なんという事だ! 安曇野絵本館が消えていた
私のような才能の乏しい人間が一千枚の大作を書き上げるには、まず十年間、世間との交渉を一切断ち切って、世捨て人なってただ一心にその制作に没頭しなければならない。その大作にようやくゴールの燭光がともったので、私は十年ぶりに安曇野を訪れたのだが、そこで私は一つの衝撃を受けるのだ。安曇野絵本館が消えていた。安曇野の森に、廣瀬さんが夫人とともに何千個、何万個の石を積み上げて、その砦の上に夫婦で組み立てていった絵本館だった。
廣瀬さんはもう一年前に亡くなっていたのだ。何事にも妥協しない