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#544 緊急!トラブル!時こそ重要な「物語」の共有

トラブル対応はリーダーの力が試される場面のひとつです。そんなときポイントとなるなぁ、と思ったことを、メモ。


1、「トラブル対応」には2つある

遭遇したくはないですが、起こってしまうのがトラブルです。
もちろん、起こさないように業務フローを構築したりなんだり、という努力はしますが、「想定外」が起こるのが今の世の中です。残念ながら…

20年ほど前、規制緩和に伴って全く新たに市場が出現する、という場面に合わせて事業部自体の立ち上げに関わっていたときには、トラブルしかない(!?)こともあって、場数だけはめちゃくちゃ踏みました。

近年は流石に落ち着いていたのですが、直近で割と大きなトラブルが発生しました。新サービスなのですが、リリース間近にリリースを止めるか、一部変則的なフローをお願いするか、というような大きな瑕疵が発見されたのです。

こうした「トラブル対応」には2つあります。

1つ目は社内の調整です。
それぞれの選択肢の問題点や見落としがないか、法務リスクはないか、など様々な検討をし、必要な社内フローなどの構築手配もし、社内のしかるべきレベルの判断を、ごく短時間で仰がなければなりません。
主にミドル部門が担うことになります。

2つ目は社外の調整です。
そのサービスを扱う営業が、事態を理解し、営業になるべく支障がないように顧客へ説明したり、時に、突然構築された異例処理のフローを理解し、正しく利用する、といったことが必要です。
主にフロント部門が担うことになります。


2、ミドル(本社・本部)VS フロント(営業)

こうした、リリースまで時間が限られている、というような場面ですと特に、ミドル部門は「対応策も含めて固めないと営業に説明などできない」「対応に追われていてどうしても時間がない」ということもあって、フロントである営業への情報共有はどうしても後回しになり、期限ギリギリになりがちです。

となると、説明も起こった事象、対応策、といった最低限必要なものをなるべく短時間で、という形になりがちです。散々検討してきた内容ですから、起こった事象も簡潔にまとめることができます。

ところが、フロント(営業)ははじめて聞く話です。
説明は受けたものの、「なんでそんなことが?」「顧客にこんなこと言えるか!」というのが素直な感想&反応になりがちです。

散々検討してきたミドル部門からは、「言うようなことは全部検討してきた上での決定なので、時間もないからとにかくこれで!っていうか、これしかできない!」という反応だったりします。

それでうまくいけばまだいいのですが、フロント(営業)はモヤモヤが晴れないまま顧客対応をすることになります。事象や対応策は理解しているものの、そのモヤモヤ、は意外なほど相手に伝わるものです。

となると、顧客からは疑いの目を向けられ、本来なら不要な質問をたくさん持ち帰ることになるのです。


3、緊急だからこそ、背景情報もリッチに共有すべき

では、どうすればいいのか?

緊急だからこそ背景情報も含めてリッチに共有すべき、なのです。
そんな長々と説明する時間はないし、営業の時間も奪ってしまう、というのがミドルの感想でしょう。
もっと言えば、起こっている事象はきちんと整理して伝えているのだから、そもそも十分な情報を伝えている、という立場かと。

ところが、フロント(営業)からすると、現場で顧客対応するにあたって必要なのは、そういった形式的な情報だけでなく、実は、会社として様々苦労して検討を尽くした結果、お客様のためにはこの結論しかない、とたどり着いたのだ、という、いわば、「物語」なのです。

ですから、「営業にトラブル対応で無駄な時間を取らせるのは申し訳ないのでなるべく整理した情報を短時間に」というミドルの気持ちもわかるのですが、「発端がなにで、当初はこんなことがあって、だけど、こんなことやあんなことまで誰々やどこどこが検討して、こんな議論やあんな意見もあったのだが、結果、こうなった。そのためには何処どこの部署がめちゃくちゃ頑張ってくれた」みたいな、泥臭い、超短縮版プロジェクトX的な「物語」を共有した方が、実は時間は短縮でき、フロント(営業)もモヤモヤを減じて自信を持って顧客対応でき、結果も向上するのです。


4、まとめ

いかがでしたのでしょうか?

トラブル対応には緊急であればあるほど「物語」までの共有が有効だ、というメモでした。

社内で発生したトラブルは営業としては「何で自分たちが悪くないことで謝って回らなきゃいけないんだよ」という気持ちも多かれ少なかれあるものです。
でも、最終的にはお客様には関係ない話なので、頑張って対応はするのですが、その際に、モヤモヤしてやらされ仕事になるか、これがパーフェクトではないですが、ベストです、という自信を持って対応できるか、で大きく結果は異なります。

一方で、ミドルはフロント(営業)に手間を取らせて申し訳ない、となるべく丁寧ではあるけど簡潔に、となるものです。

そこに落とし穴があるのでは、ということです。

フロントもミドルも、そしてそれを横から見る業務改善やガバナンスも経験した上で、そう感じます。

余裕がない時こそ、お互いもっとウェットなコミュニケーション、とってもいいのかもしれません。


最後までお読みいただきありがとうございます。
例によって個人の経験に基づくメモでしたが、どこか参考になるところがあれば幸いです。

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