月からこのような投稿を続けています。
以下のマガジンにまとめていますので、よろしければ覗いてみてください。